第一話 女神と異世界
昨日の宣告通り。
全角スペースがスマホじゃ打てないしパソコンで改稿するかね…………←3/20:改稿しました。
「……………ふわぁ」
目が覚めたら知らない天井、というか天井かどうかもわからない真っ白な空間だった。
意識を落とす前までの記憶を確認……んんん!?
あれ?間違いなく死んだはずの俺が、どうして意識を取り戻して、体も普通にあるんだ?
そんな風に混乱している自分に近づく人影が。
「目が覚めましたか?」
「ふぇ? あ、は、は……………い」
慌てて声のした方向へ顔を向けると、そこには現代社会の美女すらブサイクに見える程の、文句のつけようが無い完全無欠の、正真正銘の美女がいた。
「どうやら大丈夫そうで何よりです。
…………では自己紹介をさせていただきます。私は貴方が住んでいた世界とは異なる世界"イルクス"で女神をしている、アルタナと申します。」
「お、……じゃなくて、私は晴海和人といいます。」
なるほど、そもそも人じゃないから人類の美を超越しているわけだ。
「そんなに畏まらなくていいですよ。
それでですが、貴方は私が設置していた"転移ポイント"にやって来て、そしてここで私と相対した後、異世界イルクスで暮らしていただくことになります。」
「……あの、それってダメな事でした?その、"転移ポイント"に入ったのって」
「いえ。"転移ポイント"は設置してあるだけなので貴方が入っても問題はありませんし、そもそもがランダムなので大丈夫ですよ。」
そっか、それなら良かった……。
にしても異世界転移か。世間というか、仲間内認定される"オタク"ではないが、それなりにラノベの類は読んでいた。というか知り合いに作家がいる始末。そのため、所謂"テンプレ"は一通り知っていたりするので、信じきれない事態じゃない。
しかし、忘れかけてるけど大事なことが一つ。
「話を戻して、貴方にはイルクスで転移していただくのですが、その前に今までに無い事案が発生しました。
貴方は事故により跳ね飛ばされて"転移ポイント"に入り、その瞬間に命を落としているのです。」
そう、コレである。
あの時、間違いなく俺は"死んだ"。なのになぜ、ここでこうして意識と身体が活動を続けているのだろうか。先程の女神の話から、異世界と所謂"天国"は違う様だし。
「瀕死であれば再生して命を保てるのですが、貴方は転移した瞬間に死んでしまった為、既に生者としての再生は不可能になってしまいました。
その為、私は貴方をアンデッドとして蘇らせました。」
「……………………」
…………………………………………………………………。
…………………………………………………………………。
「……………あの、大丈夫ですか?」
…………………………………………………………………。
そうして思考が停止すること3分。我ながらよくこんなネタっぽい思考停止が出来たものだ。
「すみません、もう一度お願いします」
「は、はい。貴方はアンデッド、つまりはゾンビとして蘇りました。」
「……………ゾンビ、ですか。」
「はい。……………ゾンビ、です。」
「…………………………」
…………………………………………………………………。
再び思考停止すること1分。だからなんでこんなにネタっぽいんだ!?
不味いよ。女神様もなんか気まずそうだよ。というかさっきまで互いの間に流れてた神聖な空気はどこいった。今じゃどちらもキャラ崩壊寸前じゃねぇかオイ。ていうか自分はキャラ崩壊してますねすみません。はい。
ていうか、女神様の素が出てきそうでコワい。恐らく普通の女性以上にアレだろうから。こういう儀式だからこそ最初の神聖さを出してて、実際は腹黒いとかもテンプレだから。
でもそれどころじゃない。思考停止してもおかしくない事態が起こっているのだから。
ゾンビである。アンデッドの代名詞、グロ系、ホラー系で登場しない方がおかしい上に、もっぱら退治される側の、"あの"ゾンビである。
そんな存在に自身が成り果て、挙句に見知らぬ異世界で生き抜く、いや違うか、存在を維持する(?)なんて…………。
「……………それなんて無理ゲー」
「……はい、確かにこのままでは貴方はすぐに心も体も壊れてしまうでしょう。なので、貴方には様々な"スキル"と"魔法"を駆使し、それで生き抜いていただこうと思っております。」
なるほど、スキルやら魔法やらがある世界。御約束だな。
そしてこの女神様が慈悲深い神聖な女神でないこともわかってきた。
「今までにイルクスへ転移した方々には、幾つかの特殊スキルを加護として与え、それらを基礎にイルクスで成長していただいているのですが、貴方は事情が違うので、存在を維持出来るように、他にも様々な加護を与えます。それによって、貴方にはイルクスで活動出来るようになります。」
「ありがとうございます。しかし、そこまでして私に加担する理由はあるのでしょうか?」
若干疑いの目を向けて女神に問う。
余程の馬鹿でもない限り、慈悲深いだけではない女神が、こんな死んでゾンビになったものの、元は普通の高校生だった俺に"様々な加護"なんて、どういうつもりなのか疑うのは当然だ。
案の定、女神アルタナは先程までの神聖な雰囲気を消して、
「ええ、貴方には今までとは違う"何か"が巻き起こる気がしましてね。」
さらりとそう言った。やっぱり私情が絡んでいたか。
「なるほど。確かにアルタナ様に相対した時点で今までとは異なり、そしてゾンビになって異世界に普通に放り出せばすぐに壊れる。そんな存在をチート持ちに改変すれば面白いことが起こるだろうと。確かにそうでしょうね。」
「ええ、その通りです。それでこの話、当然乗っていただけますよね? 貴方に損はありませんし。」
「勿論です。強いて言えば、そんな女神様の考えを知ってしまった罪悪感でしょうかね?」
「あらあら、うふふふふ」
「あはははは」
中々嫌味ったらしく出来たと思う。女神相手にこんなことした俺を誰か褒めてくれ。
内心冷や汗バリバリであるが、女神も乗ってくれたのでよしとする。というかノリいいというか遊び心の女神様だな。
「そういうことで、汝を女神アルタナの名においてイルクスへと歓迎する。汝の行く末に幸多きことを願う」
「ありがとうございます。慈悲深きイルクスの女神アルタナ様よ。女神様の威光を末永きことを願う」
そう言って、女神様が転移陣を発動させ、俺は異世界イルクスへ転移した。
…………………にしてもホントノリいいなアルタナ様。
次話はまだ書けてません。なのでご容赦を……
早ければ来週夜にでも、がんばります。