住まい
「はぁ…はぁ…まだ…?」
柚希を手を引っ張られながら麟太郎は問いかける
「ほらほら、見えてきたよ!あのマンション!」
麟太郎が見上げると、そこには七階立ての横に大きい立派な建物が建っていた。
「おお…!どの部屋にしようかな…」
「あ、ごめん、君の部屋は決まってるから…」
衝撃の事実であった。
「つまり…誰かと相部屋?」
「お、よくわかったね!そうだよー!女の子とだから、よかったね♪」
これまた衝撃であった。
「ほう…………ほう?」
「そういうこと!じゃあ、6階の5号室だから。はいこれ部屋の鍵」
柚希は麟太郎に青色の鍵を手渡した。
「なんで鍵が青いの?」
「このマンションなぜか階によって色が違うんだよね。はいはい、部屋に行きなよ!じゃあね!華林迎えにいかなくちゃ!」
そう言い残して柚希は颯爽と走っていってしまい、
残されたのは青の鍵と虚無感のみだった。
「しょうがない……いくか!」
覚悟を決めてエレベーターに乗り、自分がこれから暮らす部屋の目の前に着くと、麟太郎はたち尽くしていた。
そうしてしばらくしているとなかから少女がドアを開けた。
「あなたがあたらしく来た人?よろしくね」
その笑顔に見とれていると少女はここでは何だからと部屋のなかに引っ張りこんだ。
「私は最上遥香。ここの部屋でしばらく生活してたの…あなたは?」
相手の少女は銀色の長髪でスレンダーな体型をしていて身長はさほどたかくはないが大人のような雰囲気を纏っていた。
「あ、ああ、僕は不知火麟太郎。これからよろしくね」
「ええ、よろしく」
握手を交わすと遥香は思いもよらぬ言葉をかけてきた
「あなた的には…華林ちゃんと柚希ちゃんどっちがこのみ?」
「え?」
「華林ちゃんお胸がふくよかだもんね~♪でも柚希ちゃんの元気なかんじも捨てがたいし…」
「どっちかというと…華林さん?」
「わかるよ!気が合いそうね、私達」
「そ、そうですね…」
そこで麟太郎は遥香に質問をし始めた
「最上さんは…おいくつですか?」
「遥香でいいよ?私は高2。あなたは…高一?」
「そうですが…よくわかりましたね?」
「なんとなくね…敬語じゃなくても大丈夫よ」
「それなら遠慮なく…僕らはこの世界で何をすればいいんですか?」
そのとき遥香の顔がすこし曇った。
「それは…あくまで推測だけど、消えれば良いみたい」
思っても見なかった言葉に驚きを隠せない麟太郎。
「き、消える…?」
「あぁ、でもね?悪い意味じゃなくて、どちらかと言うと良い意味…だと思うの」
「何かをすれば消えることができるってことですか?」
「飲み込みが速いのね。多分ね。でもなにもわかってないし、普通に生活していれば大丈夫よ」
麟太郎の顔に安堵の色が浮かんだ
「よかった…」
「もう夜は遅いし、そろそろ寝ましょうか?」
何を思ったのか、麟太郎の顔は一気に赤くなった。
「え?…ああ!一緒じゃないよ!?別々だよ!?そういうのは…もっと仲良くなってから…」
麟太郎は聞こえているが聞いてないふりをした。
なんかわからなくなりました