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やすらぎの迷宮  作者: 魔法使い候補生
第一章 公衆浴場として
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一難去って…

 現実逃避気味にここに来てからの事に思いをはせていたら、いつの間にか随分時間がたっている。

 意を決してダンジョンに知覚を繋げてみれば、生物の気配は無く、コアも健在のようだ。魔力量が一気に増えているようだから、彼らは死んでしまったのだろう。

 

 ダンジョン内で生命から切り離された有機体は分解されて魔力に還元されるため、死体は残っていないだろう。質量保存の法則とか気になるところだけど、それを言ったら魔物や迷宮の創造も引っかかるし、魔法なんてのがあるこの世界は物質が僕の知ってる原子で構成されているのかも良く分からないのだ。細かいことは後で考えるとして今はありのままを受け入れた方がいいだろう。

 落とし穴の部屋のスケルトンに回収させておこう。またある程度魔力が溜まったら遺品の保管場所も作る必要がありそうだ。




 それにしても、出来るだけ殺さない様に頭を捻った積もりだったけど結局だめだった。

 掲示板の文章は少し改良した方が良さそうだし、小部屋のモンスターも少しは強化したほうがいいだろう。ただ、彼ら四人はそれなりに熟練した冒険者だったようだから強くし過ぎるのも問題かもしれない。

 軽い手傷を負わせて撤退させる位の強さがベストだ。

 

 死ぬシーンを直接見ていないからか、今のところ人殺しをしたという実感があまり無いのが幸いだ。しかしいずれはその実感に直面することになるだろう。生きたまま追い返せる仕組みをどんどん考え出していこう。




 コアのある部屋に戻る。

 この部屋には隠しドア含め四つの出入り口がある。

 一つはダンジョンにつながるドアで、残りの二つは寝室とトイレだ。僕には必要のないものだけど、コアの部屋にダンジョンマスターがいなければ徹底的に調べられて隠しドアが見つかってしまうかもしれないから。探させる範囲を広げて隠しドアから目をそらさせる目的がある。

 まずは掲示板をいじる為、コアの前の少し立派な椅子に腰掛けた。







 なんという事だろう。

 ダンジョンを開放した初日に、早くも二組目の侵入者が現れた。今度は女性三人のパーティだ。

 外の常識は分からないけど、それほど治安が良いということは無いだろうし、男のほうが荒事に向いているのは確かだろう。

 このパーティは女三人でもやっていける程の実力を持っている可能性が高い。実際装備は高級そうだし、見たところ、戦士と魔法使いと思われる二人が主力で中学生位の少女のお目付け役のようだ。案外金持ちの娘が我侭を言って旅でもしてたのかもしれない。

 とりあえず、子供を守りながら戦えるほど強くて金持ちにもコネを持っている可能性がある二人だ。今の罠で対処できるか怪しい。魔法使いが浮遊の魔法とか使えたらかなりヤバイ。


 今更悩んだところで大したことは出来ないし、駄目なら隠し部屋に引きこもるだけだ。まずは様子を見ることにしよう。




 

 あの小さな女の子の命を奪わなくて済むよう祈りながら。

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