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女湯の密談

ながらくお待たせしました。

リアルの事情で申し訳ないです。


また、何日か前にストーリーに関係ない点でいくつか変更を加えました。

例えば、『週』『ヶ月』という単位を会話文のなかから消しました。この世界の暦についてはそのうち登場するかと思います。

 一つ問題も出た。

 これでダンジョン内に住む人間がエリシー達以外に合計三人となるわけだが、人が泊まれるスペースは三部屋しか準備してないのだ。一応四人部屋なのでアークとアレンを相部屋にすることもできるが、気心の知れない者同士で何日も過ごすのはストレスが溜まるだろう。……この世界の人間にはそうでもないのかもしれないが僕なら無理だ。


 キャスは「それなら私がアーク様と一緒に……」なんて言っていたが、流石にそれは遠慮してもらった。別にアークが可哀想だったからと言うわけではなく、ラブホを経営するつもりは無いからだ。

しかたがないので、ギルドの仮眠室を二つだけを先に創ってアークとキャスの部屋としてもらうことになった。アレンは当分の間は冒険者用の部屋で休んでもらう。そのうちエリシーたちの部屋と左右対称な形で男性従業員用の部屋を準備することになるのだろう。


 

 今後は、地下一階が完成した段階でダンジョンの存在を一般に公開し、主に森林探索の拠点として利用する方針なのだそうだ。現状では得られる魔石もそれほど質が良いわけでもないためダンジョンとしての旨みは少ないためだろう。それでもいくつかのパーティがダンジョンに長期間滞在できるのは大きいらしい。冒険者達の補給や、森で得られた物資の運搬は商会が担うことになる。一度に多くを輸送した方が効率的であるし、冒険者達も移動や野営を気にせずに探索に専念できるため一石二鳥なのだ。

 僕としても、冒険者をダンジョンに縛り付けることが出来るのはありがたい。軌道に乗り出したら部屋数を増やすとしよう。




 話は一通りまとまった。

 と言っても、今まで通りで特に変更はない。当分は冒険者の様子を見ながら対応していく自転車操業になる。

 ダンジョン部分のモンスターも強化する必要がある。場合によっては上層の開発よりも優先するかもしれない。もちろんギルドには内緒で。


「ダンジョンマスター様、今夜は冒険者用の宿泊施設で過ごさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」


 エリザだ。

 なんでも、前回は長期戦覚悟で大荷物で来ていた様だが、今回は必要な荷物だけ持って徒歩で来たのだそうだ。初めから一泊していくつもりだったらしい。

 もちろん断るはずも無い。


【どうぞご自由にお使いください。宿泊用の部屋はどなたにでも開放していますので、予約や利用許可は必要ありません。】


「ありがとうございます」


【利用者数が多ければ増設も考えていますが、部屋を利用する順番や人数に関して問題が発生する場合はギルドに間に入って調整していただきたいです。おねがいできますか?】


 ちなみにこれらの部屋は内側からしか鍵をかけられないため、荷物を置いて部屋をキープしておくようなことは出来ない。


「かしこまりました。利用者間でのいざこざにはギルドが介入することに致します」


 

 エリザは快く引き受けてくれたが、不安は残る。

 例えば、ダンジョン公開と同時にダンジョンに冒険者が大量に押しかけてきたり、ダンジョンコアを奪おうとしたり……などだ。

 実力の伴わない馬鹿ならば攻略に乗り出したところで問題ないとは思うが、殺しに対する嫌悪感はどうしても消えることなく残っている。カイン達のことも未だに整理がついているとはいえない……というよりも、普段は思い出さないようにして逃げているだけだ。

 彼らの死から……いや、自分の犯した殺人から目を逸らすために感覚を遮断していたせいか、罪の意識を感じながらもどこか他人事に眺める自分がいる。

 これでは気持ちの整理を付けるなど無理な話なのかもしれない。


「ダンジョンマスター様? 他にもなにかありますでしょうか?」


 エリザの心なしか不安げな声で、彼女を放置してしまっていたことに気付いた。彼女には僕の表情やしぐさは見えないのだから、急に押し黙ってしまったら反応のしようがないだろう。

 久しぶりに思考のドツボにはまり込んでしまうところだった。


【いえ、申し訳ありません。私からは特にありません。今夜はごゆるりとおくつろぎください。】


「はい。ありがとうございます。それでは今夜は失礼致します」


 そうしてエリザは一行をまとめると、浴場へと向かって行った。

 今回はエリシー達も一緒に入るようだ。





「うーん! 相変わらずここのお風呂は最高ね! 毎日入れるなんて物凄い贅沢よ。二人とも」


 サラ、チコ、チヤの三人は湯船の一番入り口に近いあたりに固まっている。湯口に近いあたりは少し熱いのだろう。


「私達も毎日は入っていないんです。冒険者の人たちが居ない時にお風呂掃除と一緒に入ってるんです」


 これまでは大事を取って人がいる時は入浴は控えて貰っていたのだ。いずれは常に誰かしらの冒険者が居るようにしたいから、彼女達の入浴についてある程度考えなければならなくなるかもしれない。冒険者達に普通に受け入れられるならいいが、奴隷と一緒に入るのを嫌がる人がいるかもしれない。掃除の時間も決めなければならないだろう。


「そうなんだ。 勿体無いなー。せっかくこんな所に住んでるのに」


「でもマスターの言うことはちゃんと聞かないと。迷惑をかけて追い出されたら大変です」


「まあ、それもそうね。そんな横暴な人には感じなかったけど、従業員ともなると違うのかしら……」


 なにかあらぬ誤解を与えてしまっている。


「え? あ……違っ、違うんです。とってもやさしい人なんですけど、沢山恩があるから礼儀正しくしないと」


「ふーん。チコは真面目よねー。私にも敬語だし」


「でも名前が二つある人は偉い人なんだって聞きました」


「ああ、まあ大抵は貴族よね。家名を持ってるなんて。私も詳しくないんだけど、確か何代かにかけて大きな功績を残した家系には国から家名が贈られるんだって。優秀な家系がより活躍しやすくすることで国が発展しやすくするらしいわ。だから私が凄い訳でも偉いわけでもないってこと」


 中々面白いシステムだ。家名を持つことが商いの世界でどのように有利に働くかは分からないが、国のバックアップや後ろ盾があるのかもしれない。

 ついでに力を持ちすぎた家や組織に首輪を付けることもできる。きっとそういう意図もあるのだろう。


「そうなんですね。でも急には変えられないです。そういう性格なんで……」


「むー、まあいいわ。チヤちゃんも家名なんて気にしなくていいんだからね?」


「……ん」


「もう、恥ずかしがっちゃってー。 それじゃ、ダンジョンのこととか教えてよ。ダンジョンマスターとはどんなこと話すの?」


 

 そのあとは他愛も無い話が続いた。三人とも仲が良い様でなによりだ。

 少なくとも僕に対して不満はないようだし、それが外部に伝わるのは良いことだ。人間を捕らえてこき使っているなどと言われてはたまらない。

 



 一方大人たちの方でも色々と話している。注目はエリザとナデアだ。


「エリザさん。先ほどは随分と強気に出ていた様ですが、あれでよろしかったのですか?」


 ナデアの言葉だ。しっかりと僕らの交渉内容にも気を配っていたらしい。……そんなそぶりは全く無かったのだが。

 内容が内容だけに小声である。浴室の殆どの者には聞き取れない位の小声であるが、僕にはあまり問題なかった。


「……はじめに受け入れがたい要求を拒否された後に、譲歩したように見せかけて最低ライン以上を確保するのは取引の常套手段です。商会でも似たようなことをしていませんでしたか?」


「どうでしょう、私達は商売とは縁遠い暮らしをしていましたし、取引内容にまで関わることはまずありませんでしたから……。では、今回は始めに吹っ掛けた条件がそのまま通ってしまったということなのですか?」


「はい。本当は拒否するポイントの傾向や私達への対応の仕方から相手の真意やダンジョンの仕組みを読むことが目的だったのですが、ほとんどの要求が承諾されてしまったのでそれも叶いませんでしたね。破格の待遇を取り付けられたので十分な収穫ではあったのですが……」


 本当におっかない人だ。まさか未知の相手に対して断られること前提で吹っ掛けてくるなどとはこれっぽっちも思ってなかった。この世界の……というかこの地域ではこの位が当たり前なのだと……。

 まあエリザに余計な情報を与えずに済んだのは僥倖だ。


「結果としてダンジョンマスターには図々しいお願いをすることになってしまいました。表情や口調が分からなかったのが痛かったですね。悪い印象を与えてしまっているかも知れません。もしここまで考えての筆談なのだったとしたら、かなりの策士です」


 全然そんなことはないんだが……この勘違いは吉と出るか凶とでるか。


「気にしすぎではありませんか? 少なくとも引き受けて下さったということはギルドと友好的に関わりたいと思っているはずですし、借りだと思ってこれからの対応で返していけば良いではないですか」


「……そうですね。折角良い環境を準備していただいたのですから、ギルドはギルドの仕事をこなす事で返していきましょう。もちろん、ダンジョンやダンジョンマスターについて理解を深めることも重要課題ですが」


 これまでダンジョン内でこのような話を盗み聞く機会は無かった。

 この会話を聞かずにギルドと関わっていったら重大なボロを出していることだろう。もともと取引や駆け引きは得意ではないから完璧など初めから諦めてはいるが、知っているのといないのとでは随分違うはずだ。

 リラックスして本音が漏れやすくなっているのだとしたら、創ったのが風呂で本当に良かった。

この二週間で日間・週間・月間のbest5に載ることが出来ました。スクショを撮って大切に保管しています。

更新していなかったからか、最近はお気に入りやユニアクの伸びが緩やかになりました。多くの人に見ていただけるのは嬉しいですが、あまり注目されすぎるのも精神衛生上よろしくないので、なろうの隅っこでひっそりと書いていくような感じがいいかなと最近思うようになってきたり。


多くの方に読んでいただいているにも関わらず更新が出来ずに申しわけありません。また、多くの感想やご指摘をしていただきありがとう御座います。まだまだ未熟な文章ですが、どうかよろしくお願いします。


それと、四月に入るとネット環境の問題で当分更新も感想返しも出来なくなる可能性があります。失踪とかではないのでそこのところ宜しくお願いします。

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