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新たな住人達●マップ3.5●

 原案があるのだから間取りも直ぐに決まるだろうと思っていたのだが、三人での話し合いは伸びに伸びた。女性の買い物は長いと言うが、こういう場合にも適用されるのだろうか?

 次から次へと要望が増えていって、結局二時間位かかってしまっている。それでも一応は二人ともが完成した図面には納得できたようだ。後日魔力が溜まったら創造するとしよう。



挿絵(By みてみん)



 まず入口を広くした。大きな資材や大人数が出入りする場合を考えてのことらしい。大部屋の内三分の一弱が商会のスペースで、残りの三分の二はギルドのスペースとなった。

 始めは壁とドアを創るだけだと思っていたのだが、いつの間にかほとんどのドアに結界式の鍵を取り付ける事になっていたり、会議室には筆談ボードが欲しいと言い出したり、挙句の果てにはトイレと簡単な炊事ができる部屋まで作れときた。魔力を使った仕掛けは創造にかかるコストが高いから気が進まないのだが……。大体エリシー達でさえ脱衣所のトイレを使っているというのに贅沢だと思うのは僕だけだろうか?

 しかもやっと間取りが決まったと思ったら、今度は執務机だったり本棚だったりと、自分たちで持ち込みができる家具類まで欲しいと言い出した。流石に自分達でどうにかならないかと遠まわしに意見してみれば、「ダンジョンマスター様はギルドのために丁寧な仕事をした。という物的証拠を上層部に示したいのです。このダンジョンが人にとって有益であればあるほど過激派を抑える力になります。ダンジョンマスター様のご負担が大きくなってしまいますが何とかできないでしょうか?」と返ってきた。

 こんな言われ方をしたら断れない。

 ギルドに反抗的だという印象を与えてしまった場合が怖いというのもある。風呂などに魔力を割いている現状では、ハイレベルな冒険者には対応しきれないだろう。落とし穴の罠が何処まで通用するか分からないし、マリーナなんかは落とし穴に落ちてもそこから自力で打開してしまいそうだ。当分の間はギルドに従順な態度を見せておくべきだろう。……もっとも、今後も敵対するつもりはないが。


 後はもう開き直って、出来ないこと以外は全部『はい』だ。ベッドには羽毛布団を要求されたし、陳列棚や掲示板などのあまり移動しない大きな家具は一通り準備することになった。

 

 一応は僕も納得したが、あのエリザの言葉は建前なのだろう。彼女たちはここに交渉に来ているのだから、少しでも良いものを可能な限り低コストに用意する(用意させる)ことが仕事なのだ。

 まあ彼女達の要望を叶えることにデメリットは殆どない。魔力回収に多く時間を割かなければならない程度だ。

 ただ、ところどころでエリザが考え込んだり、回りくどい言い回しで物品の要求をしてきたことが気になる。ひょっとしたら、こちらのダンジョン創造に関する能力の幅や制限を見極めようとしていたのかもしれない。今のところダンジョンマスターの能力については殆ど全て伏せてある。これが解明されるということは、僕の手札を読まれるということだ。今後も彼女との交渉ごとの際は注意が必要かもしれない。



 話し合いの間、他の面々は完全に自由だった。ギルド支部の間取りよりも互いの状況把握の方に興味が行っている。

 マリーナ、ナデア、アレンは後から合流したエリシー達と話している。詳しくは聞いていないが、アレンとマリーナがエリシーを気にかけている様で頻りに話しかけていて、ナデアはチコとチヤから色々とダンジョンの事を聞いているようだ。 

 キャスはアークにベッタリで、町で起こった事を報告したりダンジョンでの様子をしつこく聞いていた。アークはどうでも良さげだったが。


 今のところアークがここまで興味を示さず、かつぞんざいに扱っている女性はキャスだけだ。小柄だが十分に美人の括りに入るはずなのだが……。二人の間には何か他とは違う背景があるのか、ただアークが彼女を苦手としているだけか。まあそれは追々わかっていくだろう。



 

 こちらの交渉が終わったことに気づいた一行は会話を切り上げてボードに向き直る。

 これでようやくアレンとキャスが来た理由を話してもらえるだろう。


「では次にこちらの二人を連れて来た理由についてお話させて頂きます」

 

 エリザはキャスとアレンを指しながら言った。


「まずキャスですが、彼女はダンジョン支部の従業員の一人として働くことが決まっています。来るのは支部が完成してからでも良かったのですが、本人がこちらの生活に慣れるために早くから住み込みたいと希望しまして、モンモンデルのギルド長が許可しました。ダンジョンマスター様に許して頂けるのならば今日からでもお願いしたいのですが……引き受けていただけますでしょうか?」


 アークが渋い顔でコチラを見ている。その目は明らかに『断れ』と語っていた。しかし、先程無駄な魔力の出費が決定してしまったため、魔力回収のための人員は多いほうがいい。アークには悪いが自堕落な生活は諦めてもらうとしよう。


【問題ありません。詳しい注意点もありませんので、生活に関することは後でアークさんやエリシー達に聞いてください。キャスさん、よろしくお願いします。】


「ダンジョンマスター様、よろしくお願いします。ギルドの仕事について分からないことが御座いましたら私がお答えします。どのようなことでも気がねせずにお聞きください」


 キャスはそう言って丁寧にお辞儀した。アークではわからないような事務的な部分で役に立つかもしれない。アークはどうも冒険者寄りの視点でものを考えている傾向があることだし。


「キャスをよろしくお願いします。

 それでは次にアレンさんについてですが、出来ることなら彼も暫くの間ダンジョンに置いて頂きたいのです」


 ある程度予想は出来ていたが……なぜ同じ用件なのに二人別々に話すのか。まとめて『二人預かって欲しい』でいいと思うのだが……。

 キャスは確実に預けたかったがアレンはどちらでも良い、もしくは断って欲しいということなのか? 二人同時では断られたりどちらかを選ぶことになると踏んだのかもしれない。

 真意は分からないが、人が増えることに問題はない。しいて言うなら寝床に困るといったところか。


【それは構いませんが、彼はどのような理由で?】


「一つは本人の希望です。友人であるエリシーさんやまだ幼い二人がアークのような男と共にいることを危惧したようですね」


「俺は手出ししてないし出す気もないからな」


「もちろんです! アーク様は誰彼構わず手をような方ではありません!」


「……」


 ――エリザのもの言いに反論するアークだが、キャスの援護にむしろ勢いを殺されてしまっている。なにか言ったところで変わるわけでもないと察したのだろう。ため息をついて黙ってしまった。


【アークさんの素行については一先ずおいておくとして、まあアレンさんの気持ちもわからなくはありません。ですが、完全に個人の感情だけを優先してお連れしたわけではありませんよね?】


「はい。もう一つ、ギルド側の事情としまして、ダンジョンの事を知る……特に男性である彼を野放しにして情報が漏れるような事態を防ぎたいのです。そこでいっそのことダンジョンに雑用係として派遣して町から遠ざけてしまった方が確実だとなったのです。本人も望んでいることですし……。

 付け加えますと、これからダンジョンが大きくなり人の出入りが激しくなればエリシーさん達三人だけでは人手不足になるかもしれないという考慮もあります」


 確かにこれから人が増えていけばダンジョンは急成長することだろう。そのための従業員確保も重要になってくる。

 しかし、ギルド側は今回の件を『ダンジョンの雇用』にギルドが介入する取っ掛りとするつもりなのかもしれないから注意が必要だろう。

 人を斡旋してくれる事はありがたいが、スパイを送り込まれたのでは堪らない。これからもギルドから人材を派遣されることがあるようなら雇用は慎重に行わなくてはならない。


【分かりました。それではアレンさんに幾つか質問をさせて頂きます。よろしいですか?】


「はい!」

 

勢いよく返事が帰ってきた。まるで就職試験の面接みたいになってしまった。


【ダンジョン内での仕事としてどのようなものを想定していますか?】


「えっと、そうですね……。エリシーは掃除と食料調達を主にしているとのことでしたので、僕もそうなるのだと思っていました。冒険者のなり立ての時は街中での雑用をしていたので、掃除は得意です」


 ふむ。掃除に抵抗はないか。


【戦闘はできますか? 初心者の冒険者に舐められない程度に】


「これでも冒険者ランクはCです。あ、一般にはDランクで一人前、Cランクで一通りの依頼に対応できる実力があると見なされます。ですので戦闘もそれなりに出来るとギルドから評価されているとも言えます」


【わかりました。人が集まれば冒険者間での衝突も多くなることでしょう。アレンさんにはそれらの対処をお願いするつもりです。普段は男湯の掃除となります。よろしいですか?】


「はい! 問題ありません。精一杯働かせて頂きたいと思います」


 なかなか素直で真面目そうだ。まだ根っ子の部分は分からないが、なかなかいい人材なんじゃないだろうか?


 それにしても、ここには若いわりに実力の高い人間が多すぎる気がする。そんなに簡単にランクは上がるものなのか……。

 案外、30~40歳位で大抵の冒険者は引退するのかもしれない。そこから先は肉体的にも衰えていくばかりだろうし、収入が不安定であちこち飛び歩いている冒険者では家庭を持ちにくいだろう。


 

【これからよろしくお願いします。エリシー達をしっかり守って下さい。】


 こう言って使命感を煽るような事を言えば、真面目な彼ならより一層仕事に精を出してくれることだろう。アークには絶対に効果はない。

 彼の表情が更にキリッと引き締まった。

「あ…ありのまま今起こった事を話すぜ!

『一週間以上更新していなかったのに、いつの間にかお気に入りが激増していた』。

な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった…(歓喜で)頭がどうにかなりそうだった…平均評価が上がっただとか日別PV過去最多だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

小説家になろうの評価システムの意味不明さの鱗片を味わったぜ…」




チャチとか言ってごめんなさい。ネタ的に書きようがなかったんです。

お気に入り1件増えただけでニヤニヤが止まらない作者です。


日間ランキング117位なんですけど……、お気に入り数がなぜか50近く増えてるんですけど……、日別PVの1位(今日)が2位(昨日)の倍もあるんですけど……、一昨日の四倍なんですけど!?

い…イタズラじゃないよね? 素直に喜んでいいんですよね!?


明日お気に入り50件減ったりしないですよね!? 逆に怖いんですけど!?


とにかく、こんな誤字脱字矛盾及びキャラのブレが酷いこんな作品を読んでいただきありがとうございます。これからも頑張って行きたいと思うのでよろしくお願いします。

更新遅くてすみません。



追記3/20

沢山の感想、お気に入り登録、評価をいただきました。その間全く更新できず申しわけありません。

どうかもう暫くお待ちください。

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