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なんとか

サブタイなんて適当だー。

小出しにしてると思いつかねーんだー。

「え?」




 だれの口から出た言葉だろう。僕かもしれない。

 ……まあ、アークではないだろうが。


「いやだから、誰かが三人を買って上げて普通の生活をさせてあげたらいいんじゃないの?」


 それは考えてなかった。

 奴隷一人を買い、養うためにどの位お金がかかるのかは知らないが、サラがそれなりな地位と財力を有している事は分かりきったことだ。

 

 これは困ったことになった。




 と思いきや、コレで解決と思っているのはサラと僕だけのようだ。

 他の大人たちは難しげに思案しているようだが、解決案はみつからなそうだ。

 チコとチヤは未だ展開についていけていない。 


 黙り込む大人たちに困惑するサラ。そんな彼女への説明役はナデアがかって出た。


「サラ様、残念ながらそう簡単には行かないのです。一応いい部屋でいい食事にありつける生活はできると思いますが、それはサラ様や私達の目の届く範囲でのことです。

 奴隷であるという事実は変わりません。屋敷の使用人や奴隷達からすれば、奴隷の身分でありながら贅沢な暮らしをする人間として、非難や嫉妬の対象になるかも知れません。

 さらに、買い物一つとっても様々な問題が起こるので街中を一人で出歩くことも出来ませんし、まっとうな仕事に就くこともまず不可能でしょう。この国では、奴隷は奴隷としてしか生きられないのです」


 なるほど。言われて見ればその通りな気がする。

 残り二人も『特に付け加えることはない』とでも言いそうな表情で頷いた。


 さきほどの「え?」は僕の声だったのか?

 随分と言葉を発していなかったから分からなかったのかもしれない。しゃべり方を忘れる前に発声練習でも始めておこう。


 それはさておき、サラはまたもや「名案」が却下されてしまったからか、シュンとして小さくなってしまった。

 この位の年の子としてはかなり大人びた思考、判断が出来ていると思うのだが。

 そう考えるとチコも中々なものだと思う。この世界ではコレがデフォルトなのだろうか……。


「マリーナさん。ナデアさん。やっぱり私、ダンジョンに残ろうと思います。マスターは必要ないって言ってくれるかも知れないですけど、まだ助けてもらった恩が返せてないんです。

 それにここでの生活は質素で不便なところも有りますけど、不思議と苦にならないんです」


 マリーナとナデアの心は複雑だろう。しかし具体的な解決案を出せない以上、エリシーが望むのならば現状維持しかない。

 

「ダンジョンマスター様からは既に食料を融通するよう頼まれています。許される限り、恩を返したらいいのではないですか? 幸い、ギルドのダンジョン支部を作る話も頂いていますし、ここに居られなくなっても私達を頼っていただければ『行くあてが無くて途方にくれる』などということにはならないはずです」


 エリザからの援護射撃だ。彼女の場合、ギルドとダンジョンの仲介役や、共存の象徴のようなものを望んでの発言である可能性もあるが。

 ちなみにエリシーたちには先ほどの交渉で決まったことは大まかに話してある。


「それに支部ができればダンジョンマスター様の言っていた通り、このダンジョンにおけるギルドの発言力は確固たるものになることでしょう。いくら主人不在の奴隷とはいえ、ダンジョンマスター様と契約している者を無理やり連れて行くようなことはギルドが許しません」

 

 これに反論したのがマリーナだ。


「しかしエリザ。ギルドは本当に支部を置くのだろうか? 一歩間違えたらギルドは真っ先にエリシーの敵になる可能性もあるのでは?」


「まず間違いありません。ギルドとしては、他を出し抜いて優先権を主張できる機会を逃すなどありえません。

 仮に支部を置かないことになったとしても、それは周囲との摩擦を考慮してのことでしょう。ダンジョンとの敵対を望んでいるのは少数派なのですから『支部を置かない=敵対する』とはなりません」


 それを聞いて安心した。ギルドと敵対などしようものなら、あっと言う間に攻略されてしまうだろう。


「……なら、仕方ないか。実際、今はやりようもない」


 マリーナが小さく溜息をつく。


「まあまあ。エリシー本人がこう言っているのですから。それに店舗ができればダンジョンの情報も直ぐに集まります。何かあっても駆けつけられますよ」


「何かあってからでは遅いのだがな……。エリシー。首輪の解除法はこちらで探してみる。お前は自分の安全にだけ注意していろ」


 ナデアの言葉もあってか、何とか踏ん切りをつけたようだ。


「それで。そっちの二人はどうするんだ? エリシーは残るし、今ならギルドが食料を準備してくれるぞ?」


 チコとチヤはいきなり振られてビクリとしたが、答えは既に決まっていたようだ。


「エリシーさんと一緒にいます。私達もマスターにお返ししたいことが沢山ありますし。行くあてもありませんし……いいよね? チヤ?」


「うん。ここがいい」


 よかった。これで当分は何とかやっていけそうだ。

 彼女達の信頼を裏切らないよう。頑張るとしよう。

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