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タッチパネル

 やはりスケルトンを往復させる会話法には無理があるのだ。

 少し込み入った話をするだけで半日潰れたこともあるし、書き込める文字数にも限界がある。

 つまりお互いが思った事を直ぐに伝えられて、なおかつ臨機応変文章を変更できるような会話法の開発が急務だったのだ。


 そこで幾度となく頭のなかでシミュレーションして編み出したのは、タッチパネルによる筆談である。

 仕組みはそれ程複雑ではない。

 縦50cm、横1mのボードを1mm四方に区切り、すべてのマスに小さな光のエレメントとそれに連動したスイッチを仕込む。

 同じものを通話先に設置し、すべてのマスをそれぞれ対応するマスに魔力のラインで繋ぐ。これはトラップのスイッチと可動部を繋ぐためによく使うものだ。

 あとはマスの表面に触れる事でスイッチのon/offが切り替わり、一方のボードのマスがonとなって発光したい場合はラインを通じてもう一方のボードの対応するマスも光るように設定するだけだ。

 こうすることで、指などでボードをなぞれば触れた部分だけが光るため、その場で文字を送る事が出来るという寸法だ。ドット絵も作れる。


 欠点は持ち運び出来ない点と、長文を書く時はそれに応じて時間がかかる点ぐらいだろう。

 だがこれで会話のテンポが格段に良くなるはずだ。

 彼女たちの部屋にダミーのマイクでも設置して、返事はそこに言ってもらう事にすればさらに早くなる。

 音を伝える仕掛けは今は思い浮かんでいないため『ダミー』なのだ。『ダンジョンないのどこのことでも見聞き出来る』ということがバレないようにするための措置である。

 マイクにはさらにダミーのスイッチでもつけて置けば、プライバシーも守れるだろう。

 …あくまで彼女たちの認識の上ではだが。



 出来上がったものを確認するだけなら単純だが、ここに至るまでに随分と脳内で試作品が没になっている。


 例えば初期型の一つには光ファイバーのような物を考えていた。

 複数のマスにスイッチ連動型光エレメントを仕込むところまでは同じだが、伝達方法が違う。

 屈折率を操作して光を外に逃がさないようにした細い石英ガラスを創造し、三人の部屋までつなげることで文字を届けようと思ったのだ。

 思いついた時は自分の発想力を褒めてやりたくなったものだが、実際に脳内シミュレーションしている時にあることに気づいた。

 素直にケーブルを繋いだだけではやり取りする画像が左右反転してしまうのである。

 これを改善するために、途中に鏡を仲介する方法や左右反転するようなケーブル接続の仕方を考えたりもしたが、なかなかコレといった案は思い浮かばなかった。

 そしてなにより、この光ファイバーは明らかにオーバーテクノロジーであるためか創造のために膨大な魔力をつかうのだ。

 それを何万本も作る余裕はなかった。


 ああでもないこうでもないと考え続けて、最終的には諦めてしまって地下二階の防衛トラップの見直しでもしようかと考えた所でひらめいたのだ。

 

 別に光ファイバーに拘らなくても、トラップを作るときに使うラインで十分なのではないか? …と。


 要は何らかの信号を伝えるだけでいいのだから、それを光に限定する必要はなかったのである。

 単純に二つのスイッチを魔力でつなぎ、それを可視化するために光らせれば問題ないというわけだ。

 

 

 思いついて仕舞えば後は速かった。

 この方法なら魔力を食うのは大量の小さなエレメントだけで、ラインやスイッチの設定に使う量など微々たるものである。

 

 なかなかタイミングがなかったため実装まで時間がかかってしまったが、丁度良い機会だろう。

 早速彼女たちが降りて来る前に仕上げてしまわないと。

いろいろ考えた末に出来のがコレでした。

結局魔法って何でもありなんですよね。

そこに気付くまでが長かった…。


なにか矛盾等ありましたら教えてください。

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