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やすらぎの迷宮  作者: 魔法使い候補生
第二章 宿泊施設として
15/69

準備

 看板に書ける文字数はそれほど多くないため、何度もスケルトンを往復させなければならない。

 最弱スケルトンではこれ以上大きな看板を持たせることが出来なかったのだ。


 そんなわけで、現在エリシーは緊張と弛緩と頬っぺたタッチを繰り返しているわけである。

 スケルトンの入れ替えにかかるのは5~15秒ほどであるが、この時間が彼女の理解と思考に余裕を与えているようだ。


 彼女に伝えている事をまとめると次のようになる。



・迷宮に住み込みで仕事をして欲しい。

・仕事内容は迷宮内の掃除。

・仕事は基本的に人がいないとき。

・接客の必要はない。

・報酬は冒険者がおいていった食物。

・水は無いので自分で調達してほしい。

・外部との接触やダンジョンの出入りは自由。

・期間は報酬が払えなくなるまで。

・いつでも辞めていい。



 といった具合だ。

 ちなみに水を置いていってくれた冒険者はいない。ただ、少し離れた場所に川があるらしいからそれを取ってくるのはエリシーの役割となるだろう。

 品揃えは少ないが、食べ物のストックは一日三食でも十日は持つだろう。短いかも知れないが、彼女達に必要なのは考える時間と暫く安全に身を隠せる場所だ。

 その場しのぎであっても、彼女達にもメリットがある。


 そしてここ以外に行き場がない、ここの仕事も悪くない……という結論に達してくれれば儲けものだ。そこからさらなる懐柔に踏み込める。


 


 一先ずこちらの要望は全て伝えた。 

 エリシーの前のスケルトンの持つ看板にはこう書かれている。


右【風呂に入ってきてください。その間に準備をします。風呂から上がったらもう一度ここへ】


左【仕事を請けるなら左手を頬に当てた後、スケルトンに付いてきてください。請けなくてもダンジョン内で自由に過ごして頂いてかまいません】



 エリシーは実に2分ほど考えていたが、少女2人を風呂への通路に向かうように促した。

 事前に情報は持っている様だから風呂については大丈夫だろう。ついでに自分の仕事場の様子を確認してもらうとする。



 その間に食料を少し見繕って、ダンジョンの設計に入ろう。

 彼女達が引き受けてくれたら直ぐに作成に取り掛からなければならないからだ。


 


 まあそれはおいておいて、最重要事項が残されている。


















 従業員の制服である。

 

 細かく想像できるものは創造できる。

 そして僕は、衣服の構造についての知識があるのだ。

 スーツや作業着などに始まり、セーラー服や学ラン、コアなところではメイド服やキャビンアテンダント、ダブルアーチのロゴで有名な某ハンバーガー店の制服であっても用意できそうだ。

 一方で、『私服』のくくりに入るものは驚くほどレパートリーが少ない。Tシャツのように簡単な構造のものなら作れるが、ファッション雑誌に載っているような服はとても作れそうもない。

 今後の試行錯誤でレパートリーを増やすことは出来るだろうが、今はそんなことに魔力を費やせるほど余裕はない。


 この偏った知識を僕はどうやって集めたのだろうか。謎は深まるばかりだ。


 





 まあメイド服を作ることは既に決まっているのだが……。

 

 そこには多少は僕の趣味を含むが、対外的な印象を考えての選択でもある。

 彼女達が外部への接触をいつごろ望むかは分からないが、いずれは必ず起こることだ。その時、ダンジョンが人間を囲って何をやらせているか、どのような扱いをしているかを問題視する輩が出てくるかもしれない。

 彼女達が、みすぼらしい服を着ているのと清潔感のある服を着て健康的に働いているのでは印象が大分違うだろうし、今後従業員を増やす時にも有利に働くはずだ。

 もちろん彼女達自身が自分の仕事に誇りや遣り甲斐、希望を見出す手助けになるだろうという思惑もある。


 考えれば考えるほどメイド服が最適な気がする。浴場建設以来の力作になるかも知れない。












 ところで、女性下着の構造や手触り等の記憶が一切ないのだが……。

 ノーパンメイドとはまた随分と背徳的な響きである。

相変わらず短いですねー。


ところで今の内に言っておきますと、このお話には特定のヒロインは現れないと思います。主人公の設定や考え方を尊重する限り難しいのは分かってもらえるのではないでしょうか。


あるいはその壁を打ち破る時に、このお話はエンディングに向かって進みだすのかも知れません。

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