最先端の家
通りの角を曲がると派手な外見の家が建っていた。
「ああ、あれだよ。あの家がそうだ。僕は明日からあそこで暮らすんだ」
友人はその家を指差した。
「本当に派手な家を建てたものだね。周りの家から完璧に浮いてるじゃないか」
「派手なのは何も外見だけじゃないさ。中もすごいぞ」
友人は両手を広げ家の前に立った。
「ようこそ。最先端の家へ」
「御託はいいから早くその最先端な所を見せてくれないか?」
「まあまあ、そんな急かさなくてもすぐに見せてやるさ」
友人はインターフォンの前に立つ。
「まずは、家に入るまでだ。例えば、荷物で手が塞がってるとするだろ?そんな時に役に立つ。ただいま」
一瞬おいて鍵が開く音がした。
「今のはただいまという暗号と僕の声紋で鍵を開けたんだ。さあ、入ってくれ」
促されるまま家の中へと入る。
玄関で靴を脱ぐと横からアームが現れスリッパを置き、靴を靴箱にしまった。
「しまった靴は玄関に近づけばちゃんと出してくれる。足音で人物を判断するんだ」
「よくできてるな」
感心していると足元にネコが駆け寄ってきた。人懐っこくじゃれてくる。
「あれ?君はネコなんて飼っていたかい?」
「ああ、そのネコは本物じゃないんだ。ホログラムに感触があるだけさ。だから死ぬこともない」
「すごいな。本当に触ってるみたいだ」
「さて、それじゃあ次にいくか」
友人の後に着いていくとキッチンに通された。
「キッチンにはどんな機能があるんだ?」
「よくぞ聞いてくれた。これを見てくれ」
友人は何やらキーボードを叩き入力した。すると、キッチンの周りから先程と同じようなアームが現れる。そして、調理をし始めた。
「キッチンには料理から片付けまで全部してくれる機能がある。ここで食べたいものを入力すれば作ってくれるしな。よし、今度はリビングだ」
リビングには家具も何も置かれてなく殺風景であった。
「家具が何もないじゃないか。どうするんだい?」
「まあ見てなって」
友人は部屋の中央に行き後ろにゆっくりと倒れこんだ。
尻餅をついたと思ったが彼はソファーに座っていた。床からソファーが出てきたのだ。
「どうだい驚いたろ。このリビングは自分が必要な物を必要な場所に出してくれるんだ。テレビを見たいと思えば……」
友人が言い終わる前にソファーの前にテレビが床から出てきた。ソファーから近すぎず遠すぎず程よい距離だ。
「便利なもんだろ。そして、ベランダは……」
友人がベランダを向くのにつられてベランダの方を見る。そこには、夏だというのに雪が降っていた。
「天気や季節を自由自在に変更できる。さっきのネコと同じで触った感触もあるんだ」
今度は桜が舞った。ベランダに出て花びらに触れてみると確かに柔らかい感触がある。
「まだまだ君に見てほしい所があるんだ。ついてきてくれ」
ベランダのドアを閉め、友人の後につづいた。
それからも友人は驚愕の最先端技術を持つ家を案内してくれた。
「いや、本当にすごいねこの家は。僕も一度はこんな家に住んでみたいものだ」
「そうかい? 楽しんでもらえてよかったよ。実際、僕も一度しかここへは来てなかったからまだ知らなかった機能が見れて楽しかった」
「そういえばこの家は追加で新しい機能をつけたりできるのかい?」
「製作者によればそれは無理らしい。この状態から家をいじるとなるとまた一から作り直さないといけないんだろうな」
「そうか……それじゃあ何か欲しい機能があってもダメなわけか」
「そうなるね。どうしていきなりそんなことを言うんだい?」
「いや、特に意味はないんだ。ところで……」
「何だい?」
「トイレは何処にあるんだ? さっきからトイレに行きたくてね」
「え?」
友人の顔から血の気が引いていくのが分かった。
お読みいただきありがとうございました。
この作品では近未来な家について書いたんですがいずれかこんな家に住んでみたいものです。
そんなわけで自分があったらいいなと思う機能をつらつらと書かせてもらってます。楽しんでもらえれば幸いです。
たぶん本当にこんな家ができればもっと便利な機能がつくんでしょう。楽しみです。




