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「・・・65!66!67!68!69!・・・」
中庭に俺の声が響く。
現在俺は腕立て伏せをしている。
「・・・94!95!96!97!98!99!100!!ぐはぁ!」
ノルマを達成したとともに俺は中庭の地面とキスする。
「きっつぅー・・・」
「お疲れ様です。はい、スポーツドリンク」
アイがウサミミで俺にスポーツドリンクを渡す。
「あい、さんきゅ・・・。てか今更こんな地道なやつするのか・・・」
「何言ってるんですか。この前は仕方なかったからですけど、本当はこういう鍛錬が大切なんですよ」
「そんなもんかな・・・」
「そんなもんです」
しばらく俺が愛しの地面とキスをしていたら休憩の終了を告げられる。
「はい!次はお待ちかねの真剣ですよ!」
「別に待ってないよ~・・・」
また、地獄へと俺は足を突っ込んでいく。
「しゅーりょーでーす」
「おつ、かれ・・・さまでした・・・」
死ぬ・・・、最近きつさが増してきた気がする。
「うむうむ、最近は私に一撃入れようとする余裕ができ始めてきましたね。いいですよ、私もギアを上げましょう」
「どんだけぇー・・・」
本当は、アイ余裕で王子とか倒せるだろ。ギリギリとか嘘やん。
「おーい!お前たち!」
遠くから中庭に向かって誰か走ってくる。
あの青髪イケメンは・・・。
「「ピュア王子だ」」
俺とアイの声がかぶさる。
「え、なんだ?なんで俺の顔見てそんな目するんだ」
いえいえ、何でもありませんよ、王子。我々は、ただ見守っているだけです。
「な、なんで、そんな見守るような目するんだよ!」
「いえいえ、何でもないですよ。それよりどうしたんですか?」
アイが温かい目で尋ねる。
「う、うむ。そうそう、俺のゴーレム!・・・じゃなかった、一か月後に他国と勇者の交流があるんだ。それにお前たちも来てほしくてな」
俺たちは温かい目のまま顔を見合わせる。
そして笑顔で、
「「却下」」
同時に告げる。
「ええ!なんでだめなのだ!」
「「めんどくさいからな(ですし)」」
また二人同時に告げる。
基本的に俺たちはめんどくさがり屋さんだ。自分たちに関係ないことは気にしない。むしろ、気にしたくない。
「そ、そんな!そこをなんとか!」
王子は顔の前で手を合わせて頼む。
「ええぇぇ・・・、嫌だよ・・・。紅音がいきゃいいじゃん」
そうだ、紅音のように完璧超人が行ってハーレム作ればいいんだ。それで、いいじゃないか。
「いや、紅音殿は行くことは決定している」
「じゃあいいじゃん。なんで俺らが行かなきゃいけないの?」
そのことを尋ねると、王子あからさまにギクリという表情をする。
「・・・なんかあるだろ」
「・・・実はな、この前の国同士の交流会の時・・・・・・
――――――――――――――
『以上で王子交流会は終了します。一同礼』
『『『『ありがとうございました』』』』
『おい、クリス。お前、異世界人に負けたって?』
『なんだ、そうだが?それがどうした?』
『ハハハッ、一週間くらいしか剣を持っていない女にだろう?大方、色仕掛けでもされたのだろう?ゴミのような者を呼んでしまったな。ハッハッハ』
『なんだと?あいつがゴミだと?そのような暴言許さんぞ、ミレア!そうやって見てもいないのにあいつの悪口を言うな!お前のような奴の方が俺はゴミだと思うがな!』
『ッチ、な、なんだよ!そこまで言うなら見せてみろよ!うちの勇者パーティと戦わせてどんな奴か見てやろう!』
『いいだろう!後悔するだろうがな!』
『後悔?笑わせてくれる!返り討ちにしてやろう!』
―――――――――――――
と、いうことだ。頼む、約束したんだ」
「完・全に、お前ら側の都合じゃないか。なんてこと約束してくれたんだよ」
「分かってるけど、頼む。俺は、あいつにお前らがそんな奴じゃないと教えたいんだ」
王子は頭を下げる。
・・・なんでこいつは俺らにここまで多大な信頼を寄せてるんだよ。
「ああ、もう、分かったよ。いけばいいんだろ。行けば」
「うーん、クロ君が行くなら私も行きましょう」
「本当か!ありがとう!」
(こいつって、最近めちゃくちゃ子供っぽくなるよな・・・)
(ええ・・・、この笑顔をされると自分の根暗さが浮き彫りになります・・・)
「ゴホン、まあそれは、おいといて。そんなことよりも、俺のリースは、まだ完成していないのか?」
「「リース?」」
俺たちは二人で顔を見合わせる。
「ゴーレムだよ!ゴーレム!名前考えておいたんだ!」
ああ、なるほど。クリスの名前からリースか。
てか、おかしいと思ったよ、ただ、交流会のこと伝えるためだけに王子クラスが来るわけないしな。こいつ、ゴーレム目当てだったからか・・・。
「で、完成したのか!?」
「ああ、おととい完成しましたよ」
「なんで言ってくれないんだよ!俺の部屋来てよ!」
「仮にも一国の王子ですよ、あなたは。軽々しく訪ねることができるわけないじゃないですか」
「そこは、友達だからいいんだよ!」
「と、友達!?」
途端にアイの目がキラキラと輝く。ウサミミも振りまくりだ。
「ま、まあ、そこまで言うなら・・・、友達にしてあげてもいいでしょう。ねぇ、クロ君?」
なんで俺に振るんだよ。
「ああ、別にどっちでもいいが」
「良くないですよ!セカンド友達ですよ!なんて呼びましょうか!」
「じゃあ、クリ〇ンで」
「嫌だよ、なんでそんなツルリンの派生みたいなんだよ。クリスでいい」
アイのウサミミはふりふりと上機嫌だ。
・・・、なんか見ててイラッと来る。
俺がじとーっと見ていると、アイがこっちに気づいてニヤニヤと笑ってくる。
ベ、別に友達がとられるとか、そんなこと思ってないんだから!ただ、飼ってた犬が他の奴に尻尾振った気がして嫌なだけなんだから!
「おやおや、嫉妬ですか、クロ君」
「何がだよ?」
アイは俺の態度に機嫌をよくしたのかさらにニヤニヤしてくる。
すると、こっちに近づいて・・・
「ぎゅー!可愛いですね!嫉妬するクロ君、可愛いですね!」
「やめろ!抱きつくな!離れろ!」
すると、アイはさらに力を強める。
「恥ずかしがらないでいいんですよ!嫉妬してるんでしょう!」
「うるせぇ!違う!離れろ!苦しい!」
今日のアイは異常にテンションが高い。セカンド友達がそんなに嬉しいか!
「おーい、俺のリースは?」
そんな中、王子だけが取り残されている。
「はいはい、そうでしたね、カモン!」
アイがそう叫ぶと、空からクルクルと回転する三つの物体が落ちてくる。
そして地面に降りて姿を見せる。
正面には俺を模したゴーレムのクーちゃん(白いゴスロリ)、クーちゃんの後ろにはアイを模したアーちゃん、そして、一番後ろに青い髪のゴーレム。
青目に青い髪ということはクリスのゴーレムのリースだろう。
クリスを見るとぷるぷると震え、今にも叫びそうだ。
「う、う・・・うおぉぉぉぉぉ!!!!!」
あ、叫んだ。
なんなんだよ、こいつのゴーレム愛。どんだけ可愛いもの好きなんだよ・・・。
「まだ、まだまだです!ゴーレムさん達!お願いします!」
アイが言うとゴーレム達は、クーちゃんから少しずつタイミングをずらしながら上半身だけ回しはじめた。
「「!」」
こ、これは!某人気ダンサーの名前はわかんないけど、あの、なんか回るやつ!!
「「ウオォォオォォォぉ!!」」
これには思わず俺も叫んでしまった。
まさかこんな所で故郷を思い出させるとは・・・。
そろそろ、魔法の勉強も入れていきます。




