25(閑話休題)
ここは、黒田正平の部屋。彼は王子との戦いでの負傷 (と言うのは建前で実際はアイリスの特訓の過労)で倒れ現在気絶している。
ガチャリ
扉が開く音がした。入ってきたのはアイリス、どうやら彼のお見舞いに来たようだ。
アイリスは、入ってきて早々彼の眠るベットへと歩いて行った。
「クロ君、あの王子の攻撃があたったように見えませんでしたが、こんなに大怪我だったんですね・・・」 ※あなたの特訓のせいです
アイリスは静かに目から涙を流し、
「クロ君、特訓をもっと激しくして絶対にもっと強くしてあげますからね!」 ※死亡する可能性があります
ガチャリ
また扉が開く音がした。入ってきたのは紅音とその仲間たち。アリシアとジュリアだ。
四人が顔を合わせた瞬間、四人から悲鳴が上がる。
「「「「ひぃぃぃ!!」」」」
アイリスは正平の寝ているベットの後ろに、紅音たちは扉の後ろに隠れる。
・・・・・・沈黙が流れる。
最初に沈黙を破ったのは四人のうちのだれでもなかった。
「何をしている」
入ってきたのは王子のクリスだった。その王子を見るとアイリスの顔は険しくなった。
「お前たち三人とも早く中に入らんか」
ぐいぐいと紅音たちを正平の部屋に入れる。
「待って!まだ死にたくない!」
「お兄様!どうか!」
「王子!これ以上は冗談では、すみません!私は自分の命が惜しいです!」
紅音、アリシア、ジュリアの順でクリスに抗議する。
「わけのわからんことを言うな。さっさとはいれ」
ガチャンと扉はしまった。
・・・・・・またもや、5人に沈黙が流れる。
5人の考えることは様々だった。
(むー・・・、クロ君をこんなにしたのによくものこのこと現れたものです・・・)※何度も言いますがあなたのせいです
(正・・・、早く起きて、そしてウサミミの人の生贄になって・・・・・・)←アイリスを魔物か何かと思ってる人
((なにか真剣に考える紅音様・・・素敵))←紅音に夢中な人たち
(ああ!俺がこんなにしたのに、どの面下げてきたんだよ俺ぇぇぇ!!ウサミミの人めっちゃ睨んでるし!来なかった方がよかったかなぁ・・・。それにしても寝顔が可愛いなぁ・・・。違う!そうじゃなくて・・・!)
真剣に逃げようと考える紅音、その紅音に熱い視線を向けるアリシアとジュリア、そして頭を抱えるクリス。
この沈黙を破ったのは、またもやクリスだった。
「なあ、そこのウサミミは何をしているんだ?」
ビクリとアイリスのウサミミが揺れた。
「お、お見舞いにきたに決まっているじゃないですか!あなたこそ何しに来たんですか!クロ君に勝手に因縁つけて、負けたら城を出ていけだなんて・・・、横暴です!最低です!」
アイリスの口調はドンドン厳しくなっていく。いつも知らない人に会うとオドオドしているのとは、大違いだ。
「本当に何しに来たんですか!クロ君は私の初めて・・・ごにょごにょ(のお友達)なんですよ!大切なんです!」
アイリスが頬を染め、そういった瞬間この場の全員がピシリと固まった。
(は、初めて、って・・・この人は正の、そ、そういう・・・あれなの!?)
(じょ、女性同士で!?そんなことがあり得るのか!!?いや、世間一般ではそういうことが浸透しているのか・・・。俺が王子で世間知らずだからなのか?!いやいや・・・、女性同士の場合は、やはりまずいのでは・・・)
この中で口を開いたのは、なんとアリシアだった。
「は、初めて(男女の営み的な意味で)はどんな感じでしたか・・・」
「「!」」
紅音とクリスの二人がまたもやピシリと固まる。
「え、ええと・・・。初めて(のお友達)は、優しかったです・・・」
アイリスはさらに頬を染め、ベットの後ろに隠れていく。
(確定だ!正はこの世界でいきなりやっちゃったんだ!)
(彼女は、彼女は男に興味ないのか・・・!くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」)
(あれ?会話続いてる?お友達?お友達決定ですか?名前聞いちゃいましょうか!)
次に口を開いたのはアイリスだった。興奮でウサミミをブンブンと振っている。そのウサミミがベットに寝ている正平の腹に当たり大ダメージを受けていることには気づかない。
「あ、あの!お、お、お、お名前・・・聞いても、よろしいでしょうか・・・・・・」
声が小さくなるにつれてウサミミの振り方も小さくなる。
「あ、そ、そうだったね。僕は、白鷹紅音正平の幼馴染だよ」
「わ、私はアリシア・カリミ・サレアスです。紅音様に魔法を教えています」
「私はジュリア・ホークスだ。紅音様に剣を教えている」
「俺はクリS「あなたには聞いていません。外道が!」って、おい!」
アイリスは、クリスにとことん冷たかった。クリスは少し涙目だ。
「お、俺だって、悪いと思ったから見舞いに来たんだ!そのことに関しては、本当にすまなかった・・・」
「フーン・・・、私に謝ってもクロ君が許すわけじゃないですけどね」
「ぐっ・・・・・・」
クリスは言い返そうとしてもアイリスの言っていることが正しく反論できない。
空気がまた淀んできたように思えた。
「そ、そうだ!お見舞いに僕、果物もってきたんだ!」
そんな空気を変えようと紅音はお見舞い品を出す。
「化粧できないと嫌かと思ったので私は化粧品です」
「私は、とりあえずリボンを持ってきた」
紅音の後にアリシア、ジュリアが続く。
(異世界の人は、男性でも女性のようなおしゃれをするのが当たり前なのでしょうか・・・。クロ君もっときれいになれますね)
「お、俺も実は持ってきたんだ!」
それに、便乗するようにクリスもお見舞いの品を出そうとする。
「は、花がいいと思ってきてな!これ!摘んできた!」
クリスが出した花は、根っこには土がつき萎れてしまった花だった。
そんなものを出したら、どうなるかは分かりきっているのだがクリスは自信満々だった。
「・・・ふざけてんですか?」
「うわぁ・・・、僕だったら嫌がらせとしか思えない・・・・・・」
「お兄様、それはないです・・・」
「王子、センスないのですね」
女性陣のズバズバとした言葉の槍にクリスは限界だった。
「・・・ごめんなさい」
そういって、部屋から走り去ってしまった。
「・・・、あー・・・、僕たちもそろそろ帰ろうか・・・」
「・・・そうですね」
「騒がしくしてすまないな。えーと・・・」
「アイリスです・・・。アイリス・カメリア」
「アイリス殿、それでは正平様によろしく言っておいてください」
「それじゃ、アイリスさん。さようなら」
「「さようなら」」
「あ、はい、さようなら」
そういってガチャリと扉が閉まった後、アイリスはひとりガッツポーズしながら、
(クロ君、私、知らない人から名前聞いちゃいました!)
と、うきうきしていた。




