13
名前編です
「あ、黒田さん。魔法の本貸しておきます」
「ホントか!ありがとう」
「いえいえ」
「あ、そうだ。そういえばさ名前で呼んでよ。あと、別にさん付けなくていいし」
「え!」(ひゃっほう!呼び捨て許可いただきました!これ、絶対友達決定ですよね!)
アイリスのウサミミが嬉しそうにぴょこぴょこ揺れている。なぜ?
「そ、それでは・・・、あー、あー、ゴホン、ゴホン・・・。行きますよ」
空気が張り詰める。時間が止まったようにも感じる。なぜ、名前呼ぶのにこんな真剣に・・・。
「おう・・・、こい!」
アイリスの真剣な空気におされ俺も緊張してきた。
「本当によろしいのですね・・・」
「ああ、いつでもいいぜ」
アイリスの口が開く。
「しょ・・・、しょ・・・」
そうか・・・、そういえばアイリスには友達がいないと言っていた。だからこそ、真剣になるのだろう。
「しょ、・・・う・・・、」
だがアイリス・・・、どうせならもう一段階上を目指そうぜ!
「待て、アイリス!」
「は、はい!」
アイリスのウサミミがしょぼんと垂れる。俺に名前呼びを辞めさせられると思ったのだろうか。かわいい・・・。
「なあ、アイリス。一つ上に挑戦しないか?」
「え!?そ、それは、まさか・・・」
「ああ、あだ名だ!!」
ピシャアアン!と言う擬音が出た気がした
あだ名・・・、それは友達としてワンランク上であることの証明。俺はアイリスとそれほど、いやそれ以上の友達でありたいと思う。短い間だったったがアイリスといる時間はとても楽しかった。これから友として過ごしていきたいと思う。だから・・・、だからこそ・・・
「だからアイリス!俺もお前をあだ名で呼ぶ!」
またもやピシャアアン!と言う擬音が出た気がした
「は、はい!」
「それでは、あだ名を考えようか・・・」
アイリスが静かに首を縦に振る。これは俺にもアイリスにもとても重要ないわば≪儀式≫と言えるだろう。
「く、黒田さん苗字からとって『クロ君』または名前から取って『ショー』というのはどうでしょうか・・・」
「おお、なかなかいいんじゃないか。だが俺の幼馴染が名前から取ってるから『クロ君』でいこう!」
「はい!」
「じゃあ、次はアイリスのあだ名を」
「そうだな・・・『アイ』とか『ウサウサ』とか・・・」
「じゃ、じゃあ『アイ』でお願いします。『ウサウサ』だと私の種族のあだ名っぽいですし」
これで、あだ名は決まった。次はお互いをあだ名で呼ぶ!
「どうする、俺から言おうか?」
「いえ、大丈夫です。私から言います!」
この時の彼女の顔はまるで戦地にでもおもむくような表情をしていた。
「大丈夫だ私・・・、落ち着いて・・・・・・、いきますよ!」
「ああ・・・」
彼女の柔らかいピンク色の唇が動く。声帯を震わせ声を出そうとする。
「く、く・・・くろ」
俺はがんばれと心の中で応援する
「『クロ君』!!」
――――――――瞬間、彼女の体が崩れ落ちた。
俺は慌てて抱きとめる。
「大丈夫か!?」
「は、はい。き、きんちょうひまひて・・・」
うまくろれつが回っていない。よく見ると体中汗でぬれている。
「ああ、頑張ったな」
「つ、つぎはあなたのばんですね」
「ああ、これからよろしくな」
「『アイ』」
ニコリとほほ笑んだアイの顔はとてもきれいだった。
アイリスちゃん頑張ったな~




