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先輩から悪意が聞こえない

作者: ヤスヤナ
掲載日:2026/01/01

心の声が聞こえる後輩。

けど、全て聞こえる訳じゃなく。


今日は元日ですが、話は昨日、大みそかです。

「ま、待ちました?」

「うん? いい、や?

か…」

「か?」

「何でもないよ。

僕も今来た所なんだ」


か、可愛い…!


大みそかの神社。

昼間だからか、参拝客は少ない。

1人もいなかったら、よかったんだけど。


てか。うん。

後輩(高1)の女子が、可愛い…!

格好が、いつもよりももっと清楚で、神社てこともあって、本当に可愛いです、ありがとうございます神様!


「先輩?」

いっそ、巫女姿に。

「先輩…?」

おっと、怒らせてしまったようだ。

「ごめんね。変な欲を考えて」

「いえ、私こそ、先輩の欲を勝手に聞いて、すみません」


気まずい。


「じゃ、じゃあ、行こっか」

「そ、そうですね」




「ここの神社は、明治に活躍した偉人が奉られているらしいね」

「そうなんですか?」

「その偉人がいなかったら今の日本はなかった、とか」

「へえ…」


「あ、甘酒。おしるこもあるね」

「本当ですね」

「酒粕は流石に入っていないと思うよ。どう?」

「先輩が、そう願うなら」

「変な欲を出さなくてよかったよ」


「…はあ」

僕はため息を吐く。

楽しんでくれてるかな? この子は。初もうで、じゃなかった、大みそかだから事前参りか。事前参りって言うんだっけ?


いつも、僕は優しくあろうって意識している。

もう、あんなことは嫌だから。


多分、この子は神社が嫌いだ。

✕が、聞こえるから。

神社は、✕のたまり場だから。


優しくありたいってのもあるけど、それよりも、僕はこの子に神社を楽しんでほしい。

別に、僕は神主の息子とかじゃないんだけど、けど、この子には神社を好きになってほしいんだ。


まあ、今の所、空回りだけど。


「お願いしない? 折角来たんだし」

「…そうですね」


なぜか、袖をつままれる。

滅茶苦茶ドキドキする。


「お願い、しようか」

「は、はい」




『この子の超能力が少しでも消えますように』


聞こえてくる、先輩の『欲』が。


私は、周りの人の『欲』が聞こえる。

全ての心の声が聞こえてくる訳じゃない、その人の『欲』だけ。

だから、神社に来たとき、『巫女の姿になってくれないかな』て、先輩の『欲』が聞こえてきた。少し、怒りたくなった、私は。なので睨んじゃった。


「欲が聞こえる! 私は神様みたいだ!」

そう思えるほどポジティブだったら、よかったんだけど。

苦しい、聞こえてくるのが。

だから、この神社が、大嫌いだった。

神社は『欲』のたまり場だから。

ああなりたい、あれが欲しい、あの人がああなってしまいますように。

ぶわっ、て一気に聞こえてきて、吐き気がしていた。


けど、この先輩のおかげで、それは薄まった。

少し、嫌いじゃなくなった。


『さて。甘酒、本当に酒粕が入っていないといいんだけど』

また、聞こえてくる。先輩の、優しい『欲』が。


あーあ。

『この後輩とずっと一緒にいたい』

て、願ってくれないかな? なんて。

先輩は、今、高2。


この優しい、時々いやらしいけど、優しい方の先輩と、恋人になれないものか。

私の『欲』は聞かれない。それは、少しだけ、得だ。



ありがとうございました。


本当、神社って『欲』のたまり場ですよね。

お願い事、おみくじ、お守り、など。

『欲』のない神社はあり得ないってくらい。

しかも、煩悩まみれ。


少しだけだけど好きになってくれたみたいで、よかったです。

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