5話 高校生活
月曜日の時間割は1限から、LT、現代文、物理基礎、体育、数学a。明日は火曜日、生物基礎、保健、コミュ英I、情報、お昼をはさんで総合、音楽、倫理。明日から授業が容赦なく受けられると思うと、気が沈む。わたしは勉強が好きではないし、体育の成績を最高評価にする方が得意なのだ。しかしまあ、音楽は好きなので、音楽の授業は興味がある。音楽は2択の選択授業の1つで、もう片っぽうは書道だった。静かに筆をどの位置に置くかを試行錯誤するよりも、わたしはわんぱくに歌う方が好き。同じ学年にわたしと反対の考えの人が半分もいる当たり前に、わたしは驚いた。その考えは理解出来ないが、それがその人の全てではない、そんなことを今さら考え改めるわたしは、まだ未だ、未熟だ。
時刻19時。すっかり暗くなっても風は光っている。遠くの山の上の雪と川沿いに並ぶ桜が混ざったとろ火。まだ冷たい。母が予言した通りの気温、少し南の大きなうみへび座、コンビニで買ったハッシュドポテトと温かいミルクセーキ、ローファーの音でわかるわたしの気分、息をする花々、草々。「部活は何にしようかな」心労しきらないわたしは、知らない道を我が物顔で冒険中。
高校の最寄りシンミョウジョ駅の邊に、占い婆がいた。人に興味がないようにぼーっとした眼差しをもっているくせに、何もかも知っているような顔は、ホンモノたる自信なのかわからないけれど、それは両目以外に目を持っているかのような雰囲気を漂わせていて、わたしを少し警戒させた。
そこからは電車に乗って、降りて、重い荷物を抱えながらの軽いジョギングで家まで過ごした。
そういえば、始業式の後は進藤と2人、軽い説教を担任より食らった。学校までの道がわからなかった、と言って煙に巻いて、真相を隠した。疑り深く洞察力に長けた担任を持たなくて良かった、と、その時だけは思った。