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S10 -男爵家での優雅な一日-

短いです。

申し訳ない。

「おはよう、流石朝が早いな」


 グレトン男爵は給仕の方に注いでもらった紅茶を飲みながら、いつものように素敵な笑顔でいらっしゃいますわ。

あるじ様の格を落とさない為にも、わたくしも完璧な挨拶をします。


「おはようございますわ、グレトン男爵。わたくしは魔物ですから睡眠が必要ないのですよ」


 人間との違いに関心した様子でしたが、嫌悪感を示さないところにこの方らしさを感じますわ。

やはりわたくしもある程度人間社会で生きてきた人間として、人間の良くない部分も数多く見てきましたわ。

それが、先入観で相手の印象を決めつけてしまうところです。

どうしても魔物であるわたくしに、嫌悪感や敵対心を示す方は少なくありません。

ですがグレトン男爵は珍しがることはあれど否定的な感情を持っている様子はなく、自然体で接することができますわ。


「便利だと思ったが、吾輩がそうなったら仕事の山から逃げる言い訳が無くなるわけだな?やはり要らんな!ハッハッハ!」


 こういう豪胆というか、気持ちの良い性格なのもルミさんがお願いを断り切れなかった理由でしょう。

だからこそ、わたくしもあるじ様から離れて護衛をする気になったのですから。




「ふう______仮に、仮にだ。吾輩が突然ここで倒れたら何を考え、どう行動する?」


 仕事がひと段落したのか、伸びをしながらわたくしに話題を振る男爵。

この仮定は、わたくしに裁量権があった場合の話ですわね。

実際であれば、間違いなくあるじ様に報告いたしますから。


「そうですわね......まずは体内の毒や魔法を疑い、確認しますわ。それが無ければ体調不良を考慮して医者を手配します。毒や魔法ならその経路をたどり、回復の方法を聞き出しますわ」


 当然即座に回復できるようなものならわたくしが回復しますが、貴族を狙った攻撃は基本的に回復が出来ない方法をとることが多いのですわ。

だからこそ、回復の方法を探るために敵を追うのが得策なんですわ。


「ふむ......私を置いていくのか?」


「前提として貴族の護衛が一人しかいない状況が特異ですわ。だから護衛は他の者に任せて私が敵を追いますわ」


「ふむう......確かにそうだな。ありがとう」


 男爵は小休止を終え、改めて机に向かいましたわ。

さて、アヤメ様はどうしているでしょうか。

魔力を見る限りかなり厳しくやっているようですが。


△▼△▼△▼△▼△


「ほら、遅いっすよ!」


「くうっ!?」


 ミナさんの剣を弾き、首元に寸止めをして勝負を終えるっす。

やっぱり、反応速度だけは異常っすね。

アヤメの攻撃の予備動作を見た瞬間に、それに対応した体勢を取ってるっす。

筋力と速度に圧倒的な差があるから勝ってるっすけど、かなり有望っす。


「強すぎる......これじゃ私は当主様を守れない」


 アヤメに負けたことで、かなりへこんでる様子っすね。

うーん、どう慰めるっすかね。


「アヤメは魔物っすし、主人であるルミさんも異常っす。比べる相手を間違えちゃダメっすよ」


 少し護衛をやっているだけの人間が、アヤメみたいにとっても強い魔物と対等に戦おうとするのが無理な話っす。

でも、この子は鍛えれば絶対にいいところまで来ることが出来るっす。

機巧族になったからか、少しこの子の成長に興味があるっす。


「さて、休憩も終わりっす。さっさと行くっすよ!」


「うわぁーん!当主様ァ~!」

週3(くらい)投稿継続中です。

読んでいただき、ありがとうございます。

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