74 -帝国貴族-
活動報告を投稿しました。
よろしければお読みください。
「これが全ての顛末となります。敵を逃してしまい申し訳ございませんでした」
私は改めて千剣城に戻り、次は本当の玉座の間で事態を説明した。
辺りには今回の件で招集された貴族が数多くいる。
私を奇異の視線で見る者、興味深そうに視線を送る者、様々な視線を感じる。
1人を除き、敵意は感じない。
「いや、地龍にそれを操る謎の男だ。帝都の被害を抑えてくれた事に感謝こそすれど、謝るような事はない」
皇帝の私室に通された時のように頭は下げなかったが、深い感謝の籠った言葉だった。
その後はまとまった量の金を私に褒賞として与える事を発表し、帝国に新たな実力者が生まれた事を祝う言葉が長々と続いた。
「『静夜の狂姫』ルミよ。これからも帝国の益となる冒険者となることを心がけよ」
お、やっと話が終わったようだな。
もう数分続くようなら、間違いなく跪いたまま眠るところだった。
とりあえず首を垂れて皇帝の言葉に同調し、この場が一刻も早く終わることを願った。
しばらくして解散となり、城をてくてくと歩いていた。
すると背後から、見覚えのない男が近寄ってくる。
まあ、城で近づいてくる人間なんか大体分かっている。
貴族か、それ以上の存在だ。
「貴様、何が目的だ?」
案の定、先ほど私に敵対的な視線を向けてきた男だ。
恐らく上級貴族、しかしファーリア侯爵のように威厳というか威圧感のようなものを感じない。
品の無さのようなもの、だろうか。
「何が目的とおっしゃいますと?見ての通りただの冒険者ですが」
「馬鹿を言うな。貴様、王国の元貴族であろう。帝国の情報でも奪いに来たのか?」
ああ~、そういうことか。
こいつは私のことを帝国の敵と認識しているんだな。
ゆえに皇帝が感謝を示そうと私への敵対心を隠そうともしなかったわけだ。
「私の所属していた貴族家はユースデクス家でございます。今回の戦争で、私が単独で占領した領地でもあります」
男は明らかに動揺して、開いた口を閉じた。
私が自ら幼少期を過ごした場所を占領したことについて、この男は調べられていなかったようだ。
私の事など調べる必要は無いのだが、表立って批判したいのなら少しは批判材料を精査してほしかったところではあるな。
「そしてあらかじめ申し上げますが、皇帝に認められた帝国の冒険者に攻撃をすることはおすすめしません。私には反撃する大義名分があります」
「......それは、私に対する挑発だととらえても良いか?」
私は軽く王国式のカーテシーを披露し、敵対する意思はないことを示す。
しかし、宣言した通りあちらが敵になるのであれば容赦はしない。
帝国の冒険者として、認められているからな。
ある程度の我儘は目を瞑ってもらえるだろう。
「まあいい。近いうちに依頼を出す。覚悟しておけ」
「私に出来ることであれば、謹んでお受けいたします」
正直面倒だが、上位貴族の依頼を受けない訳にも行かないだろう。
イメージも悪くなるしな。
私が肯定したのを見て、男はやっと名乗ってくれる。
「私はオロー侯爵だ。帝国で魔法専門の学校を営んでいる唯一の学校がある領地だ。それ関連の依頼だと思っておけ」
「ご随意に。ひとまず私は失礼いたします」
面倒事は可能な限りやらない方向で進めたいのだがな。
とりあえず『凶星』の一件が終わらないことには大した依頼は受けられない。
あの宝瓶宮もそうだし、白羊宮、そして他にもいるであろう幹部たちを消滅させなくてはいけない。
まだ目的も分かっていないし、やらなくてはいけないことだけがどんどん増えていく。
「さて。どうするか」
「ご飯っす!」
「その後デートいたしましょう!あるじ様に良く似合う服を見繕いますわ!」
なんて嬉しい1日だ。
睡眠に割ける時間が減っていく。
「今日は疲れた。お前らだけでいけ」
私はアヤメ達を残し、宿屋に戻った。
そのはずだった。
週3(くらい)投稿継続中です。
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