62 -帝都への道のり-
昨日は投稿できずすみません。
残業で間に合いませんでした。
8/21 8:09 サブタイトルを仮名のまま投稿していた為、更新
私は今普段の冒険者としての格好ではなく、少々地味だが貴族らしいドレスを着ている。
私の髪と合った、濃紺のドレスだ。
正直服にこれっぽっちも興味がないので、ここまで身体の線が出る服を着るのは初めてだ。
かと言ってフワフワのドレスは余計に嫌だからな、このドレスで文句はない。
モズーで1番高級な仕立て屋に、中古のドレスがあって助かった。
これから馬車に乗って1日近く揺られるので、一度着替える事にはなるが自分で着替えられるようにしておく必要があるからな。
......まあ、ノワールに手伝って貰ったが。
さて、そろそろ行かなくては。
「よし、脱がせてくれ」
「......あるじ様、それって......」
「馬鹿蜘蛛。余計なところを触ったら暫く人化禁止だ」
私が目覚めてから、余計に頭がピンク色になっている気がするのは気のせいだろうか。
何かを堪えながら私のドレスを脱がせているノワールに問うと、
「だってあるじ様、とても素敵に成長なさってるんですもの......前の可愛らしいあるじ様も良かったですけれど、女性らしいあるじ様はもっと堪りませんわ!」
との事だ。
こいつの趣味嗜好にとやかく言うつもりは無いが、今後はアヤメに着替えさせてもらうか。
いや、あいつは不器用だからドレスを破ってしまいかねない。
ドレスを着せるのが得意な魔物は居ないだろうか。
「さ、出来ましたわよあるじ様。いつものお召し物に着替えて下さいまし」
「あぁ。馬車もそろそろ来るからな」
そう言っていると、部屋にアヤメが勢いよく入ってくる。
「ルミさんにノワール、見るっす!屋台のおっちゃんが、久しぶりだからってサービスしてくれたっす!」
彼女が持っていたのは、予定されていた1.5倍ほどの量があるであろう串焼きだ。
当然、持っていくには多すぎる。
「それは良かったな。持っていくには多すぎるから捨てるか今食ってしまえ」
「そんな、捨てるだなんて勿体無いっす!今食べるからひょっとまふっふぅ!」
急いで口に串焼きを放り込んでいるアヤメの手から、1本だけ串焼きを貰って咥える。
アヤメがモズーで1番気に入っている串焼き屋の味付けだ。
「わたくしも1つ頂きますわ」
ノワールも串焼きを1つ貰い、行儀良く肉の一切れを口に含んだ。
さて、そろそろ馬車の出る時間だ。
私は立ち上がった。
△▼△▼△▼△▼△
馬車を乗り継ぎ、何個目かの馬車にて。
次の街までもう少し、そこで夜を明かそうといった予定だった。
______シュン!
一瞬、何かが通り過ぎた。
そして、馬車が揺れて横転しそうになる。
私は馬車に糸の端を接着し、もう一方の端に円月輪を付けて放った。
わずかに馬車が浮かび、横転するまでの猶予が出来た。
その猶予を見逃すような間抜けは私のパーティにはいない。
アヤメが瞬時に外に飛び出し、馬車を抑えつける事で横転するのを防いだ。
「あるじ様、北西ですわ」
ノワールは、この5年で索敵能力が格段に上がった。
私が気付ける範囲の倍以上離れた所から、敵の位置を観測しているようだな。
非常に頼りになる。
「夢魔法・冥暗の章《瞑目》......さて、上手くいってるかな」
「敵の動きが止まりましたわ。多分成功していますわ」
私が新しく開発した魔法、《瞑目》だ。
これは、闇属性の無形魔法《微睡み》を改良した魔法で、範囲や方向、どういった相手を眠りに誘うかを設定できるのだ。
魂が良く見えるようになって、魂の雰囲気から害意があるか否かくらいは分かるようになった。
つまり、それを基準として魔法を使えるという事だ。
今回設定したのは、『北西方向の害意のある者に対して、最大範囲で』だ。
「あんちゃん達、大丈夫かい!?」
遅れて、馬車の御者が話しかけてくる。
先ほど受けた攻撃は、とんでもない距離からの弓での狙撃だったのだろう。
馬は即死、その上に乗っていた御者は転んで怪我をしているようだ。
「私達より、おじ様の方が怪我をしていますね。攻撃が飛んできた方向を見てきますので、ノワールから治療を受けていてください」
私が既に制圧したことは言いたくないし、少し用事もあるので敵の様子を見に行くことにする。
すると、自分が一番怪我をしているというのに心配そうな御者が言った。
「そういや、冒険者なんだったな。余計なお世話かもしれないが、気を付けろよ」
「ええ、おじ様の心配を無駄にしない為にも無傷で帰ってきますよ......ノワール、頼みましたよ」
「分かりましたわ」
さて、新しい馬の確保だ。
△▼△▼△▼△▼△
「......嬢ちゃん、何をしたら盗賊がこんなに素直になるんだ?」
「ふふ、企業秘密ですよ」
私は、眠った盗賊達を操って馬の代わりにしている。
馬車を引っ張るには適さない体格の奴らもいたので、そういう奴らは魂を抜いて地面の下だ。
喋れないようにしているので、無駄な情報が洩れる事も無い。
ちなみに、とんでもない距離から狙撃してきたやつが持っていた弓は魔道具だったのでありがたく頂戴した。
あとでしっかり解析しよう。
「これで次の街まではもちそうですね」
「あ、ああ。助かったよ嬢ちゃん」
いくら事故とはいえ、皇帝を待たせる訳にもいかないからな。
何とかなりそうで一安心だ。
そんな風に馬車でゆっくりしていた時、ノワールが耳打ちでとんでもない事を聞いてきた。
「そういえばあるじ様、皇帝と敵対する気はあるんですの?」
「9割9分無い。私の予想するような人物なら、敵対する事が私の目的の妨げになるからな」
炎魔公の自由奔放さを見るに、力を持つ者はかなり自由にさせてもらえる。
であるならば、力を示して私の目的の一助とするのが一番賢い選択だろう。
「権力を笠に着て命令してくる奴なら、無視してユースデクス家だけを守る」
守るモノが増えようと、私は縛られるつもりはない。
炎魔公を楽しませることが出来れば、もしかしたら手を貸してくれるかもしれないしな。
「まあ、そうならない事を願おう」
国を相手取るのは、もうごめんだからな。
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