S03 -勇なる冒険譚・前編-
また番外編かよ、とお思いの方。
大変申し訳ございません。
本編の展開に少し悩んでいまして、その間を『勇なる剣』のストーリーで穴埋めさせていただいております。
その分今後の本編はさらに面白くする予定ですので、少しだけお待ちください。
あと、そろそろ『勇なる剣』を深堀りしたかったので......。
次回も番外編、『勇なる冒険譚』中編か後編となります。
僕たちはモズー第一支部に所属するパーティ、『勇なる剣』だ。
護衛依頼や、村の近くに住み着いた魔物の討伐などを主として請け負っている。
報酬の少ないものも多いけれど、進んでそういった依頼を受けてるという事を評価されて全員Cランクにもなった。
当然それを狙って受けてたわけじゃないんだけどね。
助けを求めている人がいるなら、それを助けるのが冒険者の仕事だと僕は思う。
今日も、モズーから2日ほど行った村に住み着いたモンスターを討伐してほしいという依頼の為にここまで来た。
治癒士のマリンが御者をする馬車に揺られて、みんなで他愛もない話をしていたらいつの間にか目的地だ。
こんな小さな幸せの為に、僕は冒険者をしているのかもしれない。
「着いたよぉ、レイン君」
「早く行くわよ、この依頼も報酬少ないんだから」
「あぁ、今行くよ」
馬車を降り、村の入口らしき所に向かう。
辺りは小さな柵で囲われているけど、これじゃゴブリンくらいしか防げない。
まあ、だからこそ依頼を出したんだろうけど。
「すみません、依頼を受けてきた《勇なる剣》です」
「......ん?おお!冒険者の皆さんか!まさか来ていただけるとは!村長の所に案内するよ!」
僕たちが依頼を受けた冒険者だと分かった時、皆救われたような表情をする。
顔を少し綻ばせつつ、男性の後をついて行った。
△▼△▼△▼△▼△
「では、お願いいたします。村の存続がかかっております」
「任せてください。絶対に村の平和を取り戻して見せます」
村長から得られた情報は3つ。
村から20分くらい歩いた洞窟に、モンスターの巣穴があること。
出てくるモンスターに特定の種類がいるわけではなく、低ランクのモンスターが色々村に迷い込んでくること。
それに関係あるかは分からないが、畑の作物が育ちにくくなったこと。
モンスターだけの被害かと思いきや、農作物への被害も出てるのか。
「......低ランクの魔物で作物に影響を及ぼす奴は少ない。何かあるぞ」
重戦士のゴウはモンスターの知識が豊富で、いつも僕達を助けてくれる。
寡黙だけれど、パーティに欠かせない存在だ。
「警戒していこう。ジェーナ、洞窟だから火は厳禁だよ」
「分かってるわよ。そんなヘマしないわ!」
「そんな事言ってぇ、ジェーナちゃんこの間も魔物の内臓の近くで火を使って......」
「もう!分かったってば!」
魔法使いのジェーナはマリンと仲が良く、よくおっちょこちょいな所をからかわれたりしている。
でも戦闘のセンスはピカイチで、命を救われたことは一度や二度じゃない。
少し喧嘩っ早い所はあるけど、頼りない僕を引っ張ってくれる存在だ。
そんな会話をしていると、洞窟が近づいてきたようでモンスター特有の臭いが鼻をついた。
獣臭のような、腐臭のような特殊な臭いだ。
「コボルト4体、前から来るわよ」
「了解、ゴウ」
「......」
ジェーナの索敵が終わると同時に、僕とゴウは走り出す。
草木を踏み分け臭いのする方向に向かうと、コボルトが視界に映った。
そしてそのコボルトの中に、鍬のようなものを持っている個体を見つける。
アレは村のもの、つまり村に来ているモンスターは洞窟から来ている事は間違いない。
「主よ、彼の勇気を讃え、護りたまえ~。《防護》」
マリンから防護魔法を受け、大きな盾を構えたゴウにコボルトが群がる。
僕は一番左端のコボルドに剣を振り下ろし、咄嗟に反応できなかったコボルトが吹き飛ばされる。
「追撃だ!《突進》!」
コボルトは受け身も取れずに地面を転がり、僕はそこに追いつき首元に剣を突きさす。
膂力でも速度でも負けているコボルトには為す術が無く、そのまま息絶えた。
「切り裂け!《風刃》!」
あっちもジェーナがコボルトを2体倒したところみたいだ。
最後のコボルトは、ゴウが相手だという時点で勝ち目がない。
ゴウには《防護》がかかっているし、とある理由で物理的な攻撃に対してかなり耐性がある。
「......ふっ」
どうしようも無くなったコボルトが噛みつこうと飛び出してきたところに、ゴウは頭を鷲掴みして、地面にたたきつけた。
魔物が全員動かなくなった事を確認して、僕達の戦闘は終了だ。
ささっと後処理をしていたところに、ゴウが気になることを言い始める。
「コボルトは臆病な魔物だ。逃げなかったのは不自然だ」
言われてみれば確かに、僕が《突進》で吹き飛ばした時かジェーナの《風刃》で切り裂いた時に慌てて逃げだしてもおかしくなかった。
それにあのコボルト達、心なしか慌てていたような......?
「思っていたよりぃ、危険な依頼かもね~?」
「もう、ただでさえ報酬少ないってのに。行くの?」
ジェーナが言っているのは『依頼の難易度があらかじめ聞いていた難易度より高いと予想される場合、ギルドへ報告することで失敗扱いにはならない』という制度の事だろう。
今戻れば、被害はここまで来るのに使ったお金と武器や防具のメンテナンス代だけだ。
でも。
「困っている人がいるなら、僕はいかなくちゃ」
僕がそういうと、皆は分かっていたと言わんばかりに僕に笑いかけた。
......本当に、いい仲間を持った。
「私が無理だって言ったら、即退却!いいわね!」
「ああ!」「はぁい」「......うむ」
僕達は、もう目前に迫った洞窟に向かって歩みを進めた。
週3(くらい)投稿継続中です。
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