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32 -盗賊?-

大変、お待たせいたしました。

体調をぶっ壊してしまいまして、しばらく書けない状態でした。

投稿できるできない等の通知は、基本的にツイッターでしておりますのでよければフォローお願いします。

本日よりまた投稿再開いたしますので、お楽しみにお待ち下さい。

 リッチ......魔法を使う、人型の骨の魔物を15体召喚する。

かつて依頼でスケルトンロードを倒しに行った際、際限なく召喚するので遠慮なく確保させてもらった魔物だ。


「範囲防御魔法をムラ無く掛け続けろ。防御を破られそうならその身を以て護れ」


 私が指示を出すと同時に、リッチ達は《要塞(フォートレス)》に補強の魔法を掛ける部隊と飛んでくる魔法を防ぐ部隊に分かれる。

私が《(マヤカシ)》を有用するのは、このように知恵のある魔物なら自発的に私に有利に働いてくれるからだ。

これでやっと相手を倒すことに集中できる。


「ッシ!」


 背後に呼吸を感じ反射的に糸を張ると、そこにいたのは短剣を私の首に振るう直前の男だった。

闇魔法ではない、純然たる技術で私の背後まで近づいたのか。

練度でいえば、A~Bランクパーティレベルのものだろう。

盗賊のような恰好をしているが、どうみてもそんな雑魚共とはレベルが違う。


「動けないでしょうから、お話しましょう。あなた方の所属は?」


「......答えると思うか?」


「あなた方の練度で、私の言葉に反応したという事は何かありますね。時間稼ぎですか?」


 そう問いかけると、男は僅かに目を細めたように見えた。


「ふうん、では質問を変えましょう。この部隊のリーダーは貴方ですか?それとも、あの罠を張っていた魔法使いですか?」


「馬鹿が。答えるわけがないと言っているだろう」


 まあ、分かっていた事だが。

既に《(マヤカシ)》で意識を割いているので、話してくれれば楽だったのだが。


「《睡眠(スリープ)》《夢傀儡》......さて、起きなさい。意識はあるはずですので、あとで自分の愚かさを呪ってください。所属は?」


「アーコスト王国、王家直属暗殺部隊だ」


 完全に失敗した。

絶対に聞かない方が良い情報を得てしまったようだ。

国同士のいざこざに巻き込まれるのはごめんなので、聞かなかったことにしよう。


「リーダーは何処ですか?」


「8時の方向、瞑想をしているのがリーダーだ」


「例の罠の魔法の発動条件ですか?」


「詳しくは知らないが、あの魔法を使う時はいつもそうしている」


 それならば、この罠の発動条件が動かずに集中することなのか、集中することで罠が爆発する以外に効果を付与しているのかもしれない。

このレベルの部隊のリーダーでそんなことがあるのかは分からないが、単純に集中しないと罠を維持できない可能性もあるが。


「アヤメ!8時の方向だ!捕まえてこい!」


 私が叫ぶと、遠くからアヤメの声が聞こえた気がした。

恐らくしばらくしたら連れてくるだろう。私はその間にこの男を処理しなくては。


「貴方がリーダーでないのなら、生かしておくだけ私の損になりかねないので......失礼しますね」


 改めて《睡眠(スリープ)》を掛け、魂を奪っておく。

恨みはないが、私がいざこざに巻き込まれる方が面白くない。


「リッチ共!半分は掃討にあたれ!アヤメが狙っている男は絶対に殺すな!」


 私の命令に、カタカタと骨を鳴らしながら歩き始めたリッチ達。

私はリッチが減った分、防衛にあたるとしよう。


△▼△▼△▼△▼△


 ルミさん、敵のリーダーを見つけたっぽいっすね。

右の剣に刺さった頭を適当に引っこ抜いて、ルミさんの言ってた方向に跳んだっす。

召喚されたリッチ達が邪魔になる前に、見つけなきゃいけないっすね......あ、アレっすかね。

巧妙に隠してるっすけど、流石に目視できると魔力の高まりが分かるっすね。


 アヤメに見つかったことを察知したみたいで、辺りの剣士たちがリーダーを守るように前に出たっす。

今まで適当に切り捨ててきた奴らとは、少し格が違うみたいっすね。

構えや顔つきが、命を懸けてリーダーを守る近衛の顔っす。


「魔物一体!グラフェノスだ、問題ない!」


「うーん、どうっすかね」


 ふふふ、アヤメはもう魔物の枠を超えているんすよ。

《十戒・神速》モドキを使って、油断していた男を真っ二つにしたっす。

剣士は三人......今殺したから残り2人っすね。


「ヴェンさんのこれ、便利っすねえ。ちゃんと教えてもらうっすかね?」


 元々ヴェンさんの《十戒・神速》モドキは、既にアヤメにとって強力な武器っす。

速度だけで言えばヴェンさんに追いついてるはずっすけど、なんか身体の使い方が違う気がするんすよね。

聞いたら教えてくれるってものでもないでしょうし......。

何かお土産になるものを考えておくとするっす。


「ッチ、隊長!我らの手には負えません!」


 意外と判断が早いっすね。

隊長の邪魔をされないようについてたはずの騎士が、集中してる隊長に呼びかけたっす。

ただの魔物扱いは、もう終わりっすね。


「隊長と呼ぶなと言っただろう。見るところ、熟練の魔術師の従魔のようだな。確かにお前達では相手にならなそうだ」


 瞑想をしていた隊長は、おもむろに立ち上がってルミさんのいる方向を見たっす。

この一瞬での分析力、思ったより強敵かもしれないっすね。

アヤメは両手の剣を少し短くして、改めて気合を入れ直したっす。

読んでいただき、ありがとうございます。

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