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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第1章 天都へ
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1-4 ゴーレムバイク完成

ご愛読、ありがとうございます。

今回は転移十一日目の話です。将軍の屋敷を中心にいろいろ天都に行く準備をします。

 黒狼村で多くの体験をしたクーヤは従者となったヒイを連れて飛龍将軍の家に帰った。


 〇転移11日目 飛龍将軍の屋敷

 朝起きるといつの間にかヒイが布団に潜り込んでる。

「おい」

 こいつの部屋は隣に作って貰ったはずだ。


「うん・・・」

 上半身を起こすと昨日将軍の奥様に捕まって、風呂で綺麗にされたからか、全体的にウネウネと細かくカーブした輝く金髪が窓から差し込んだ朝日に輝いていた。

 そうだソバー・・ジュだっけ、その髪型は昔に聞いた記憶がある。まあ、自信はないが。


「あ、センセーおはよう」

 ベッドの上に女の子座りで目をごしごしとこする。

 寝起きは良いようだ。


「おはよう。また潜り込んだな。だめだぞ」

「なんでえ、お父さんとはずっと一緒に寝てたよ」

 俺をお父さんと一緒にしてくれるのか。ありがたい。


 じゃない。

「俺はお父さんじゃないからな。お前も良い年なんだろう」

「僕はまだ11歳だから、まだお父さんと寝てても良いの」


「俺が異常性愛者として社会的に抹殺されるんだよ!」

 昨日はカクタスが温かい目で見てくれたけど、あまり続くと変な目で見られそうだ。

「イジョーセイアイシャって何?」

 首をコテンと寝かせてキョトンとする仕草が、バリ可愛い。SNSに上げればバズること間違いなしだ。


 ベッドから飛び降りた時にネグリジェが捲れてパンツが見える。

 腰と太ももをひもで縛るかぼちゃのようなパンツだ。伸びる生地はないみたいだ

 尻尾は見えないけど、この世界の獣人は尻尾がないのかな。黒狼族も竜人にも無かったな。


 俺も着替えよう、さすがにワイシャツやスーツは仕舞ってある。

 ひざ丈の小袖と袴、それに羽織を着る。こっちの人のスタイルだ。

 ヒイが着替えて現れる。橙色の小袖に同じ色の羽織だ。カクタスの妹のお下がりらしい。


「どう、可愛い」

 可愛いに決まってる。しかし、金髪に和服は違和感があるな。まあ、和服と言っても厳密には違っている。簡単に言えば動き易くなってるし、帯の本数も少ない感じだ。

「すごく似合ってるぞ」

 そのうち洋服の通販カタログを手に入れて、洋服を着せてやろう。


 朝食時に将軍から今日は屋敷に居るように言われる。

 熊を売りたいと言ったからだ。王に内緒では買えないと思ったらしい。

 俺は物置の一部を借りてバイクのゴーレム化を目指すことにした。


 バイクのエンジンをバラし始める。

 初めはヒイも珍しくて眺めていたがすぐに飽きてくる。

「ねえ、センセー、暇だよ。どっか遊びに行こう」

 うー、仕事になんねえ。


 どうしよう、こいつを一人で屋敷内を闊歩させるのは少し怖い。

 そう言えば、昨日コンパウンドボウを買ったんだった。

「ヒイ、お前にプレゼントがあるんだ」

 俺はにんまりとして、収納庫から段ボール箱を取り出した。


「なにそれ、開けていい?」

「ちょっと待ちなさい。組み立てないと使えないからね」

 バイクの横にレジャーシートを広げて部品を出していく。


「なにこれ、なんかの機械?・・分かったでしょう。」

 弩とは中国のクロスボウのことだ。付属の矢を見てそう思ったみたい。

 惜しい、けど違うんだなあ。


 組み上がっていくと弓のように見えるけど、両端にはいびつな滑車が付いている。

 30分ぐらいで組み立て完了。

「できたぞ」


「弓だよねえ?」

 俺は付属の矢をつがえて引いてみる。

 弓の上下に走る三本の弦が滑車とともに動き、弓の反動を作る鋼の板を撓らせていく。

 ある点から滑車の梃子の作用で引く力が軽くなる。


 これがコンパウンドボウの最大の長所、最大に引かれた状態で普通の弓は一番強く戻す力が働くが、コンパウンドボウでは半分になる。

 もう一つは鋼の板が矢とほぼ平行につくので、ほとんど上下にしか撓らず、普通の弓のように矢を離したときに弓自体の反動を起こさない。


 日本では鋼球を飛ばすものもあるが、とっつきやすい矢にした。

 この家の訓練場には弓矢の練習場もあったはずだ。

「ヒイ、練習場で試射してみよう」

「うん」


 弓矢の練習場は両側に壁のある80mくらいの細長いものだった。

 向こう側には土の壁があり、矢が傷つかないようになっていた。

 中央には穴だらけになった的がぶら下がっていた。


「ヒイ、空射ちは滑車が壊れるからやっちゃだめだよ」

 俺は付属していた十本の矢を渡す。もちろん追加の矢は百本買ってある。

 ヒイは矢をつがえると少し迷った。


「飛ぶ距離が予測しにくい」

 弦が引く途中で負荷が軽くなるという初めての体験をヒイはそう表現した

「近い距離から慣らしていけばいいよ。今までの弓より精度ははるかにいいはずだから」


 ヒイは言われた通り30mくらいの距離から順次慣らしていくようだ。

 俺はヒイに物置に戻ることを伝えてゴーレムバイクに集中することにした。


 ピストンの上にある部品を全部外す。極端に言えば吸気系、排気系、冷却水系、点火系全部要らない。

 ようやくピストン上部が見えた。ピストン上部中央に魔石を入れる穴を空ける。

 魔石を入れ指先で魔力を込めるとピストンが下がった。


 一応本に書いてある通り作った魔石は、思惑通り動いてくれた。

 これから往復量やタイミングの調整をしていかないといけない。それができて初めて回転し続けるのだ。


 そこにカクタスが現れた。

「王城に来てくれ。熊の買い取りでちょっとした騒ぎになってる」

 よしタイミングが良いぞ。調整の最中だったらイラっとしなきゃならない。

「わかった。ヒイに連絡だけさせてくれ」


 ヒイに拗ねられると困るので練習場に行く。

 ちょうど一番離れた場所から射ていた。

「ヒイ」

 俺が声を掛けると矢を放って振り返る。


「なに?」

「ああ、城に呼ばれたから行ってくるよ」

「わかった。練習続けてて良い?」

「ああ、いいよ」


 俺が振り向くとカクタスが呆然としている。

「俺はヒルダがウサギを狩った時、まぐれだと思っていた」

 土の壁に掛けられた的、いやもう木枠と言った方が正確だ。


 矢が木枠の中にすべて突き立っていた。

 ヒイは矢を全部射切ったのか的に向かって駆けていく。

 俺達もその後を追う。


 だんだんはっきり見える的の中の矢、それは驚きをもたらした。

 十本の矢が寸分の狂いもなく五芒星の形に並んでる。


 異常である。

 おまけで着いていた矢だ。80mも飛べば数cmはずれるだろう。

 見る限り数mmの誤差もない。

 これが「狙撃の異能」によるものなのか。矢を見て補正量が解るらしい。


「これ、狙ってやったのか?」

「うん、同じところ狙ったら矢に当たって壊れちゃうでしょう」

「そうだな。ハハ」

 笑うしかないよな、こんなの。


「ヒルダ!こんなこと、他の人に見せるんじゃないぞ。言うのもだめだ!」

 急にカクタスがヒイの肩を掴む。

「え、」

「親父や龍王様に知られたら放してもらえなくなる」

 カクタスの眼は真剣だ。


「どうしてだ。戦争なんてやってないだろ」

 俺は今そんなにヒイの力がいるとは思えなかった。

「バカヤロウ!、この子が悪い奴に利用されたときのことを考えろ」

 背筋がぞっとする。暗殺し放題だ。


「ヒイ、悪いことしないもん」

「そうだな。でも俺が力を持つまでは内緒にしような」

「うーん。わかった」

 人に知られるとまずいことは判ったみたいだ。


 ヒイと別れ、王城に向かった俺達は練兵場に通される。

 そこには二十名ほどの人が集まってた。

 龍王様、宰相、飛龍将軍もいた。


 俺は熊を皆さんの前に出した。

 オオーっと声が上がる。

 俺は熊を仰向けにして手足を広げる。大きさが良く解る。


「クーヤはこの熊を買い取ってほしいと言っています。一番高い値を付けた人に譲ると言うことにしたいと思います」

 飛龍将軍が説明してくれた。


 二十、三十、五十と値が上がっていく。

「おいカクタス、五十って単位は何だ」

「こういう時はだいたい金貨の枚数だ」

「金貨!?」

 金貨1枚は大雑把に日本の10万円だ。五十ってことは500万円??。


 値はすでに七十を超え、七十五、七十六とか小刻みな上がり方になっていた。

「百!!」

 龍王様が手を挙げた。まわりは静かに龍王様を見守るしかなかった。


「百枚、龍王様が百枚を提示しました。ありませんか?」

 声は上がらなかった

「この巨大魔獣熊は龍王様に金貨百枚で落札されました」

 拍手が渦巻く。

 龍王様の花の穴が真ん丸に広がり、ムフーと鼻息を吐いた。


 金貨百枚、1000万円か。天帝様の依頼が無茶で引き受けられなくても、ヒイと二人なら何年か生きていけそうだ。

 龍王の侍従が皮袋に入れた金貨を持ってきた。

 重い、重いぞぉー!

 すぐに収納に入れる。


 その後は龍王様に魔獣退治の様子をリクエストされ、臨場感たっぷりに説明したよ。

 こちらへ来た時の塩対応は1000万円で許したよ。

 カクタスと別れ、将軍の屋敷へ帰るとちょうど昼ご飯だった。


 昼食後、暇になったヒイがまたへばりついてきた。

 そうだ、カクタスが言ってた悪い奴への対応が、必要だろうということで近接戦闘、つまり格闘技を教えっといた方が良いだろう。


 とりあえず格闘技はナビさんに任せて、俺はバイクのゴーレム化を急ぐ。

 俺の計画では7・8人乗りの4WDワンボックス車と30ft(30フィート≒9.1m)の外洋ボートが欲しい。両方とも4気筒エンジンになるので魔石が最低でも8個必要だ。

 バイクで魔獣狩りに行きたいのだ。


 夕方、ようやくバイクのゴーレムエンジンが出来た。

 単気筒なので気筒毎のバランスを取らなくてもいいし、割合簡単にできた。

 良し、明日から狩りに出るぞ。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は狩りに行く話です。

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