表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第3章 天都の悪
53/58

3-16 ライヤ潜入

ご愛読、ありがとうございます。

クーヤ達のイベントを妨害するため敵が動き始めました。

 ようやく初飛行を終えたクーヤ達は展示飛行に向け準備するのだった。


 〇某所 第三者視点 転移108日目

 クーヤ達が試験飛行をした夜、黒幕はその奥まった部屋にいた。

 彼は昼間は表の仕事をしているため、ここに来るのは夜になるのだ。

「今日の報告ですが・・・」


 裏の仕事の秘書をしている男が声をかけた。

「・・・」

 話を聞く気の時は黒幕は何も言わないので話を続ける。


「クーヤが動きました。学校の建設用地に来て飛行機械で空を飛びました」

「空を飛ぶ?」

 驚いたのか顔を秘書の方に向けた。


「はい、大きさが10mくらいの鳥のような機械に乗り込み、高さ数百mまで上がったと言うことです」

「はあ?そんなことが可能なのか?」

「サル座の構成員が目撃しています」


「そんなものをなんに使うと言うのだ?」

「乗員は2名なので、旅客に使う訳ではないと思われ、おそらくですが、何らかの宣伝に使うのがベストではないかと」


「そうか産業革命を宣伝するのか。しかし、そんなことをされたら天帝の人気が上がるし、産業革命への期待が増してしまう」

「産業革命は利用できませんか?」


「うむ、天帝は民間への依存と政府の権力を明確にするつもりだ。そこにワシらの入る隙間がない」

「では、天帝の権限を大きくしないように振舞わねばなりませんな」


「そうだ。飛行機による宣伝は産業革命を世間に広めてしまう。なんとしても阻止せよ」

「しかし、干支座の感触は良くありません。やはりイヌ座が壊滅したのが効いています。サル座も帝城の中の暗殺はしり込みしています」


「まだ軍は動かせんぞ。動かすときは天帝を亡き者にする時だ。干支座は産業革命を潰すなら必要だ」

「ではドワーフどもを使いますか?」


「イヌ座が勝てなかったものが、あいつらにどうこうできるとは思えん。そうだ、その飛行機械はどこにあるのだ?」

「さあ、良く解りませんがゴーレム車に乗せて、帝城に持って帰ってるんじゃないでしょうか」


「良し、サル座かドワーフに帝城に潜入させろ。飛行機械を壊すくらいならできるだろう。それに干支座には西域に出した兵がもうすぐ戻るから、そこからイヌ座の代わりを調達するように言え」

「西域の兵を帰すのですか?」


「任期延長がバレたのだ。早く帰さんと責任問題になる」

「さようですか。帝城潜入の件はドワーフとサル座に打診してみます」


 ******


 〇ドワーフの村 第三者視点 転移109日目

 ここはドワーフの村の一番大きな家の応接室、少女が護衛を連れた中年の男に責められている。

「あなた方にはこの村を出ていただきたいと申しておるのですよ」

「私達はこの村を追い出されたら、行くところがないのです」

 少女は中年男に必死で食い下がるが、中年男は歯牙にも掛けない。


「あなたのお父上が悪いのですよ。西域の兵を任期延長して、そのお金を着服なさるから、天帝様はお怒りなのです」

「父上はそんなお金は持ってないし、そんな事をする人ではありません。もう一度調べてもらえませんか?」


「お父上は罪を認めて、その上でご自害なされましたが、帝国としても損害を穴埋めしなければなりません。だからお父上が族長をされていたこの村を売れば、損害の半分ぐらいは回収できるのです」

「そんな、村人には関係ないじゃないですか」


「連帯責任というやつです。族長と言えば親も同然ではないですか」

「そ、そんな」

 少女の顔は青を通り越して白くなっていた。


「ああ、そういえば上司からこんなものを預かってました」

 中年男は懐から折りたたんだ紙を出し、少女の前に広げる。


 そこには、

『帝城に侵入して相談役クーヤの飛行機械をすぐに修理できないくらいに壊せ。できれば賠償金はなしで良い』


「そんなことは・・・」

「おっと、私は何て書いてあるか知りませんから、受けるか受けないかだけお知らせください」

 少女を馬鹿にしたように話す中年男が、ニヤッと下卑た笑いを浮かべる。


「どうすれば良いのか解りません」

 少女はそこに行く方法も何もわからない。

「方法は2枚目に、場所は3枚目にあります。受ける気があれば見せます」


 この村には200人近い人が生活している。

 父上のせいで村人の仕事は取り上げられている。この上、家まで取り上げられては生きていけない。

 少女は決心した。私がやらねば。


「分かりました。受けます」

「ではお読みください。でもその内容は誰にも話さないでください」

 中年男は三枚の紙を少女に渡した。


「一枚目と二枚目の紙は返してもらいますので、しっかりと覚えてください」

 二枚目の紙には潜入方法が書かれていた。三枚目は帝城内の必要部分の見取り図だ。

 少女は数分紙を凝視して、二枚の紙を中年男に返した。


「では明日、指定の場所においでください。来なければわかっていますね?」

 少女は頷いて、了承の意を伝えた。


 ******


 暫くの後、中年男は箱型の馬車で天都に向かっていた。

「兄上、首尾は?」

 中年男の座る向かいの座席がパカッと開いて、サル座のキメイが躍り出た。


「問題ない。族長の娘は引き受けた。後は帝城に送り込めばよい」

「気の毒ですが・・・」

 中年男が顎の下を引っ搔くようなしぐさをすると顔の皮が剝がれていく。

 剝ぎ取った皮の下から現れたのはキメイの兄だった。


「仕方ないさ。あのクーヤと言う男は常識外だ。我らの敵う男ではない。99%失敗する仕事を我らがやることはできぬ。ましてや失敗すればサル座はつぶれるのだからな」

「最近のあの方の命令には無理があります」


「俺もそう思う。イヌ座がああも簡単に壊滅するとはな。そろそろ干支座に就くのも潮時かもな」

「私も裏の仕事はしたくありません」

「俺も子供に胸を張れる仕事がしたい」

 兄は難しい顔で笑うのだった。


 〇帝城 天帝執務室

 俺は試験飛行が成功したことを昨日のうちに天帝様に連絡を入れていた。

 今日天帝様から呼び出しがあったのは展示飛行の日程が決まったのだろう。

 俺が執務室に入ると天帝様とコウメイ様、それから宰相の爺さんが居た。


 俺が天帝様の前に座ろうとする前に天帝様が声を掛けて来た。

「クーヤよ、まことに空を飛んだのじゃな。どんな気分じゃ」

 天帝様はいつになく上気した顔で、俺は腰かけてから返した。


「はい、天気も良く上空からの眺めは最高でした」

「そうか、展示飛行じゃが三日後にしたい。天文方も良い天気が続くと言っておるし、市民に告知をせねばならぬ」


「はい、それで結構です」

 それから俺達は飛行コースや時間などを打ち合わせした。


 打ち合わせが終わって俺は執務室を出る。

「クーヤ殿」

 俺は部屋を出てすぐに呼び止められた。

 宰相だった。


「はい、なにか御用でしょうか?」

「クーヤ殿には感謝しておる。天帝様が明るく前向きになられたのはお主のおかげだ」

 俺は何のことか分からずにいた。


「どういうことでしょう?」

「実は、天帝様は貴族派の連中に抑圧されておるのだ。天帝様は帝城を出られない。出たら殺されてしまう。近衛のいないところには行けないのだ。そこへ無条件に天帝様に寄り添ってくれる男が現れたのだ」


「それが俺だと?」

「君は意識してはいないようだが、貴族派の敵意は君に向かっておるようだ。気を付けてくれ。我々は君を失う訳にはいかん」


 え、俺が天帝様の代わりに狙われてるって言うこと。聞いてないよお。


 ******


 〇帝城宿泊所 ライヤ

 私の名はライヤ、ドワーフ族の族長の娘だ。

 私の父は帝都軍の主計局の係長で西域派遣兵の任期を偽って、派遣費用の着服をしたと言われ、責任を取って自殺した。


 昨日、軍の人間だと言う人が来て、賠償金を払うか、クーヤと言う人の作った飛行機械を壊さないと、ドワーフ族の村を没収すると言われた。

 私は村の人には内緒で軍の人の言った飛行機械の破壊の依頼を受けた。


 私は指定の時間にしてされた空き地に行くと、そこで馬車に乗せられた。

 女官のような服に着替えさせられて、覆面をした相手に目隠しをされ、しばらく馬車で移動した。

 さらに馬車を乗り換えると箱の中に入れられた。

 武器として持ってきたハンマーはお腹の上に置いた。


 またしばらく移動すると、止まって何か話し始めた。どうも帝城に入るための手続きらしい。

 また移動を開始すると箱のふたが開き、話しかけて来た。

 目隠しを取ると覆面をした若い女性のようだ。


「もう少ししたら箱の下が開いてあなたは滑り落ちるわ。これに着替えが入っているから、落ちるときに頭を守りなさい。左側に窓があるからそこから中に入りなさい」

 そう言われて、私は慌てて渡された風呂敷包みを頭の後ろに回した。


 速度が落ちると箱が落下して回りながら、足の方がさらに落ちた。

 箱の底が抜けたのだ。

 私は滑り台を滑るように地面に落ちた。


 振り向くと馬車は箱を元通りにして去って行った。

 私は立ち上がると左手の壁に見える窓に顔を入れた。

 50cm角ぐらいの窓で板を木の棒で持ち上げるタイプの窓だ


 中は通路になっており、幸い周りに人は誰もいなかった。

 ハンマーを太ももに括り付け、裳の中に隠した。


 私は帝城の見取り図を開ける

 ちゃんとこの窓に印がつけてあった。

 ここからクーヤの部屋まではかなり距離がある。


 私も族長の娘、行儀作法は習ってる。

 上品に歩いていく。

 目標の宿泊所の前には近衛の門衛と女官の詰め所がある。


 門衛のところにきた時、ちょうど夕食を運ぶ女官の群れに遭遇した。

 その群れに紛れて門衛を突破。

 ふーっ、うまくいった。


「おい」

 え、疑われたの?

 振り返ると近衛兵が私を私を見ている。


「私ですか?」

 もー、心臓バクバク。何とか声を出せた。


「おまえ、ドワーフか?」

「はい」


「いや、子供かと思った」

「し、失礼な。これでも16歳です。成人しています」

 私は本気で怒ってしまった。私の身長は140cmないけど、れっきとした成人です。


「おお、すまん、悪かった」

「おまえなあ、団長にばれたら大目玉だぞ」

 もう一人の近衛兵に呆れられてる。


「人種差別じゃねえって」

「もう行って良いぞ」

 二人はニヤニヤしながら私を見送った。


「フン」

 私は怒ったふりをして、先に行った女官の群れを追って早足で進んだ。

 あー心臓が止まるかと思いました。


 すでに配膳の女官たちは詰め所の女官たちに、食事を乗せたワゴンを渡していた。

 私はそのわきをすり抜けて、クーヤの部屋の向かいの部屋に滑り込んだ。

 このまま、寝静まるのを待つだけだ。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回、ライヤは成功するのかをお楽しみください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ