3-14 飛行機製作開始
ご愛読、ありがとうございます。
産業革命の光を見せるべく計画した飛行機、その製作が始まった。
干支座の襲撃を退けたクーヤ達は宿泊所で、各々の愛を育むのだった。
また産業革命の光を庶民に見せるための飛行機作りが始まる。
〇帝城宿泊所 食堂 転移104日目
今日は俺が朝食後全員を食卓に集めた。
「いよいよ、飛行機の製作に入る。皆にはそれぞれの工程にあったインストールをしてもらう」
「オー」
パチパチパチパチ
俺としてはバイク・ワンボックス・ボートに続くゴーレムエンジン搭載の乗り物だ。
ただ今回はエンジン以外全部手作りしないといけない。
本物の飛行機を買うのは高すぎて無理なのだ。
構造は胴体が鋼管羽布張り、翼が木製羽布張り、高翼、タンデム配置となる。
基本設計は萩原滑空機製作所の滑空機H-23Cを流用した。
この機体はいわゆるグライダーで設計が昭和30年代で構造が簡単で材料が集め易く、練習機なので安定性が高く操縦性も優れている。
もちろん、動力機になるので重心の関係で座席の位置や、速度の増加で翼幅・翼厚・迎角などを変更する。
他にも降着装置が橇から車輪に変わる。
亜空間に全員が移動して配分を決める。
胴体 金属加工 マシロ・アカネ
主翼、尾翼 木工 ヒイ・ミヤ・ジュレイ・ドーテ
エンジン ゴーレム化 アオイ・俺
まあ、翼が部品点数も多いし、時間がかかるだろうから終わったところから応援だな。
インストールをしてるからみんなその道のプロだ。
繋ぎの作業着に着替えて作業開始だ。
まずは翼も胴体も骨組みから作り始める。
胴体は鋼管を必要な長さに切り出し、整形する。
その後溶接して組立、エンジンや座席、翼などの部品を接続出来るように、マウント部品を溶接する。
操縦索を配線する。
ドアや座席を取り付ける。
布で外側を覆い、塗料を塗って固定硬化させる。
アクリル板を加工して風防を作る。
主脚、尾輪の取り付け
胴体は一旦ここまでかな。
翼はまず翼根から翼端まで前縁は木製整形にグラスファイバー製のパイプ、主桁は板を四角に組む、後縁はバルサ材の一体成型。
それらを薄い合板で翼の断面に合わせたリムを作り、繋げていく。
速度が滑空機よりは速いので前縁は航空べニアで補強する。
骨組みが出来たら操縦索の配線。
布を張り塗料で固定硬化。
エルロン、プラップの作成取り付け。
垂直尾翼、水平尾翼、方向舵、昇降舵の枠作成。
垂直尾翼、水平尾翼、方向舵、昇降舵の布張り塗装。
垂直尾翼、水平尾翼、方向舵、昇降舵の取り付け。
ガソリンエンジンからゴーレムエンジンへの改造。
エンジンヘッドの取り外し、吸排気の機構は不要なので全撤去。
冷却系、電気系も不要。
ピストンに穴を空けて空気が通る様にする。
ピストンに魔石を組み込んでゴーレム化。
後はスムーズに回転するように調整。
オイルが漏れないようにピストン上部を密閉。
ギアを介してプロペラを駆動。
大雑把にこれくらいの工程が必要だ。
これらを壁にかけた板に書いて作業を進めていく。
流石に昨日からインストールしておいただけあって作業の進みが速い。
今日は
胴体は鋼管の整形溶接が終了
主翼は部品の作成が終了。
エンジンは不要部品の取り外しが終了。
夕食後、各工程の作業と予定を確認。
インストールによってスペシャリストになっている彼女らは、設計図の難点を次々突いて来る。
「ここのねじれ強度が不足しているように思います。ここに補強材を入れてはどうですか?」
『設計上は大丈夫と考えますが、部品の強度のばらつきが大きい時にはぎりぎりになります。付けておいていいでしょう』
意見に対してはナビさんがすぐに計算してくれるので決定が速い。
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そんなこんなで夜も更け、ここは執事室。
女性たちは主寝室に入り、執事室には俺一人ベッドに座っていた。
やはり、ドアがノックされた。昨日のマシロの感じで転移組のどちらかが来るとは思っていた。
「どうぞ」
ドアを開けたのはパジャマ姿のアカネであった。
「邪魔するよぉ。昨日のマシロで分かってると思うけど、アタイも頼む」
俺は真摯に答えた。
「なぜ、俺にこだわる。他にも男が居るだろ」
「うん、それは私達の幸せを考えた時、核戦争の前なら男女ペアが子供を作って、それを育てていくと言う生活がベストと思われていた。でもこんな荒れた世界じゃそんな幸せはつかめない。えーと後は忘れた。
とにかく、あたしらを幸せにできるのはアンタしかいないんだ。諦めろ」
どや顔で力説するアカネ。どうも誰かに言い含められた感がある。
「誰に言われたか知らないが本当にそれで納得できるのか」
アカネは意外だとでも言うような顔をする。
「アタイらが迷った時、行く道を示してくれるのはアオイだ。あいつは頭が良い。あいつが考えてアタイらは納得した。それにあんたのことは大好きだ。何も問題ない」
言い寄られているのだが、まったく色気を感じない。
もうひとつマシロの時のようにどぎまぎしないと言うか、欲情しないと言うか。
そんな俺の反応を見てなのか、アカネの顔に少し怒ったような表情が現れた。
アカネはとにかくスレンダーと言うか凹凸が少ないのでエロさが感じられないのだ。
アカネも俺の感情を読んだのだろうか、覚悟を決めたような顔をする。
パジャマのボタンに手を掛けたと思うと、ばっと脱ぎ捨てた。
そのままズボンも脱ぎ捨てた。その下には何も着けていなかった。
アカネは身長が170cm以上あり、身長に合わせたブカブカなパジャマを脱ぎ捨てると、女性的な柔らかな曲線に彩られた細身だが、美しく均整の取れた体だった。
マシロもそうだが、ナビさんの作った美の傑作だ。スーパーモデルも逃げ出すほどだ。
まあ、ヒイには勝てないけどな。
暫らくの後。
ああ、またやっちまった。
ふと、隣に寝そべるアカネに向けると目をしっかり開いて天井を睨んでいた。
「だ、大丈夫か?」
俺は心配になって聞いてみた。
「うむ。それは初めてだから痛かったが。どうということは無い」
平然とうそぶくアカネ。アカネにデリケートな話題を振ったのが間違いだったな。
「これからも君達を守っていくから」
そうアカネに告げたのだがアカネは不満そうな顔をする。
「どうしたんだ?」
「まあ、アンタの言いたいことは分かるよ。でも・・・あーアタイに説明は無理だ。明日、アオイに聞いてくれ」
あー、明日はアオイが来るんだ。と思っているとアカネはパジャマを着て、戻って行った。
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〇帝城 亜空間部屋 転移105日目
速い、なんて速いんだ。
すでに主翼の骨組みが始まっている。
胴体も各部のマウント部品の取り付けに入っている。
この分だとあと三日くらいで組み上がってしまう。
「クーヤ君、手が止まってる」
アオイにせっつかれている俺はピストンにゴーレムとなる魔石を組み込んでいた。
「速くしないとエンジンなしの飛行機が組み上がっちゃう」
エンジンのゴーレム部だけはインストールが出来ないので、アオイは焦っている様だ。
「試行錯誤でやってみろ。君の才能なら必ずできるよ」
「うん」
彼女は自分で魔力の研究をしたいと言うだけあって、研究職に向いてると思う。
ゴーレムエンジンはストローク、強さ、タイミングなどを魔石に組み込まなければいけない。
時に5000rpm以上で回転するエンジンは微妙な調整が必要だ。
俺はこれを大量生産するつもりいる。アオイには魔石の標準化を期待している。
この日は胴体は鋼管が組み上がり、座席の設置、操縦系の配線が始まった。
翼は右翼の骨組みが完成し、左翼の骨組みに入った。
エンジンは魔石の調整が決まらず足止め状態。
煮詰まっているとハイジが寄ってきて、強制的に気分転換させてくれる。
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〇帝城 宿泊所 執事室
夜が更けて・・・。
ノックすることもなくいきなりドアが開かれた。
「聞いてるでしょ。来たよ」
何とも色気のない挨拶で入って来て、ぼーっと立つ俺を通り越してベッドに座った。
アオイは背が低い。成長中のミヤと同じくらいだ。
しかし、肉体は成熟していて、特に胸はマシロほどではないが大きく膨らんでる。
それはパジャマの上からでも十分確認できた。
「俺でいいのか?」
二人に手を出しておいて今更だが確認しておかなければ。
「いいよ。それについては三人で何回も話し合った。まあ、私が先導したんだけどね」
「君とは出会いが一番遅かったはずだけど」
「うん、二人はあなたのことは警戒してた。でも私はあなたに一目惚れしたんだよ」
俺は成る様になれと彼女の隣に腰かけた。
「二人と俺を共有する形で良かったのか?」
「私が二人に持ち掛けたんだから、良いのよ。私達三人は運命共同体なの。同じ孤児として小さい頃から
一緒に育ってきたからね」
そうなのか。そんなこともあるのかと思っていた。
「でも、ヤキモチとかあるんじゃないか?」
ヤバい、言葉を間違えたか!。
「うーん、ないと言えばウソになるかな。でも仕方ないよね。日本に帰っても人権があるかも分んないわけだし、異世界で少しでも幸せに暮らそうと思えば、多少の我慢は必要だよ」
そうか、彼女は彼女なりに三人が幸せになれる道を探してるのか。それって俺の責任めちゃくちゃ重くない?。
「お。俺が君達を幸せに出来るんだろうか?」
「あーそんなに重く考えないで。私達はあなたにぶら下がっているだけの女じゃないから。あなたの行く道は私達も積極的に切り開いていくつもりよ。あなたは10年後くらいまでには、私達の子供を安心して育てられるようにして、そうしたら私達は勝手に幸せになるから」
俺の顔を下から覗き込んでニコッと笑う。
俺はそのかわいい顔から生きるための覚悟を感じた。
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目を開けるとアオイの顔が目の前にあった。
「おお」
びっくりして上半身を起こす。
「あのね、マシロに守ってやるって言ったみたいだけど、私達ってよっぽどのことがないと死なないわけでしょ。ケガしても直してもらえるし、今迄みたいに降りかかった火の粉はみたいなじゃなくて、こちらから戦うことも考えてね。ヒイちゃんもミヤちゃんもジュレイもドーテもみんなそう思っているよ」
アオイはそう言うと部屋から出て行った。
俺が自分から戦う・・・今まで考えたこともなかった。
今、天帝様達が黒幕を表に引っ張り出すように動いてる。
黒幕は俺を敵視したみたいだ。
自分から戦うべきなのか・・・分らない。
ただ、従者たちが保護すべき対象から、同じ道を進む仲間に思えて来た。
面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。
次回は飛行機が完成し、黒幕が襲撃を検討します。




