表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第3章 天都の悪
45/45

3-8 戻って来た勇者

ご愛読、ありがとうございます。

今回は前に煙台で会った勇者がクーヤを訪ねてくる話です。

 ジュレイの母親が逮捕されたり、逮捕した軍警の責任者が自殺したり、事件は起きるものの核心へは近付けずにいるクーヤです。


 〇天都近郊 転移101日目 第三者視点

 勇者ベルディアこと田中鈴鹿は魔人に負けた。

 魔王どころか、その部下の真の魔人ラッソの部下の魔人に負けたのだ。


 敗因はいろいろあるが一番大きなものは魔法使いの裏切りだった。

 戦いが始まってすぐに魔法使いが僧侶を攻撃して僧侶が死亡。

 勇者と剣士は魔法使いと魔人に囲まれる形となる。


 後は戦いにもならずに逃げただけだ。

 剣士の奮闘で勇者はかすり傷は負っただけで無事だったが、剣士は左腕の肘から先を失った。


 少女二人が乗った荷馬車が天都に続く街道をゆっくり進んでいた。

 この二人こそ勇者と剣士だった。


「見ろ、天都はもうすぐだ。ドーテ」

「ベル、あいつらが俺達を暖かく迎えてくれると思ってるのか?」

 ドーテは荷馬車の荷台で体育座りをして亡くなった左手を眺めている。


「何を言っている。私達は彼らの依頼を・・・」

「果たせなかったな」

 ドーテの答えに振り向くベル。


「だって、魔法使いは彼らの紹介だよ」

「俺も僧侶もな」

 ドーテの顔には諦めがあった。


「じゃあ、これからどうしろって言うの?」

「煙台で会っただろ。あんたのお仲間」


「転生者の・・・」

「あいつの噂を聞いただろ」


「いろいろね。虎の魔獣を倒したって、本当かしら」

「多分な。あいつは金を持ってるだろうし、お前が頼れば嫌とは言わないだろう。甘そうなやつだったからな」


「でも彼らに報告してからね」

「やめとけ、何やらされるか分かんねえぞ。あいつらのとこに行くならお別れだ」

 ドーテは手を広げた。


 ******


 〇帝城 宿泊所

 ジュレイがまた来た。

 昨日ジュレイが再来した時、軍警総監の自殺のニュースが伝わり、大騒動に成った。

 そのうち閉門時間となって帰って行った。それでまた来たということだ。


「クーヤ殿!何とかならないのか!」

「と言われても軍警総監が死んじまって、またその先は判らないよ」

 分かるのは軍のそうとう偉いさんが、黒幕だろうってことだけだ。


 ジュレイの母親が逮捕された怒りを持っていくところがなくて、イライラする気持ちもわかるが、俺に当たるのはやめて欲しい。

 俺はこないだ天帝様に頼まれたものを設計するのに忙しいのだ。


 だいたい俺は黒幕なんて分からなくてもいいんだから。

 巻き込まれそうって言うのはあるけど大丈夫だよね。

 なんか大疑獄事件とかになりそうで怖いんだけど。


「センセー、お姉さんがお客さん来たって」

「ああ、分かった。今日は近衛に行かないのかい」

「お昼から行くよお」

 俺は通路に出るドアを開くといつものお姉さんが待っていた。


「相談役様に会いたいとこの方が正門で待っておられます」

 そう言って小さな紙を俺に渡した。

 ”田中鈴鹿”、メモには日本語でそう書かれていた。


「ありがとう。行ってみるよ」

 お姉さんを帰した。

 確か煙台であった転生者の勇者の名前だ。どうしたんだろ。


 正門に行くと二人の少女が待っていた。

 一人は褐色肌のビキニアーマーの少女だ。忘れるわけがない。

「久しぶりだな。もう一か月は経つか」

 俺はなるべく気軽に声を掛けた。


 二人が傷だらけだし、顔も暗い。

 ビキニアーマーの少女なんか左の手が肘から先がない。


「あなた相談役になってたのね。すごいね」

「俺はドーテだよろしく」

「まあ、こんなところで立ち話もなんだ、昼時だし、そこのレストランに行こう」

 とにかく話を聞いてやらないと。


「すまん、手元が不如意だ」

「うん、ベル、どういう意味だ」

「金がないと言うことだ」

「そんなこと難しく言うなよ」


「心配しなくていい。ここの代金ぐらい奢るよ」

「流石、偉いさんは太っ腹だ。ありがとよ。最近まともな飯が食えてないんだ」

 この左手の無い少女は図々しいと言うか、なんというか。

 しかし、いやな気にはならない。生まれ持った性質かもな。


 ドーテがステーキをろくに切らずに獣のようにかぶりついてる。

 ランチタイムが始まってもまだ客は多くない。

「俺を訪ねて来た理由を聞こうか」

 少女達に悪い印象はない。

 俺が聴ける願いなら聴いてやろうと思っていた。


「私達をしばらく養ってほしい」

 スズカいやベルと呼んだ方が良いのか・・が言った。

「まず君達の状況が聞きたい。君がこの世界に来た時の事から頼む」

 彼女達の状況が判らんことには何もできない。


 ベルは語り始めた。

「私がこの世界に来たのは2年前、部活を終えて暗くなり始めた道を帰宅するのに歩いていた。

 突然白い闇と言うのだろうか、周りが真っ白になって、気付いたらこの世界に来ていた。

 私は天都の聖道真宗の教会に引き取られ、数か月過ごすうちに言葉を覚えた。

 それでここが外国ではなく、異世界だと分かった」


 俺の転移とは場所は違うが時間は同じだった。俺がこの世界に連れてきたのとは違うようだ。


 ベルは続ける。

「私の部活は剣道だったし、県でも一位二位を争ってた。

 それで教会騎士の中でも一番強かったんだ。

 教会は私を勇者と呼び始めた。

 そして勇者パーティーを集め始めたんだけど、思うように強い人材が集まらなかった。

 そこで軍に協力をお願いして募集してやっと集まった。

 それが私、剣士のドーテ、魔法使いのショウビ、僧侶のゲツエイだ」


 なんかRPGみたいだな。

 しかし、教会も勇者なんか作って布教でもするつもりなんだろうね。


「私達は魔人討伐を命じられて、大連に向かった。

 その結果、ショウビが魔人のスパイだった。

 僧侶は殺され、私達は逃げた。

 幸い奴らは深追いせずに逃がしてくれた。

 ドーテがこのまま帰ると、より過酷な仕事をやらされるから、あなたを頼れと言うからここに来た」


 ドーテの考えは正しいと思う。

 彼らにとって彼女達の使い道がそれぐらいしかないから。


「ドーテはどうだ」

 3枚目のステーキを慌てて口の中に押し込むと答え始めた。

「俺か?俺は台湾の山岳民族の出だ。代々族長は女で、外から婿を迎えて族長になる。

 俺は族長の血筋で婿を探しに外へ出た。

 しかし、外の世界に出ると山の中の限界集落には帰りたくなくなった。

 それで、腕っ節を生かして日銭を稼いでいたんだが、軍の勇者パーティーの仕事に乗っかったってわけ」


「それで君達はこれからどうしたいんだ」

「私は帰りたい。日本に帰りたい。あなたは帰り方を知らないか?」

 ベルの頬に涙が流れた。

 帰り方は知ってるが帰るポイントがあるかどうか。


「俺はこの手だ。誰も雇ってくれないだろう。村にも帰りたくないし、誰かの愛人にでもなるか。あんたどうだ」

 ふざけているのではなさそうだ。

 そう言われてみると混血を繰り返してきたその顔は整っており、体は筋肉質だが女性らしい曲線は守られていた。って何考えてる。うちの子達に嫌われちゃうぞ。


 頬をぱんぱんと叩いて雑念を振り払う。

 ちょっと聞いてみるか。

『天帝様、今いいですか?』

『飯を食ったところじゃ。かまわんぞ』


『実は勇者とその従者を拾いまして』

『はあ!?、勇者じゃと?』


『はい、聖道真宗教会の所属だそうです』

『おお、聞いたことがある。前に転生者を拾ったとか言ってたな』


『魔人討伐を失敗したんで教会に帰れないそうです』

『おお、それで』


『俺達の部屋に入れていいですか』

『どうするつもりじゃ?』


『生きる道が決まるまで養いたいと思います』

『仕方のない奴じゃ。分かった。宿泊所と正門には連絡しておく』

『ありがとうございます』


「さあ、いこうか」

「どこへですか」


「帝城だよ」

「ちょっと待って!」

 ドーテが焦って引き留めて来た。


「どうした。帝城に行けないのか」

「ステーキをもう一枚食べたい!」

 ズコ!おまえなあ、彼女の前にはすでに5枚の皿が積み上がっていた。


 ******


 〇帝城 宿泊所 

 俺が戻るとアオイが一人で留守番していた。

「みんなで練兵場に行ったよ。あれ、その人達は?」

 彼女はゴーレムエンジンの設計をしていた。

 魔道具に興味を持ち、そっち方面の研究をしたいと言うので、いろいろ教えている。


「彼女はアオイ、転移者だ。こちらは勇者で転移者の・・・えーと」

「鈴鹿です。よろしくお願いします」

「ドーテだ。よろしくな」

「彼女達をしばらく預かることにした。他の皆には従者通信しておくよ」


「なに、この人達傷だらけじゃないの。早く治してあげて」

 二人は傷だらけなのだが、外で治療を見られるのもまずいので、ここに来たと言うこともある。

「分かってるよ。まずドーテからだ、そこに座って」


「なんだよ。なにすんだ?」

 少し警戒して椅子に座った。

 うん、日本語が聞こえる。アオイが鈴鹿と話している様だ。


 俺はドーテの治療に集中する。

 何か所か傷ついているので、ナビさんにコントロールしてもらおう。

「再生!」


 ドーテはもともと半裸だから傷も良く見える。

 それが一つずつ消えて行く。

「なんだこれ?傷が?」


「うっ」

 ドーテが左腕を持ち上げる。

 骨が伸びる、筋肉、血管が巻き付いていく。

「俺の手が・・・」


 皮膚が筋肉を覆っていき、手のひらが出来て指が伸びていく。

 手をグーパーと何度も動かしてみる。

「おい、ベル!俺の手が、俺の手が戻って来た。戻って来たんだあ!」


 振り返ったスズカが慌てて寄って来た。

「私を守ってくれた手だ。ドーテェ・・」

 二人ともドーテの腕を無くして悲しかったんだろう。悔しかったんだろう。


「ありがとうございます」

「あんがとな」

「どういたしまして。今度はスズカの番だ」

「はい」

 二人は泣きながら抱き合っている。仕方ない少し待つか。


 スズカのケガを直してから風呂に入らせた。

「アオイ、悪いけど二人の服を見繕ってくれる。ボロボロだろ」

 二人は着の身着のままで逃げ出したので、着替えもないのだった。


「ラジャーであります」

 軍隊式の敬礼をしてアオイは風呂場に突進していった。

 あいつはノリがいいので、暗くならなくて助かる。


 ナビさんにスズカの送還について聞いておこう。

『ナビさん、スズカだけど日本に返せるかな?』

『そうですね。彼女の持つ転移ポイントが使えるなら可能ですが・・・』


『何か問題でもあるのか』

『彼女を二年前に帰すか、核戦争後に帰すかで変わってきます』

 何か慎重だな。


『違いがあるのか?』

『はい、2年前に帰すなら、こちらでの記憶を消す必要があります。彼女がこちらでのことを日本で話したり、ご主人様に接触したりすると、現在のご主人様に時間のひずみが集中すると思います』


『俺が消えちゃったりするわけ』

『はい、日本のご主人様か、こちらのご主人様か分かりませんが最悪は・・・』


『核戦争後なら?』

『時間のひずみは最小限で済みますし、ご主人様達も戻れることになります』


『危険はあるんだよな』

『はい、核戦争後の社会がどうなっているのかが分かりません』

 そうだよなあ。俺達の転移ポイントが全部消えちゃうような変動が、向こうで起きてるってことだもんな。


『いずれにせよ、彼女を従者にしないと始まりませんが』

 そうだな従者にしないと転移ポイントも確認できない。


 そんな時だった。アオイの悲鳴が上がった。

「ドーテさん!ダメえ!!」

 ドーテがスポブラ、パンツ姿で風呂場から出て来た。


「あんた!何やってんのよ!恥ずかしい!」

 スズカが顔だけ出して叫んでる。

「ええ、普段の格好とそんなに変わらねえぞ。どうだ旦那似合うか!」


 アオイがバスタオルですぐに隠す。

「最悪!」

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回はスズカを日本に帰そうとする話です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ