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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第3章 天都の悪
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3-4 コイルガン

ご愛読、ありがとうございます。

クーヤ達は嘉峪関の調査を終え、天都に帰ります。


 国境の城嘉峪関で天都の兵の様子を調査したクーヤ達は、兵達が無許可で任期を延長されていることを知る。


 〇白虎国王城 転移94日目

 新しい発見もないまま、白虎王のもとに帰って来た。

 俺達は城の中に部屋を与えられ食事も貰った。

「あんたねえ、ヒイちゃん達を大勢の兵隊の中に放置するってどういうこと」

 アカネが思い出したように俺を責めて来た。


「なんで今頃言うんだ?」

「だって他の人がいるところでは聞けないだろ」

 アカネは俺に悪評を立てたくないようだ。偉いぞ。


「うちの二人だったら1000人に囲まれても無傷で逃げられるからだよ。なあ」

「うん、逃げるだけならね」

「ぶっ飛ばせって言われるときついです」

 ナッツ・レーズンを砂糖と小麦粉で固めた菓子を頬張りながら二人が答える。

 この辺では普通の菓子らしい。


 アカネが呆れていると白虎王とジュレイがやって来た。

「クーヤ殿、お願いがあるのですが」

 ちょっとしたあいさつの後、白虎王が切り出した。


「はい何でしょうか」

 今回の任務にあまり関係がなさそうなので、軽く聞きかえした。

「実はジュレイが今年成人したんですが、嫁から天都に返せと連絡がありました。もっと早く行ってくれればマシロ殿と一緒に行かせたのですが・・・そこでクーヤ殿が天都に帰るときに送っていただけないかと思いまして、・・・いやもちろん依頼に見合う報酬は出します」


「今日乗せてもらったゴーレム車の乗り心地がすごく良くて。のせて頂ければなあと思いまして」

 まあ、可愛い顔で仰る。やっぱり白虎王は親馬鹿で娘の頼みを断れないのだなあ。

 俺は、座席の無くなるハイジの顔を見る。


「ウォン」

 機嫌よさそうに鳴くのでOKと言うことだろう。ヒイも頷いてるし。

「ハイジも良いって言ってるし、大丈夫ですよ」


「ありがとうハイジちゃん」

 ジュレイはハイジに抱き着く。

 ハイジは賢いな。生まれて1か月ちょいとは思えん。


「君達はいつ帰る予定なのかな」

 う、厳しいところを突かれた。天帝様の要請がなければ明日帰るのだが、妖精があればいつ帰るのかは不明だ。それに俺と天帝様が従者通信で繋がっていることは知られたくない。

「そうですねえ。何もなければ明日の朝、帰る予定ですが」


 中佐にはすぐに帰ることになると伝えたし、このまま駐留する意味はないからね。

 ジュレイ達が居なくなった後、転移組3人が俺のところに来た。


「今回の件はどういうことがと思いますか?」

 まずはマシロが切り出した。

 俺は今後のことを考えて、この子達にも考えることを放棄しないように思った。


「君達はどう思う」

「え、そんなの分かんないよ」

 アカネには期待してなかった。


「まず事件の内容を考えてみよう」

 まずは何を考えればいいか、からだ。

「3年の駐留期間を延長したことだよね」


「そうだな。じゃあ延長すると誰が得をするかだ?」

「ストライキをした兵隊に決まってるだろ。実際起きてるんだし」

「でも中佐は困ってなかっただろ。ストライキをして困ってるのは白虎王だ。治安が悪くなるからね」

 アカネはそう言われたらそれ以上は無理だった。


「でもそれをやってるのは、中佐じゃない。天都の誰かよ」

 アオイが気が付いたようだ。

「何のためだろうね?」


「中佐が帰るお金がないって言ってた。帰るお金と新しい兵隊を送るお金が浮いて来るの。天帝様は延長の話は聞いていないって言ってたんでしょう」

 そうだ、さらに延長した兵隊の給金もある。


 誰か、この莫大な金を懐に入れた奴がいる。

 ここからは天帝様の仕事だ。

 まあ、証人がいるならジュレイを連れて帰るしな。

 俺としてはこの仕事は終わったと思っているんだけどな。


 それからしばらくして天帝様から通信があった。

『クーヤよ。朕のやり方が悪かったのかもしれん』

 いきなりそう切り出された。


『どうかしたのですか?』

『事件を調べ始めてすぐに軍の主計局の係長が自殺した。軍はそいつが単独で事件を起こしたとして、これ以上の追及を拒んだのじゃ』


『そんな、主計局の係長が起こせる規模じゃないでしょう』

 俺はこれはトカゲの尻尾切りだと思った。

『そうなのじゃが、すでに証拠が整えられていて、どうしようもないのじゃ』

 天帝様は落ち込んでいる様だ。


『本来の駐留は2年間でそれを3年と兵を騙していた。だからだまし取った金額はかなり大きいのだが、その金は発見できない』

 天帝様は悔しそうだ。


 しかし、俺には何もできない。

 何だろう。俺の頭の中に現れたこれは・・・義憤とでも言うのだろうか。

 日本でさんざんやられてきたようなことが、ここでも起きてる。

 その係長は俺かもしれない。

 黒幕よ、必ずその正体を暴いて罪を償わせてやる。


 俺はそう思って連絡事項の後、通信を閉じた。

 ヒイが俺の顔を覗き込んでいる。

「センセー怖い顔してる」


「どうされたのですか」

 ミヤも心配してくれてる。

 俺は全員にさっきの通信の内容を伝えた。


「その係長が真犯人とは思えません」

「黒幕が居ますね」

「許せんぞ!アタイの槍に掛けてやる」


 皆が怒るが、恐らく俺達が黒幕の探索に掛かることはできないだろう。

 だいたい事件の捜査は俺達の仕事ではない。

 だが、これからの俺達の仕事に黒幕が関わってくる予感はする。


 ******


 〇白虎国 王城 転移95日目

 朝出発する俺に困った顔をした白虎王が言った。

「もし君が良ければ、天帝様に奏上して欲しいことがある」

「はい、奏上だけで良ければお役に立てるかと思います」

 天帝様に伝えるだけなら構わないよね。


「君も見たと思うがヨーロッパや西域との貿易がほぼなくなったこの地では、王城や嘉峪関の維持が難しいのだ。領土の拡大か補助金を考えてもらいたいとお伝え願いたい」

 白虎国は東西に長いがほとんどは砂漠だ。貿易が盛んな頃なら行き交う商人が金を落としただろうが、現在では見る影もなく落ちぶれている。白虎王の暗い顔はジュレイには見せたくないものだったのだろう。


「分かりましたが、私の今着手している仕事がうまくいけば、この辺も以前の賑わいを取り戻すと思いますよ」

 そう、産業革命が成功すれば西域への輸出で、この辺も混み合うことになるだろう。


「俺達が帰れば。天都の兵は帰還することになると思います」

「そうなるとありがたいが、彼らの駐留費も溜まっているからね」

 白虎王の顔に少し明るさが戻ったようだ。


 俺達は出発した。

 運転席、助手席は運転者と次に運転する者、二列目がジュレイと次の次の運転者、その間にハイジ。三列目がアオイ、ミヤ、ヒイだ。


 昼休憩でエコノミー症候群を防止するため、少々運動するようにしていたが、アオイが俺を呼んだ。

「クーヤ君、ちょっと見てほしいんだけど」

 アオイはほとんど人と行き交うことのない街道を背にしていた。

 周辺は川のそば以外は砂と石に埋もれていた。


「私の異能磁力制御で何が出来るのか、ナビさんと一緒に考えてたんだ」

「そうか、何をしようとしたんだ」

「私は戦う力が欲しかった。それでこんなものを考えたんだ」


 アオイが両手を合わせて真っ直ぐ前に伸ばす。

 何か地面から黒い砂のようなものが舞い上がり、アオイの手の先に棒のように渦巻きながら伸びていく。


「ハッ!」

 アオイが気合を掛ける。黒い棒が跳ね上がる。


 数十m離れたところで小さな砂煙が上がる。

 アオイの前に伸びた黒い棒が、再び黒い砂に変わり地面に落ちていく。


「もしかしてコイルガンか?」

「良く知ってるね。もしかしたら中二病のオタクだった?」

 アオイはいたずらっ子のような笑みを浮かべそう言った。

 まあ、多少は男の子だったらレールガンとコイルガンには興味は持つんじゃないか。


 レールガンは自衛隊が実用化を目指して頑張っているが、コイルガンは実用化は遠いようだ。

 なぜならレールガンはエネルギーとそれに耐えうる電極があれば光速を目指せるが、コイルガンはコイルの電気的抵抗があるため音速も難しいのだ。


「クーヤ君、お願いがあるの。見た通りコイルガンにはたくさんの弱点があるの」

 アオイが俺を縋る眼で見上げる。

 弱点ね。まずはコイルガンの組立に時間がかかる。射程も短いみたいだし、命中率ももう一つみたいな感じだ。反動リコイルが大きいのかな。


「弱点を克服する手立てはあるのか?」

「うん、それには君の力が必要なんだ」

 アオイの眼が潤んでる。こんな目をされたらおいちゃんは頑張っちゃうよお。


「ああ、俺のできることなら手伝うよ」

「ナビさん、言質を取ったよ」

『はい、しっかり記録させていただきました』

 アオイは意地の悪い顔になって笑っている。俺って騙されたのか?


「なな、なにをすればいいのかな」

 かなり不安だが聞いてみた。

「弱点のほとんどは何もないところに、コイルガンを作らないといけないところよ」


 コイルガンの基本構造は銃身に沿って多くの電磁石を並べて、弾丸を手前の電磁石から先の電磁石に引っ張らせていくように制御する。電磁石を通過したら電磁石を切らないと抵抗になるので、制御が難しい。

 一応コイルガンも銃刀法で規制される武器だが。市販品でも初速は200km/h以上くらいで音速には程遠い。


 異能で発射する場合、磁力のオンオフが簡単にできるため電力が要らないが、魔力でその制御をやる必要がある。制御用の電子部品がすでに開発されている分、電磁石の方の設計は楽かもしれない。

「それで、俺にコイルガンの元を作れと言うのか?」


『はい、収納庫に魔石の在庫はあります。これを使ってコイルガンを作ってください』

 なるほど、コイルガンの骨組みを作っといて、異能で肉付けするイメージか。

「どんな性能が欲しいんだ?」


「どんなものが出来んの?」

「例えば射程数十mのピストル、射程は同じで弾をばらまくサブマシンガン、中距離のアサルトライフル、長距離のパワーライフル、超長距離のマテリアルライフル。大きさと反動は後で言った方が大きくなる」


「えーそんなに種類があるのお。ちょっとクーヤ君が選んでよ。あ、それか全部作って貰ってもいいんだけど」

 アオイはそんなことを平気で言ってくる。


「無理、俺も暇がないし、そうだなあ、槍や剣と戦うならサブマシンガンが良いかな。アオイの手じゃあ大きなピストルは持てないだろ」

 俺はアオイの可愛らしい手を見る。


 アオイは恥ずかしそうに手を隠した。

「じゃあ、今度冒険するまでに作ってよ」

「わかった。なるべく早く作るよ」


 アオイは従者達が得意武器を持つ中、体が小さいので格闘武器を諦めて飛び道具にしたようだ。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回はジュレイの話が中心になると思います。

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