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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
プロローグ
3/4

プロローグ3 ゴーレム

ご愛読、ありがとうございます。

前作の省いた部分を書きました。前は退屈だろうとヒイとの出会いから書きましたがどうでしょうか。

 富士山も月もある異世界に転移した男、浅野空也はこの世界で生きていく決心をした。

 彼は日本で上司と取引先の男に嵌められ、犯罪者に祭り上げられ、元の世界に戻る気を無くしていた。


 俺にはいくつかの異能がある。ライトノベル風に言うとスキルになるのだろうか。

 もともと俺に備わっていたようなのだが、日本に魔素と呼ばれる両氏が無かったことで、異世界に来てから開花したらしい。


 まずは異世界転移能力、あらかじめ指定した時間場所への転移が出来る。この異世界に転移するには時間場所が不明だったので、俺が俺の意志で転移したのではなさそうだ。


 従属回路の能力、自分に依存する人物を従者にすることが出来る。これによりノーパソの対話型AIアプリが進化して従者ナビさんとなった。ナビさんは謎の亜空間でパソコンを並べて電脳空間を作っている。回路を通じて脳内通話、身体強化、マップ、インストールが使える。


 身体強化の能力、身体能力を最大三倍に引き上げる。ナビさんが回路を通じて健康管理をしてくれる。


 マップの能力、ナビさんが見た地形などを脳内で地図化してくれる。


 インストールの能力、ナビさんが日本の霊界に接続して能力の優れた霊を憑依させ、その能力を習得させる。筋肉、神経の接続など身体強化でやるので習得にかかる時間が100倍速い。

 現在空也は剣術、空手、柔道をインストールを使って習得中。


 〇転移八日目 青龍国王城

 俺はゴーレムを作りたいので、その知識を図書館の本をデータとしてナビさんが覚えて、寝てる間にインストールしてくれた。

 ゴーレムの根本は魔獣の核となる魔石だ。


 魔石を砕いて銅合金の粉末と混ぜて固め、魔力を流すとそれ自体が往復運動を始める。ゴーレム馬は四本の足にこれを付けて歩いているのだ。

 ただ製作するうえで非常に微妙な調整を要する。振れ幅、方向を決定するには職人技がいる。

 カクタスがゴーレム馬に近付くなと言ったのはその辺の事情によるようだ。

 王城では実験も製作もできないから、外に出たいとカクタスを通じて申請中だ。


 昼前にはカクタスが現れた。

 扉を乱暴に開けて、人懐っこい笑顔を俺に向けて言った。

「おい、許可が下りたぞ」


 こいつは俺のことを友人のように接してくれる。異世界からやってきた人間なんか気味悪いと思うのだが、こいつには人種差別という概念すら存在しないらしい。

「外に出られるのか。やったな」


「おまえなあ、俺も苦労したんだぞ。もっと喜べよ」

 俺は本来34歳のオジサンだ。喜怒哀楽を心のままに表す術など、とうに忘れちまったよ。


「おう、ありがとうな」

 精一杯の笑顔でカクタスに礼を言うと彼は顔をくしゃくしゃにした。

「最初からそう言えばいいんだよ」

 俺が初めてこの異世界で友達を持った瞬間である。


「で、条件はあるんだろ?」

「それな、まず宿泊場所は俺んちだ」

「お前の家に泊まるのか?」


「そうさ、これでも親父は飛竜将軍と呼ばれる大将軍だ。結構家もでかいぞ」

「でも、俺はこの国の金は持ってないぞ」

「心配すんな。金は青龍国・・いや天帝様から出るから気にしなくていいぞ」


 彼は飛竜将軍の三男坊で将軍は軍で2番目に偉く、上の二人の兄は文官で任官している。姉はすでに嫁いで、妹が居るそうだ。

 俺は外に出るに対しての約定の書かれたものを見せてもらった。


 門限は6時で将軍の家以外での宿泊は認められない。以下細かい条文が並ぶが要するに行方不明になるな、危ない真似はするなということであった。


「それからな、俺に剣術の稽古をつけてほしいんだ」

 ははあ、俺のために奔走してくれると思ったがこれが目当てか。

「もちろん、いいぞ」

「良し、昼飯を食ったら引っ越しだ」


 昼食後、俺達は王城を出た。俺達は歩いてカクタスの家を目指す。

 外から眺める王城は巨大だ。皇居とどちらが大きいかと考えたら、俺は皇居の大きさを知らない。いや、行ったことはあるんだ。小学校だったか、遠足だか、修学旅行で見たことはあるが大きさを感じた記憶がない。まあ、興味が無かったんだろう。


 王城の周りには貴族の家が並んでいる。ただ違和感がある。何だろう。

 貴族の家が古い石積みの家なのだ。震度3とか4の地震が結構ある関東ならちょっと危ないのではと思ってしまう。


「なあカクタス、ここいらは地震は無いのか?」

 引っ越しと言っても大きな荷物があるわけではなく、ほぼ手ぶらで歩いている俺達。

「地震?、そうだなあ、体に感じるものは何十年に一回あるかな?俺は遭ったことないけど」

 ふーん、やっぱり日本じゃないのか。もしくはこの世界では大陸並みに地震がないのかもな。


 ほとんど人と会わない。カクタスに聞くと貴族は登城時と帰り以外はめったに出歩かない。買物とか行かないのかと聞くと、御用商人に言って持ってこさせるそうだ。だから女性は外出しないそうだ。

 15分ほどでカクタスの、いや飛竜将軍の家に着いた。


 飛竜将軍と長男は不在だったが奥様とカクタスの妹がいた。

 ちなみに次男と長女はもう独立して家を出ていた。

「クーヤ=アサノです。よろしくお願いします」


 奥様と妹はカクタスと同じ竜人ドラゴニュートで、やはり角がある。

 この世界は一夫多妻が可能だが飛竜将軍は奥様一人だ。カクタスに言わせるといまだにイチャイチャしているそうだ。


 カクタスは家族を紹介するとすぐに王城に帰って行った。

 俺はメイドさんに部屋に案内された。部屋は十畳ぐらいでベッドと小さな机と衣類などを入れる箪笥があった。


 俺はベッドに腰かけ、ナビさんに声を掛けた。

「安い中古バイクでも買おうか?」

 せっかく外に出られたのだ。この世界を見てみたい。それに魔石を手に入れたい。

『ご主人様、バイクはこの世界では動かない可能性が大きいです』


「え、どういうこと?」

『図書室の文献を確認した結果ですが、この世界では爆発が起きないようなのです』

 意味が解らん。ビックバンが無かったとかの話?


『いいえ、多分この星に限った話だと思います』

 わお、話そうとしなくても解るのかよ!。

『すみません。つきましては実験を行いたいのですが』

 まあ、それも王城を出た理由の一つだ。


 俺がこの世界で生きるためには、この世界のことを知らないとお話にならない。

 日本とでは物理法則が一部違っていることは明らかだ。

 まず必要なものは移動手段だ。内燃機関や外燃機関がどの程度使えるのかとか、爆発は起こせるのかを検証する必要がある。


「まずはバイクを買おう」

『とりあえず、ゴーレムに改造することを考えて、単気筒のオフロード車をお勧めします』

 そうかピストンをゴーレム化すればそのまま動かせそうだな。それなら調整の少ない単気筒モデルが簡単でいいだろう。この世界では往復運動を回転運動に変えるクランクが使われてないみたいだから新発見になるかもな。


「いや、待てよ。そうなるとよその家の中にバイクを置いとけないじゃん。どうするよ?」

『亜空間収納を準備いたしましょうか?』

「なにそれ、もしかしてアイテムボックスとか言うやつかな?」

『少し違いますが、亜空間を作ってご主人様の転移能力を使って出し入れします。私が座標を固定するのでご主人様は入れたい品物、出したい品物を指定するだけで使用できます』


「まるでゲームみたいだな。ぜひお願いするよ」

『はい。・・・あ!』

「どうした」

 ナビさんが珍しく声を上げたので、慌てて聞いてみた。


『収納庫はできたのですが、少し大きくなってしまいました』

「なんだあ、そんなことか。ちなみにどれくらいの大きさ?」


『だいたいオーストラリア大陸ぐらいです』

「そっかあ、オー・・・って!!ちょっと待って、何を入れるんだよ」

 ナビさんでも失敗するんだ。びっくりしたよ。


『できてしまったものは作り直せませんし、廃棄するのももったいないので、そのまま使います』

「そ、そうなんだ。ま、仕方ないよね」

『座標の固定の関係で重力、時間はございませんので、そのおつもりでお願いします』


「それってどういうこと」

『入れてしまえば経時変化はないと言うことになります』

生物なまものを入れても腐らないのか。冷蔵庫が要らないな」


『代わりに生きた動物は入れられません。時間が止まる衝撃で生きてはいられないと思います。死ぬと別の物になるので取り出せない可能性があります』

「うん、それは嫌だな。ということは植物は大丈夫なのか?」


『はい、死んでも状態の変化が解らないものは大丈夫です』

 そうだな、2000年前のハスの種が生きてたって聞いたことがあるし、区別できないよな。


 俺は一度外に出ることにした。

 門番に多少大きな音がしても大丈夫な場所を聞いた。

「あの大きな木を目指して歩いて下せえ。1時間ぐらいで誰も住んでない場所に着きます。帰るときはこの家の物見櫓を見て帰ってきて下せえ」


 驚いたことに1時間歩けば、人が住んでいないそうだ。10分も歩くと家が小さくなって門構えもなくなった。おそらく庶民の家なのだろう。壁は日干し煉瓦みたいだ。雨で溶けないのかな。

 一応、こちらの貴族の服装をしているから、ちょっかいは掛けられないだろう。


 40分ほど歩いたところで家が途切れる。

 道も林の中を通る細い道だ。行き交う人も見えない寂しい場所だ。

 木々が葉を落としているので明るくて助かる。

 5分も歩くと小さな集落と田畑が見えてきた。この集落へ行く道だったか


 集落を避けて低い堤防を上がると幅10mくらいの川があった。

 石の原があったのでそこに降りる。

 そこでナビさんが探してくれたバイクを取り出す。

 10年以上前の中古だが赤基調でなかなかカッコいい。


 結果を言えばエンジンは掛からなかった。プスンとは言うのだが連続しない。ガソリンやオイルの状態も悪くない。

『ご主人様、これを試してください』


 ナビさんが出してきたのは爆竹と100円ライターだ。

 やはり、この世界では爆発は起きないのか。

 俺は爆竹の導火線に火をつけて放り投げる。

 爆竹は石の上を転がり、導火線の火がその内部に潜り込んでいく。


 俺は反射的に耳を手で覆う。

 しかし、爆竹はバラバラになって、吹き出し花火のように炎を噴き出す。

 その不思議な光景に俺は目を奪われる。


『やはり、この世界では急激な膨張のエネルギーが何かに奪われるようです』

 これでバイクの改造は決定した。

 材料の魔石と銅酸化物を用意しなきゃあ。


 その日の夜、銅酸化物は日本で買えそうだからカクタスに魔石の相談をした。

 するとカクタスは明日魔獣狩りに行くので、お前もついて来いと言う。お前が狩った魔獣の魔石は所有してよいとのことだ。


「俺より強いんだから大丈夫だろ」

 あっさりと俺の同行が決まった。

 どうもネズミやウサギの魔獣らしくてあまり強くないらしい。


 就寝前にナビさんを呼び出した。

「魔獣ってどうやって発生するんだろう?」

『書籍では魔素だまりで魔素を吸収した動物が、体内に魔石を発生させ、魔獣に変化するとありました』


「魔素だまりって何?」

『地下から噴出する魔素のたまり場とされてます』


「魔獣になるとどうなるの?」

『体が一回り大きくなり、力も強くなるそうです。また性格も激しくなり、人間も襲うそうです』


「もしかして、魔石を持った人間もいるんじゃないか。魔王とかいたりして?」

『はい、はるか西の果てに魔王とその眷属がいるそうです』


「それって、俺に退治しろって言わないよね」

 もしかして俺は勇者として呼ばれたのではないかと思った。

『ご主人様、あなたはカクタス殿が三人で同時に襲ってきたら勝てますか?』


 俺はナビさんの仮定を想像してみた。

 どう想像しても避けるのは無理だから、カクタスの剣を受けると他の二人に斬られる未来しか見えない。

 二人までなら何とかさばけるが、三人の面の圧力に負けてしまう。これが戦場の力か。


「無理だな。負ける」

『そうです。あなたに魔王の軍団を倒すのは不可能です。まともな施政者がそれを選ぶとは思えません』

俺が勇者ではないと安心するとともに、俺の強さが軍隊と戦えるものではないことを痛感した。


 俺の強さが大したものではないと分かってちょっと落ち込んだが、気を取り直して聞いてみた。

「それでここの場所の見当は付いたのかな」

『はい、富士山や月、星座や太陽、そしてエドやエドマエという言葉から言って、間違いなく地球の日本のあった場所です』


「それじゃあ、過去ってことはないはずだから、未来に来たってこと?」

『いえ、それには矛盾が多すぎます。ここが東京とすると海が埋め立てされてませんし、川の位置もおかしいです。まるで過去に戻ったみたいに』


 いよいよ訳が分からん。異世界と言っても日本に関連がありすぎる。

『私の推測ではここは多次元宇宙の地球ではないかと思います。いわゆるパラレルワールドというやつですね』

 

 元の世界に帰れない以上、この世界がなんであれ、生活できるようにしなきゃだし、そのためには信帝国の天帝様に会わなきゃだし、そのためには自分の移動手段を確立したい。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回から本格的に物語が動き始めます。前作とはストーリーも変わります。

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