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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第2章 3人の女子高生
26/31

2-3 マシロとアカネ2

ご愛読、ありがとうございます。

今回もマシロとアカネとの話です。

 天帝様と面会したトーヤは一緒に転移した女子高生の世話と産業革命を依頼された。

 製鉄と繊維の学校を作ると張り切るクーヤは、プレゼン資料の用意を始めたがマシロとアカネが話しかけてくるのだった。


 〇帝城内宿泊所 転移72日目

 ヒイとミヤは天蓋付きのダブルベッドで寝ることになった。全周を覆うカーテンがついているので、早く寝ても外の明かりを気にしなくて良い。

 マシロとアカネも寝室に行ったので、安心してプレゼン資料を作っていた。


 夜も更けた頃。

「ナビさん、これをパワーポイントで見やすくできるかな?」

『はい、お任せください』

 目の前の資料が消える。ナビさんの部屋に運ばれたのだ。


 ナビさんのコンピューターの電源って何処から取ってるのかなあ。やっぱ盗電なのかなあ。

 まあ、やっとできたんだ。マイナスの考えは捨てて、頭を休めよう。

 その時寝室の扉が開いた。


 マシロとアカネがジャージ姿でリビングに現れた。なんだこんな時間に・・・。

「クーヤさん、お話を伺ってもよろしいでしょうか」

 うーんもうちょっと色気のある格好をしてくれてもいいのにな。けしからん感想を抱きつつ。

「なに、こんな時間に?」


 二人は俺の向かいに座るとマシロが口火を切った。

「私達は本当に帰れないのでしょうか」


「まあ、難しいね。言ったように帰るには安全な生活が送れる転移ポイントが必要だ。日本が核攻撃を受けて、俺の持っていたそれ以後の転移ポイントはすべて消失した。ただ、天帝様の巫女の中に異世界を見る能力のある人がいるようだ。その人に安全な生活が送れる転移ポイントを探してもらうという手があるにはある」


「ではそれで日本に帰ることが出来るのですね」

 二人はお互いの顔を見あってほほ笑んだ。しかしだ。


「でもね、それが正しい選択とは限らないよ。あの様子じゃあ東京も蒸発してるだろう。無政府なうえ、知ってる人は誰もいない。安全と言ったっていつまで続くか。暴力が支配する世界になっていっても何の不思議もない、そんなところに君達を送りたくはないね」

 いくら核戦争が起こってもすぐに人類が滅びるわけではない。ただその後人類が生き続けられるかは別の話だ。


 今の子供には無政府の怖さは理解できないかな。でもそこでは君達は弱者になる。

 二人は微笑みを消し、俺を睨んだ。

「日本に帰るなと言うのですか?」


「少なくても3年くらいは様子を見るべきだと思う。あの東日本大震災より酷いことになってると思う。あの時は日本のほとんどは正常に動いてた。今は生き残った人に手を差し伸べる人もいないと思うよ」

 俺は核爆発が起きたのが起きたのが関東だけとは思えなかった。おそらく米軍基地や自衛隊基地などの多く、それから大都市が目標になっていると思う。


「今私達が帰るのは危険と言うことですね。ではここにいるのが安全と言うことですか。と言うかここはどこなのですか」

「君達は単に異世界と思ってるだろうね。この星は地球で、ここは俺達の世界で中国の洛陽の街があるところだ」


「じゃあ、ここは昔の中国なのか?日本に行ったらちょんまげのサムライが居るのか?」

 アカネが信じられるかと言う顔で机を叩いた。

「残念ながら、サムライは居ない。けど富士山はあるし、 琵琶湖もあった」


「クーヤさんの言ってることが解りません。どういうことですか?」

「ここはパラレルワールドだ。少し物理法則が違う地球だよ。地形はほとんど同じだ。ただ歴史は良く似ていて地名は元の世界とほぼ同じだ」


「じゃあこの世界にも横浜はあるんですか」

「あるよ、小さな漁村だけどな。この世界にはヨーロッパに魔王が居て、人間が大きな国を作れていない。つまりヨーロッパ諸国による植民地時代がないんだ」


「でもここには獣人がいるし、角の生えた人もいたぞ」

「そうだな、そこは俺にもわからん。俺達の世界はホモサピエンス1種類になってるけど、この世界ではネアンデルタール人やデニソワ人なんかも一緒に進化したような感じかな」


「ごめん、言ってる意味がかけらも解らん」

 アカネが頭を抱える。

「うーん、要するに猿から人間に進化するとき、今の人類以外にもたくさんの人類が居たんだけど、今の人類が勝って残ったんだ、でもこの世界では少し形の違う人類も残ったんだよ」


「ちょっとわかったような気がする」

「まあ、難しい話は置いといて、クーヤさんは私達はどうするべきだと思いますか」

 マシロは離れた話を引き戻した。俺としてはこういう話、好きなんだけどな。


「俺としてでいいか。君達はこの世界で仕事をして、自分で自分を養えるように自立してほしい。もちろんそれまでの最低限の衣食住は保証するし、活動も支援する。それには俺の従者になることを推奨するよ。すぐに信国語も話せるようになるしな」

 俺は自信満々にそう言った。


「それは私達に奴隷になれと言うことですか?」

 マシロは怪訝そうな顔をする。

「従者は奴隷じゃない。精神的にも肉体的にも自由だ」

 ヒイやミヤを侮辱された気がしてちょっと腹が立つ。


「クーヤさんはこの世界で生きていくおつもりですか?」

 話を変えて来たな。不毛な話し合いは嫌らしい。マシロは頭が良い。

「うん、今のところはね。うちの二人の従者が最低でも自立するまでは、こちらの世界に居るよ」

 そうだな、あの子達は守って行かないといけないな。


「あなたはこちらの世界にどういうメリットがあるのでしょうか?」

「俺は日本で孤独だった。まあ、人間関係に失望していたということ。

 この世界には俺を家族のように慕ってくれる子がいること。

 俺には多くの異能があって、こちらの世界の人に対して、優位に生きていくことが出来ること。

 俺はエンジニアなんだけど、天帝様に産業革命を依頼されて、やりがいのある仕事が出来ること。

 大きくはこんなもんかな」


 マシロは考え込んでいるが、アカネは退屈そうにしている。考えることをマシロに任せているみたいだ。

「私達が従者になれば何が起きるのですか?」

「正確には従属契約って言うんだけど、君達は魔道具を使えないよね」


 二人が頷く。

「それは体内に魔力回路がないからだよ。契約は魔力回路で行われるから魔力回路が出来るはず。それから身体強化、従者通信、脳内地図、インストールが使えるようになる」


「従属契約って奴隷になるってことか?」

 アカネが怒った顔をして机を叩いた。こいつは馬鹿か、さっき説明しただろうが。

「違うって、ちょっと前にも言わなかったか?」


「お前、ヒイちゃんやミヤちゃんにそんなことを!」

 アカネが暴走を始めた。

「俺はロリコンじゃねえ!!」

 俺があの子達を汚すわけがねえじゃねえか。


「クーヤさん、お静かに。子供たちが起きますよ」

 今度はマシロが・・・。こいつらは悪魔か。

「だって、俺は無実だあ」

 涙が出て来た。


「そんなこと解ってます。アカネもからかわないように」

「ごめんってば」

「お前、俺をからかってたのか」

「はいはい、これでおしまい」

 マシロが手を叩く。俺は納得できない。


 くそー、お願いされても従属契約なんてしてやんねえぞ。

「日本にすぐに帰れないことは了承しました。

 その間こちらで生きていく努力をすることも賛同します。

 しかし、従属契約に関しては、もう少し様子を見させてください」

 マシロは固い言葉で俺に告げる


「かまわん、勝手にしろ」

 俺はそっぽを向いた。マシロが慌てた。

「ほら、アカネ、クーヤさんが拗ねちゃいました。もう一回ちゃんと謝ろう」

「やめてくれ、余計みじめになる」


 俺は大人だ。女子高生の言った事をいつまでも引っ張ってる訳にも行かない。

「君達はこちらの言葉を覚えないと、いつまでもこのままだろ。ヒイやミヤに教えてもらえ」

「わかりました」

「わかった」


「もうちょっと、お話いいですか?」

 眠れないのか、マシロが聞いてきた。夜も遅いが、明日のプレゼンはどうせ昼からだろう。

「かまわないよ。何の話だい」

 こんなに日本語を話すのは何か月ぶりだろう。ちょっと変な感じがするよ。


「勘違いしているようなので言っときます、私達は高校生ではありません。この3月に卒業して、就職もしています。学生服を着ていたのは外出用の服がなくて学生服を着ていただけです。初任給で服を買うつもりでした」

 アカネもうんうんと頷いている。親がいないとそんなものなのか。そういやヒイまともな服は持っていなかったな。


「私としては日本に居たって底辺の暮らしが待っているだけなので、こちらでチャンスがあればとも思うのですが・・・」

 分かる、分かるよ。相棒がこいつじゃなあ。とアカネを見るとほけーっと気の抜けた顔をしている。


「そうだな、こちらで頭角を現すのは、頭脳だ。見て分かるようにこちらは科学が遅れている。科学的な知識を応用できれば大金を稼げるだろう」

 アカネがあからさまに嫌な顔をする。知能には自信がないのだろう。


「私達は文系ですから、理系の知識には自信がありません。他にありますか」

「いや、知識がなくても俺の異能のインストールがあるから、従者になれば職人並みの知識が得られる」

「だからあんたの従者にはならないって言ってるだろ」

 またアカネがうるさい。俺はフォローするって言ってるんだから。


「後は、ここで生きていくなら武力が欲しいな。やっぱり日本に比べると治安は悪いし、魔獣もいるからな。それに日本に帰るつもりでも、暴力に対抗する力を持っていた方が良い。俺なんかヒイとミヤに格闘技をインストールで覚えさせたよ。並みの人間じゃあ敵わないくらいにはなってる」


「子供が大人の男に勝てる訳がないだろうが!」

 アカネがまた俺に噛み付く。

「それがだよ、従者になると骨や筋肉が強化される身体強化と言う俺の異能がコピーされるんだ。だから大人より力も強くなるし、技もインストールで達人並みになるんだ」


「にわかには信じられませんが、それが従者メリットな訳ですね」

「まだまだあるぞ。病気に罹り難くなるし、俺や従者間でテレパシーと言うか脳内通信が出来るし・・」

「もういいです。あなたはなぜ私達を従者にしたいのですか?」

 もっといっぱいメリットがあるのにな。


「それは俺自身が従者が増えることで、異能の力が強くなるらしいからだ」

「それでこちらの世界で暮らしやすくなる訳ですか。従者になるのに条件はないのですか?」

「俺のことを尊敬と言うか、敬愛と言うか、難しいか。先生とか先輩とかぐらいに思ってくれればいいと思う」


「ハードル低いんですね。もっと難しいのかと思ってました。アカネはともかく私はすぐ成れそうですね。こちらの世界のことを教えてくれる先生ですからね」

 アカネは置いてきぼりにされた子供のような悲しそうな顔をした。

 夜もかなり更けたので、解散してそれぞれの寝室に戻った。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は天帝様にプレゼンです。

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