2-1 天帝様
ご愛読、ありがとうございます。
天帝と面会します。
青龍国の王都から信帝国の天都まで、おそらく役3000kmを14日間も掛けてたどり着いたクーヤ達。
天帝様の面会許可が出てついに天帝様と会うことになった。
〇帝城 転移72日目
ホテルを出て、車で帝城に来た。帝城の中はとてつもなく広いので車で来るように言われたのだ。
門番に入門証を見せて受付に行く。門番の建物に続いて受付がある。
受付は三つあるが時間が昼過ぎのためか一つしか開いてない。
「カクタスさんは近衛府ですね。リョウカ様達と途中まで一緒に言った方が良いですね。リョウカ様はここから南に真っ直ぐ行って貰って、三つ目の角を左折してください。角に宮内府、式部府、近衛府の看板がありますから解ると思います。宮内府は200mくらい先にあります。近衛府はそこから500mくらいです。
建物に看板がありますのでそこに言って説明を受けてください」
うへえ、なんて広さだ。
まずは南に走り出す。一つ目・・・二つ目・・・三つ目と看板もあった。
「ヒイ、看板になんて書いてある?」
「へ、えーっとね・・・」
「教えただろ」
「えへへへ、忘れた」
左に曲がってっと・・・今度ミヤと一緒に読み書き・計算を教えないとな。
道は前の建物の北側に沿って作られている。そして建物の南側には20mくらいの小さな庭が作られている。
そして宮内府に到着する。
庭の中に一方通行の道があり、車止めを中心にカタカナのコの字を描いている。
他に馬車もいないことから俺はカクタスに声を掛ける。
「簡単にUターンできそうだから近衛府まで行こうか?」
「いや、軟弱な奴と侮られたくはない。歩いていく」
やはりカクタスからは脳筋な言葉が出てくる。
俺は収納からカクタスの荷物を出してやる。剣や槍もあるから結構な荷物なんだよな。
「カクタス様、元気でね」
「今までありがとうございました。また会えるよね」
ヒイとミヤが車から降りて、泣いている。
「ご苦労であった」
「お元気で」
リョウカ様とハンナさんの声も心なしか湿っぽい。
近衛府へ赴くカクタスを見送り、俺は宮内府の車止めに車を止める。
リョウカ様の手を取って車から降ろすと後は勝手に降りてくる。
俺は車を収納にしまって、建物内の受付に行く。カクタスがいないと忙しい。
「青龍国の王女リョウカ様が天帝様と面会のためにまかり越しました。ついでに私浅野空也も面会の予定です」
事務机から受付まで来てくれたお姉さんに一気に話す。
「はい、伺っております。待合室はご一緒でよろしいですか?」
「はい、結構です」
俺達を見て、子供や子狼が置いても動じないし、口には出さない。さすがだ。
「リョウカ様達のお荷物があればお預かりして、宿泊所に運んでおきますがどうされますか?」
お姉さんの言葉にリョウカ様が頷いたので、収納から二人の荷物を出して預ける。
お姉さんが亜空間収納にびっくりしているが、車から出すふりもできないし仕方ない。
待合室に案内された。十人ぐらいが入れる部屋だ。
「リョウカ様、もう会えないの?」
ヒイがもう泣いている。ミヤもなくのをこらえてるようだ。
「ヒイ、ミヤ、残念ながら天帝の巫女は門外不出じゃ。任期が終わるまでは会えんじゃろ。達者で暮らせよ」
「うう、ヒイちゃん、ミヤちゃんまた会ったら仲良くしてね」
ハンナさんも泣き始めた。
実年齢34歳の俺は学生時代や社会人でも別れを経験してきた。ちょっと感情を共有できなくて浮いていた。この世界の人間が日本人の俺より余程感情表現が豊かということもある・
リョウカ様とハンナさんはすぐに迎えが来て部屋を出て行った。
「そのうち、俺も呼ばれるからここで待ってるんだぞ」
リョウカ様達は巫女の着任の挨拶だけだろうから、俺の番はすぐだろう。
俺のところにも迎えの人間が来た。
「ご主人様、帰ってくるよね」
「センセー、どっか行っちゃうの」
「お前達を置いてどこかに行けるわけないだろ。心配するな」
「うん、絶対だよ」
「待っています」
彼女達に後ろ髪を引かれる思いで部屋を出る。
俺の前をゆっくりとした足取りで、歩いている男に聞きたい。聞いてもいいんだろうか。
「あの、天帝様の前でどのような姿勢をしたらいいんですか?」
青龍国ではあまり気にしなかったが、相手は天帝様だ。おそらくこの世で一番偉い人だ。
何か間違えたら、首を斬られるかもしれないのだ。
「ああ、天帝様はあまり礼儀にうるさい方ではないので、片膝をつくか、両膝で立つかですね。両手は開いて床についてください。視線は天帝様の胸から上を見ないようにして貰えばいいですよ」
何だい、いっぱいあるじゃねえか。
「謁見室です。視線を上げないように注意してください」
広い部屋の奥が一段高くなっており、そこに天帝様がいるようだ。
黒い服を着て黄色の羽織を羽織っているみたいだ、
うん、小さい?成人の男とは思えぬほど天帝様が小さい。ミヤより少し大きいぐらいだ。
「青龍国に転生した浅野空也殿です。・・・跪いて」
小さく後に言葉を付けてくれたので、跪いて両手を床に付けた
男は去って行った。
うん、天帝様の左に2組の素足が見える。右の壁側には多くの男が立ってるようだ。
「クーヤ殿、巫女のシンシアと申します。あなたがこの世界にやって来た経緯を説明します」
若い女の声だ。右方向から声が聞こえる。
「あなたはこの世界に来たのは我々の力と思っているかも知れませんが、違います。あなたの意志であなたの力でここに来たのです。我々は場所を教えただけです」
俺が自分で来たというのか?、そんな記憶はないが。
「あなたの世界は核戦争で滅びました。あなたも白く光る空を見たはずです」
それは確かに記憶にある。
「あなたは核爆発で発生した魔素を吸収し。異能を発現しました。まず、亜空間を作ってそこで爆発を避けたようです。そこに我々が転移ポイントを送信しました。そこであなたと3人の巻き込まれた少女がこちらに転移しました」
たしかあの時3人の女子高生がいたが俺が一緒に・・・。
「我々が指定したのは四つの辺境国、転移ポイントが離れていたのは人間の重複を恐れたためです」
そりゃ重なったらどうなってしまうのか解んないよね。実験もできないし。
「おいそれとは信じられないでしょうから、こちらの巫女が見た映像をあなたの頭に映しましょう」
俺の頭の中に俺の住んでいた街が映る。
遠くで光の玉が、厚木のあたりか、
巨大になった火の玉に包まれるとすべてのものが蒸発していく。
映像はそこで終わった。
そう言うことか、転移後の転移ポイントが無くなったのは、元のポイントが無くなったからなんだ。
ちょっと待てよ。それならナビさんはなぜそのことを知らないんだ。
『確認しました。私の前任者がいた形跡があります。魔力の過使用により消滅しています』
なるほど、こちらに俺達を送ることで自分の存在もなくなってしまったのか。
『私はご主人様の魔力で生きています。ご主人様が全魔力を消費すれば、私も消滅します』
「質問はありますか?巫女の能力については詳しいことは言えませんが」
巫女さんは何人もいて、いろいろな異能を持っているみたいだ。なんで秘密なんだろうか。
「その3人の少女と言うのは?」
「そこに2人います。あと1人はまだ天都に着いていません」
俺が少し顔を上げるとさっきの素足の上は学生服だった。無事だったんだとホッとした。
「あなた方は俺のことを知っていたようですがどうしてですか?」
「それはそのような異能があるとしか言えません」
こっちに来てからの俺のことも知っていたし、聞いてもだめだろうな。
俺は質問をやめた。神奈川の東側だけかもしれんが、日本に未来はなかった。こちらの世界に注力すべきだと思った。
「ご苦労、下がれ」
シンシアさんが下がって行った。
真ん中から聞こえてきたということはこれが天帝様の声。若いと言うか幼さを感じる女性の声だ。
顔を見たいなあと思ってると、上から言葉が降りて来た。
「クーヤよ、お前には二つの依頼がある。一つはお前とともにやって来た娘達の保護だ」
あの女子高生を俺が養うということか。ちらっと学生服の女性を見る。なんか全体的に薄汚れた感じだ。
「もう一つはこの世界に産業革命を起こしてほしい。見た通りこの世界は千年もほとんど進歩していない。お前の居た日本のように豊かな世界にしてほしい」
俺に掛かればそれは難しくない。なぜなら従者にしてインストールで技術を教えれば、それなりの技術者が出来上がるからだ。しかし、俺は従者をあまり増やしたくない。信用できない奴まで従者にしたくない。・・・そうかそれなら技術の継承が出来る。
俺は横の偉いさんに言う。
「発言してもよろしいでしょうか」
天帝様に直に話すと怒られそうだからね。
少々イラついた返答が天帝様から来た。
「直答を許す、早う話せ!」
「はい」
ちょっとぉ、びっくりするじゃないか。
「では話させていただきます。この天都に技術の習得をする学校を作ってはどうでしょうか。俺一人で出来ることは知れてますし、学校ならば技術が未来永劫に続いていくと思います」
「ほうほう、どのような技術じゃな」
良し、食いついた。
「産業革命に一番必要なものは鉄です。大量の鉄を作らねばなりません。鉄は車・船・機械を作る材料となります。それに電気を作ります。水力発電もできますが魔力発電に興味があります。
燃料や銅、アルミ・・・・」
「ちょっと待て、今この場で言われても理解が追い付かん。それに予算の問題もある」
どうも急ぎすぎたみたいだ。
スケールがデカくて、俺が出来そうなことだったので興奮しちまった。
本当に俺に任せてくれるのかな。学校は良いアイデアだよな。
イカン、ニヤニヤが止まらん、太ももをつねって我慢しよう。
「良し、お前も準備が必要だろう。明日また会議をしよう。それまでに朕たちに説明できようまとめておけ」
そして俺は解放された。
天帝様が下がって、俺も謁見室を出ようとしたら女子高生が声を掛けてきた。
「あなたも日本から来たんでしょう。日本語分かるよね」
背の高い、おそらく170cm以上の赤毛のスレンダーな女子が日本語で声を掛けてきた。
「君達、信国語を話せないの?」
「まだ片言ぐらいです」
背は160cmくらいか、ハンナさんには負けるけど。なかなか立派な胸をしている女子が答えた。
「俺は浅野空也、君達は俺が養うことになったから付いて来て」
「私は時任茜18歳、アカネって呼んでください。日本語喋れる人がいて助かったよ」
「私は岩見真白18歳、マシロって呼んでください。よろしくお願いします」
もう一人はまだ来てないって話だったな。そういや今日の宿はどうしよう。
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次回はマシロとアカネの話です。




