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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第1章 天都へ
23/30

1-20 天都到着

ご愛読、ありがとうございます。

クーヤ達はついに天都に到着する。

 邯鄲の手前で反乱の後始末に巻き込まれた。役所への連絡と盧生の小父を訪ねて邯鄲の町中に入るクーヤ達だった。


 〇邯鄲 転移69日目

 邯鄲の街は俺の世界では、紀元前の春秋戦国時代に趙と言う国の都があったところだ。

 だが今の邯鄲は単なる地方都市で、歴史を感じるような建物もなかった。

 とりあえず役所に反乱者のことを伝えた。


 役所で盧生の父がやっていたことを聞いた。

 歓楽街の顔役をやっていたらしい。自分の地位を守るため、殺人、傷害、誘拐などあくどいことをやっていたらしい。盧生にはそれらの犯罪が、町の人達を守るための正義の活動と説明していた。


 今回官憲が父親の権限を取り上げようと動いたために反抗したということだ。

 役所にはリョウカ様の権力を使って、盧生の自由を保障してもらった。

 夢から覚めた盧生は父の死にこだわらなかった。殺した俺としてはホッとしている。


 盧生の叔父は雑貨商を営んでおり、訳を話したら盧生を預かると言ってくれた。

「私は悪事に手を染める兄が憎くて邯鄲に来ました。でも盧生には見どころがあります。私の仕事を手伝ってもらいます」

 盧生の頭に手を置いて叔父は笑った。


「僕はお父さんと同じ道は歩かない。叔父さんの店をもっと大きくしてみせるよ」

 俺達と別れるときに盧生はそう言って大きく手を振ってくれた。

 俺は恨まれるかなとも思ったが、夢が覚めた盧生は前向きになってくれた。


「お前、涙ぐんでるのか?」

「この世界の子供は生活力があるな。感心するよ」

 邯鄲から走り始めた車の中でカクタスが話掛けてきた。


「お前はなぜあの子を助けたんだ?、別に放っておいても良かったろう」

「子供が困ってたら助けないか?、お前もヒイを助けようとしていたじゃないか」

 俺はなぜそんなことを聞かれるのか解らなかった。


「いや、助けようとしたのは親父だ。名付け親でもあったしな。お前はミヤも助けたし、普通は関係のない子なら見捨てるだろ」

 そうか、この世界では子供でも自分で生きていかないとダメなんだ。

「俺の世界じゃ、子供を見捨てるって言うのは罪なんだよ」


 カクタスは少し考えた。

「そうか、優しい世界だな」

 その声は俺を肯定するものではなかった。


 いろいろあったがもう日が暮れるから夜営の準備を始めないとな。

 少し街道から離れたところに家を建てた。


「ヒイ、ミヤ、おいで」

 リョウカ様達を家に入れてから二人を呼んだ。

「今日は良くやってくれたな。助かったぞ」


「え、怒られるかと思った」

「なぜだ」

「勝手に戦ったから」


 ミヤは俯いていたので俺は頭を撫でてやる。

「そんなことは無い。今日の戦いは俺のミスで、お前達のところに敵をやってしまった。俺は俺達の人数が少ないから、まず俺達に掛かってくると思ってたんだ」


「私を怒らないの?」

「ミヤが戦わざるを得ないようにしたのは俺が悪い。だからありがとうな」

「だから私が言ったでしょう。センセーはそんなことじゃ怒らないって」

 ヒイもミヤを励ましてたようだ。


 ヒイはハイジの散歩に、ミヤは風呂の用意をしに行った。

 二人の子供を育てようと思った俺は、この世界では浮いた存在なのかもしれない。

 それでも俺は二人に依存されることに幸せを感じてる。危ない目に合わせたことへの反省はあるが、このまま過ごせればいいなと思う。


 ******


 〇鄭州付近 転移70日目

 天都まで3時間ぐらいのところまで来て、夜営をすることにした。

「この家も今日までか、長いようで短い旅だったのぉ」

 夕食時、リョウカ様がいきなりノスタルジーを始めようとした。


「やめてくださいよ。まだ旅程は残ってます」

「そうですよ。すぐに天帝様に面会を申し込んでも、何日も待たされることもあると言います。気を抜かないでください」

 俺とカクタスに自身の追憶を否定され、リョウカ様は拗ねた。


「ワシとての15の乙女じゃ。たまには感傷に浸っても良いじゃろうが!」

 ええ、15だったのぉ?いっつも自信満々だから18ぐらいは言ってると思ったよ。

「クーヤ!なんじゃその信じられないという顔はぁ!!、ハンナ、お前と同い年だと教えてやれ!!」


「はい、リョウカ様は私と同じ15歳で・・・なんですかクーヤさんその顔は?!」

 いけない!顔に出てた。だってあの胸だよ。ブラ買った時に覗いたらHカップだよ。20は超えてると思ったよ。


「いや、お二人とも落ち着いてと言うか、大人びておられるから、もう少し上なのかなと思いまして」

 ごまかせたかな。

「女は15で結婚出産することも珍しくありません。大人にならざるを得ないのです」

 そうかこっちじゃあ15で成人だったな。ミヤがませてるのも仕方ないのか。


「申し訳ない。日本の常識が抜けてないもので」

「日本では何歳で成人するのじゃ?」

「18歳です。少し前まで20歳だったのですが」

 この後日本の話で盛り上がった。


 ******


 〇天都 転移71日目

 天都は俺達の世界では洛陽と呼ばれる年の場所にある。

 歴史は古く周の時代に作られ、後漢などの都になった。

 黄河の支流である洛河と伊河に挟まれた場所にある。

 京都のモデルとなった都市でもある。


 黄河に沿って走ってきて、洛河と伊河が合流した伊洛河に沿って登っていくと、山に囲まれた大きな盆地が現れる。広大な耕作地の中を走るとやがて巨大な都市が見えてくる。

 中心部にそびえるのがここを天都たらしめる天帝の鎮座する帝城である。


「帝城まで真っ直ぐだ。突き当りを左だ。しばらく走ると龍王府がある」

 カクタス最後の道案内だ。言い終えると小さく息を吐く。

 道なりに進むと帝城の巨大な門が見える。


 門を左に回ると右側の10m以上の石積みの帝城の壁に圧迫感を感じる。

 左側は役所の建物が並んでいるようだ。

 カクタスが必死に看板を確認している。

 彼が知っているのは龍王府が、この並びにあることだけだ。


「クーヤ。もう少し速度を落としてくれ。見逃しそうだ」

 実はけっこうスピードを落としている。なにせ交通量が半端ないからな。

「これ以上落とすと後ろから文句を言われそうだ。なに行き過ぎれば戻ればいいさ」

 すぐ後ろには4頭立てのゴーレム馬車がいる。偉いさんじゃないのかな。


「あった、あった、あったぞー!!」

 一軒先に三階建ての建物が見える。あれが龍王府か、結構立派な建物だ。

 歩行者も結構いるので注意しながら龍王府の敷地に入る。

 建物の前に車を止めるとカクタスが降りて報告に建物に入って行く。


 カクタスは職員を引き連れて来た。

 俺は外へ出て、スライドドアを開ける。

「出迎え、ご苦労様です」

 ハンナさんがまず車から降りる。


 カクタスと俺はドアの両側に立つ。

 リョウカ様が着飾った姿で現れる。普段のラフな服装ではない。

 カクタスが手を取って地面に降り立つ。


「府長のアルベルトと申します。長旅ご苦労様でした」

 アルベルトさんは角のある龍人だ。腰を90度に曲げたお辞儀をしている。

 いつの間にか龍王府の前に100名くらいの従業員が並んで入る。

 龍人もいるが、ほとんどが黒目黒髪に角もケモミミもない信人族だ。天都で雇った人達だろう


 しかし、この天都でも目立つ建物を持つ青龍国、さすがだなあ。

 案内されて中に入ったけど中も豪華、ちょっと成金主義が入ってるけど。

 俺達は客間に通された。王城の応接間は知らないけど、立派な造りの家具が並んでる。


 アルベルトさんと秘書の女性だろうかが会議机の席に着いた。

 俺達は反対側だ。ヒイとミヤとハイジは退屈だろうから隣の部屋に置いていた。

 今から離すのは天都での日程だ。


「今、奏上の使者を出しました。リョウカ様と浅野クーヤ様の到着を知らせたのです。

 天帝様の都合により面会を待つことになりますが。お二方とも天帝様からのご要望なので、そんなに待たされることは無いでしょう」

 アルベルトさんが説明を始めた。今回の俺の旅は終わったんだなと実感した。

 ちなみにこちらから面会を要望すると、ワイロを渡さないとひと月以上かかることもあるとか。


「護衛の任はどうなりますか。龍王様からは天都に着くまでと説明されたのですが」

 俺の質問にアルベルトさんはすぐに返答した。

「皆さんの身の振り方が決まるまで続けてください。日当はこちらから出します」

 リョウカ様達は巫女になるし、カクタスは近衛兵になる。決まってないのは俺達だけどな。


「私達はどうすれば良いのでしょうか?」

「宿泊はホテルを用意します。朝食と夕食はホテルで食べればこちら持ちです。昼食は各人でお願いします。あ、そう言えば女性の護衛はいらっしゃらないのですか?」

 ハンナさんの心配は解消されたが信じてもらえるかな。


「女性の護衛は、隣の部屋にいる少女2人と狼が1匹です」

 俺の返答にアルベルトさんは呆れた顔をする。

「本気で仰っていますか?」


「犬獣人の方は弓の名手でヒメジで6人の盗賊を倒した。猫獣人は邯鄲で賊を1人倒したな。狼はヒメジでも邯鄲でも活躍した。下手な兵を付けてもらうよりよほど安心できるぞ」

 リョウカ様がアルベルトさんの疑問を晴らしてくれた。


 アルベルトさんは長いものには巻かれろという考えなのか、すぐに疑問を引っ込めた。

「狼に日当は払えませんので、4人分と言うことでお願いします」

 俺としては十分だ。


「俺に何をさせるつもりなのか分かりませんか?」

 ダメもとで聞いてみた。

「さあ、その情報は出てませんな。ただ転生者を勇者にしたとか、転生者を集めてるようだとかは噂では聞いています」


 俺と勇者以外に転生者がいるのか。じゃあ、勇者みたいに魔人や魔王と戦わせるつもりなんだろうか。それは嫌だぞ。ちょっとヤバい感じになって来たな。


 その後龍王府で昼食を取り、ホテルのチェックインの時間まで時間を潰すことにした。


 ******


 俺達はだらだらと応接室で時間を潰していると秘書の人が駈け込んで来た。

「面会の連絡が来ました。明日の午後2時に帝城へ行ってください。これが入門証ですので、汚したり、失わないようにしてください。カクタスさんは護衛終了後、受付で近衛府の場所を聞いて出頭してください」


 ******


 〇ホテル 転移71~72日目

 俺達はホテルに来ていた。

 リョウカ様達はスイートルームで4台のベッドがあるベッドルームとリビングルームがあった。俺とカクタスは同じ階のツインルームだ。護衛や使用人用の部屋なのでビジネスホテルみたいだ。ちょっと凹む。


 夕食は豪華なコース料理、俺の朝はトーストとコーヒー。他の人はリンゴジュースとパン。

 リョウカ様の部屋のリビングでゆったりとしていたら、リョウカ様が我儘を言い始めた。

「クーヤ、昼食は何を作るのじゃ。我々がそろっての最後の食事じゃ。豪華にたのむぞ」


「え、俺の食事係は天都に着くまでですから、作りませんよ。外で食べましょう」

「ワシは金を持っておらん。なんとかせい」

 仕方ない。外で豪華にすると金がかかるからな。

 ホテルじゃ調理できないし、デパ地下の総菜にするか。まあ、2~3万も出せば何とかなるだろう。


 総菜20種類くらいとおにぎりとお茶、これでどうだ!。

 え、生姜焼きを追加?ローストチキン・・トンカツ・プルコギもだって、肉ばかり食べずに野菜も取らなきゃダメ、エ、チキン南蛮のタルタルソースがおいしいって、そりゃそうなんだけど、日本円には限度があるんだ。


「ご主人様、おいしかった」

「センセー、これ、またやろうねえ」

「うむ、さすがクーヤだ。うまかったぞ」

「クーヤさん、ありがとうございます」

「クーヤ、俺はまだ食えるぞ」

「ウォン、ウォン」


 俺は深い後悔に苛まれるのであった。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

1章はこれで終わりです。次回から天帝と面会するクーヤのお話になります。

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