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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第1章 天都へ
21/30

1-18 大陸上陸と勇者

ご愛読、ありがとうございます。

今回は大陸上陸と勇者との邂逅です。

 ツシマから朝鮮半島に渡る際にミヤはその能力が開花した。


 〇朝鮮半島南西端 転移64日目

 半島南部に達してから島で風を避けながら西進、南西端に達した。

 ここからでも大陸までは400km近くあり、黄海を横断するには遠い。

 陸も見えないのに航行するのは危険だし、夜になればさらに危険だからだ。


 そこで北朝鮮との国境付近の島を目指す。

 そこから西進して黄海に突き出た大陸の半島を目指すのだ。

 これは日本の地図アプリを見て決めた旅程だ。こちらの世界に北朝鮮はない。


 適当な島に上陸して家を建てていると雨が当たって来た。

 ハイジとミヤも慌てて帰って来た。

 今日はヒイとミヤに手伝ってもらって夕食を作る。

 そのうちこの子達だけで出来るようになるだろう。


 だいたいこの子達は俺の世話をさせるために従者にしたのに、なんで戦い中心みたいになってんの。

「ミヤ、ボートの上で飛び跳ねてたのってなんで?」

「あの、私が戦うのはいけないのでしょうか?」

 ミヤが必死な顔で俺に言ってくる。こういうのは弱いんだよ。


 ミヤは勝手なことをしたのを叱られてると思っているようだ。

「前も言ったが危ないことをしてくれるな。あの時、海に落ちたら死んでたんだぞ」

「でも私が戦えることを見せないと、ご主人様に捨てられるのではないかと不安です」


 盗賊の時にヒイに弓矢をやらせたのが問題だった。あれで従者は戦えないとと考えるようになったようだ。その前は抱いてもらえないと安心できないとか言ってた。

 何度も捨てないと言っているのだが、安心できないみたいだ。

 この娘は結局俺に依存したいのだ。そのためなら命も賭ける。

 時の流れに任せるしかないのだろうか。


 〇朝鮮半島の西側 転移65日目

 雨で視界が悪く速度を出せない。

 風はないが視界が1kmほどしかなく、岸に沿って航行するほかなく距離も増える。


 カクタスが運動不足を嘆き、バウバースに降りて腕立て伏せをやっている。ヒイ、ミヤも最初は面白そうに真似していたが、すぐに飽きて脳筋を邪魔そうに見ている。


「なんだヒルダもミヤももう降参か?俺はまだまだいけるぞ」

「カクタスさん、暑苦しいから」

 ヒイにそう言われたカクタスはお坊ちゃんである。こんな言葉は言われ慣れてない。

 膝を抱えてしょぼんとしている。


「ごめんなさい、言い過ぎました」

 ヒイが謝ると気を良くしたカクタスが顔を上げる、覗き込んでいた俺やリョウカ様達と目が合う。

「お前ら!・・・」

 顔を赤くしてまた膝を抱える。


「あのなあ、視界の悪い中走ってんだぞ。見張りぐらいしてくれ」

 俺が文句を言うとヒイとミヤが上がってくる。

「僕たちが見張るよ」

 ヒイとミヤが助手席を半分こして座って進行方向を見つめる。


 俺もとカクタスが起き上がるが、バウバースは1m強の高さしかない。当然頭を打った。

 3人がキャビンに上がって来たので、狭くなりリョウカ様とハンナさんはバウバースへ降りて行った。


「センセー!!正面になにかあるよ!」

 早速ヒイが200mほど離れた暗礁を見つけたようだ。そこだけ少し波の様子がおかしい。

 俺は余裕を持って舵を左に切る。


 この日は雨のせいで200kmも進めなかった


 ******


 〇朝鮮半島の西側 転移66日目

 まだ雨がやまない。

 梅雨の時期には早いので近々やむのだろうが、そういや朝鮮半島に梅雨はあるのか?わからん。


 俺が目指してるのは黄海に浮かぶ小青島と呼ばれる小さな島だ。ここから大陸は百数十kmと半日ぐらいの距離だ。それが遠い。

 距離的には今日中には着けると思うが、明日も雨なら、目標もなく百km以上は走れないからな。


 ああ、GPSが欲しい。いや、システムはあるのだが衛星がないのだ。

 海流や風で方向を失えば迷子になってしまう。

 突き出た大陸の半島には崑崙こんろん山(伝説の崑崙山とは違います)という高い山があり、晴れれば見える来るはずと思っている。


 夕方に小青島に着いた。明日は晴れることを祈ろう。


 ******


 〇小青島 転移67日目

 晴れた。雲一つない青空だ・・・大陸は見えない。

 俺ががっかりしているとナビさんが言って来た。

『崑崙山の高さですと計算上100kmぐらいまで、近付くか高い所に登るかをしないと見えません。下手をすると海岸の方が、早く見えるかもしれません』


 地球が丸いって実感するよ。水平線に遮られてその向こうは見えないのだ。

「久しぶりに晴れたな。今日は大陸に上陸だな」

 カクタスも気持ちよさげに伸びをする。


 まあ、出発した島との角度を見ながら航行はしれば、大陸も見えてくるでしょ。

 いつものように朝8時に出発。

 出発してから2時間後。ようやく大陸が見えた。

 流石出てきた島が見えなくなったときは焦ったけどな。まあ、皆には内緒だ。


 ヒイとミヤが選手に走っていく。

「本当に見えたよ」

「あそこに行くのね」

 行けども行けども海ばっかって不安だよね。


「センセーあそこに行くんだね」

「上陸するところはもっと奥だ」

 ヒイはキャビンに戻ってきても興奮が抑えきれないようだ。雨で退屈してたからなあ。


 昼食をおにぎりで済ませた頃、南に大陸の出っ張りを西に航行はしる。

「センセー、どこまで行くの」

 なかなか上陸しないので、ヒイがイライラし出したようだ。


「煙台と言う街だ。カクタスの地図によると主要街道がある」

 カクタスが案内役だが、彼もオオサカまでしか行ったことは無い。

「主要街道ってなあに?」

 ヒイが首を傾けて尋ねる。可愛いな、この!。


「広くって良い道だってこと。車が早く走れる」

「もうお船には乗らないの?」

「ああ、船は終わりだ」

 やはり船はトイレ休憩がないし、景色もあまり変わらないから退屈なんだろうな。


 俺達は煙台港の手前の砂浜にボートを上陸させる。街道は港から始まっているみたいだからな。

 ボートを収納に入れて、少し木陰で休憩をする。

 ハイジとヒイは久しぶりの広い場所で走り回る。


「クーヤよ、この先はどうなるのじゃ?」

 俺は信帝国の地図を出し、リョウカ様に説明する。

「まず、西に走って邯鄲かんたんを目指します。順調にいけば2日ぐらいです」

 俺は地図を指でなぞる。


「その後、南に向かって鄭州ていしゅうに行きます。これは1日かかります。それから西に向かえば3時間くらいで天都です」

「では後3日半で天都へ着くのか?」

「順調にいけばそうなります」

 距離は地図アプリで拾ったものだ。実際の距離とそうは変わらんだろ。


 カクタスが指を折って数えて驚いている。

「14日だと、今まで一番早くてひと月半掛かってたんだぞ。それを14日・・・」

「まだ分かんないよ」


 これにはヒイの家が大きく関与している。まともに行けば宿の都合で移動距離が制限されるが、ヒイの家があれば走れるだけ走ればいい。船はもっと制限されるし、風待ちなことも多い。

 一日の移動距離は陸路300km、海路250kmと言ったところか。


「ヒイおいで、出発するぞ」

「はーい」

 人に見えないところで車を出し、出発する。


 まずは港に向かう。ここからは大連行きの定期船が出てるので結構にぎわっている。

 邯鄲に向かう街道に出た。荷物を載せた荷車が行き交う。人が大声で叫んでる。港が近いと実感させる。

 突然!車の前で両手を広げる人間が飛び出した。そいつは革の全身鎧を付けた女性だった。


 助手席からカクタスが飛び降りて女に叫ぶ。俺はいざという時に車で逃げるために降りない。

「誰だ!!」

「待ってくれ!この乗り物は君のものか!」

 カクタスも女性も大勢のいる前なのでか、剣を抜いてない


 カクタスは言葉を発さない。乗車している人の身分を明かせばまずい場合がある。

「どけ!」

「この乗り物は私がいた世界のものなのだ。話を聞きたいだけだ!」

 カクタスに比べると格段に小さい女性が声を張る。この車が異世界転移したものって解ってる?。


 押し問答をしていると勇ましい女性3人がカクタスを囲む。

「ベル、こいつは魔人の手先か?角生えてるし」

 褐色の肌のビキニアーマーの女が剣に手を掛け、革鎧女に声を掛ける。


「こいつは龍人族よ。青龍国人かもね」

 黒っぽい服と裳を穿いてアカザの杖を構える女が言う。


「ちょっと待って、何か事情がありそうよ」

 白い僧服を着る女が止めて革鎧女に顔を向ける。


「ごめん、みんな、私はこの人達に話を聞きたいだけなんだ」

 ベルと呼ばれた革鎧女が他の女達を制止する。


 うーん、どうするべきか。今はリョウカ様の護衛として動くべきなので対応が難しい。

「クーヤと同じ日本の人間なのか?このままではらちがあかん。話を聞いてやれ。それともひき殺すか?」

 リョウカ様が怖いことを言う。


 俺はドアを開け、カクタスに叫ぶ。

「カクタス、代わろう!」

 俺は念のため、ヒイ達に武器を出してやり、車を降りてカクタスを運転席に乗せる。


「話を聞こうか」

 俺は丸腰で革鎧の女に話しかける。

「あなたの乗っていた乗り物は日本のものではないのか?」


「その前に名乗るべきではないか」

 焦って俺から情報を仕入れようとする女のペースに巻き込まれることは無い。俺はこれでも10年以上社会経験がある。


 女の表情が変わった。覚悟を決めたようだ。

「失礼しました。私は2年前に日本からこの世界に来た田中鈴鹿と申します。今は信帝国の勇者としてベルディアと名乗っています。東北部にいる魔人と戦うため、大連に行くのに、ここで船に乗りに来ました。この女性3人は私のパーティーですがこの世界の人達です」

 間違いなく日本語を話して居る。本当に日本人なのか。


 俺も日本語で返す。

「俺は2か月前にこの世界に来た浅野空也と言う。聞きたいことは何だ」

 この世界で初めて会う日本人なら隠すことはあるまい。


「私は日本に帰りたい。その術を知りませんか?」

 俺にはその能力はあるが、2年前になら送れるのかな、良く解らんし、俺はリョウカ様の護衛を優先するべきだ。ここでそれを話すべきではない。


「俺はそれを天帝様に聞きに行くのだ。もし聞きたいなら天帝様のところに来てくれ」

 俺は罪悪感を感じながらも回答を伸ばすことにした。

「解りました。ではあの車はどうしたのですか?」


「あれは俺と一緒に来たんだ」

 ごめんよ。いま本当のことを言うと放してもらえないだろうからな。


「車の中にいるのは誰ですか?」

 もう一つ信用されていないようだ。仕方ない。


「誰にも言わないでほしいんだが、青龍国の王女様だ。天帝様の巫女になる予定だ」

「あ、失礼しました。無礼をお許してくださいとお伝え願います」

 焦ったようにお辞儀をして、「偉い人が中に居るんだって」と他の3人を連れて横に退いてくれた。

 流石に王女様、一発だな。最初からばらしたらよかったかな。


 俺はカクタスと代わり運転席に座った。

「それでなんだったんだ」

 出発しながら俺は答えた。


「信帝国の勇者で俺と同じ国の出身者だ」

「日本と言う国か?」


「そうだ。国に帰りたいそうだ」

「帰れるのか?」


「分からない。俺は帰りたいとは思わないけど、天帝様に聞いてみるつもりだ」

「ご主人様は帰らないのですね」

 おっとミヤが被せて来た。


「5年経ったらミヤをお嫁さんにしてくれるんですよね」

「ヒイもだよ」

 まあ、そのうち気が変わるだろう。俺とは本当の年齢が20年以上違うんだぜ。


「お前達が他の男が好きにならければな」

「ならないです」

「大丈夫だよ」

 そんな事を言ってても三年も経てば忘れてるさ。


「クアハッハッハ!、クーヤ、モテて大変だな」

 リョウカ様が無責任に大笑いする。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は反乱に巻き込まれます。

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