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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
プロローグ
2/4

プロローグ2 この世界で生きるために

ご愛読、ありがとうございます。

いよいよ異世界で生きていくために空也は動き出します。

 浅野空也が転移した場所は日本の東京だった。ただし、異世界のだが。


「ナビさん、俺は帰れるのか」

 望楼で月と富士山を見た後、部屋に戻った俺はナビさんを呼び出した。彼女は亜空間に俺のノーパソとスマホを持ち込んで電脳空間を作っていた。そして俺と脳内通話をしてくれるのだった。

 元はと言えば俺のノーパソに入れていた対話型AIだ。


『元の世界の時間と位置のポイントが取得できません。過去のポイントなら取得できますが、ご主人様が重複してしまうので転移できません』


「俺が俺の力で元の世界に転移できるのか?」

『はい、ご主人様の持つ異能で転移が可能です。ただ、詳細な転移ポイントがないと無理です。現在転移後の日本はこちらのマップ探索を受け付けませんので転移ポイントを取得できません』



「それだと俺がここに転移したと言えるのか?」

『いえ、先程申し上げたように正確な転移ポイントがないと転移は不可能です』

 うーん、どういうことか良く解らないが、日本が転移ポイントが取れないくらい変化したってことかな。俺は転移する場所と時間が詳細に解らないと転移できないみたいだから、俺の意志でここにも転移するのは不可能と言うことらしい。


 転移について考えていると、俺はたいして帰りたいと思っていないことに気付いた。まあ、帰って冤罪で罪に問われるのが解ってるし、両親はもう亡くなったし、恋人がいる訳でもないしな。

『あのご主人様、ご主人様の貯金で買っていただきたいものがあります』


「え、ナビさん買い物が出来るの?」

『はい、日本の転移前のネット空間に接続できました。ネットで販売している物なら、ご主人様の転移能力で瞬時に取り寄せられます』

 日本のネットで買い物が出来ればほぼ買えないものがないじゃん。ナビさんはネットに登録している店舗で在庫があればコンピューターを操作して振り込みをして在庫を転移して取り寄せることが出来るらしい。ただし、日本の時期は俺がこちらに転移する直前限定らしい。


「それで何が欲しいの」

『はい、現在計算能力が不足していますので、パソコンを20台ほど買いたいのですが、よろしいですか』

 えー、パソコン20台も繋げちゃうの。どれぐらいのことが出来るんだろう。


「ネット銀行には500万円ぐらい入ってたよね。それで足りるかな、いや、100万ぐらいは残しておいてほしい」

『はい、私には本体と接続ケーブルだけでいいのです。ご主人様の定期預金は手続きが煩雑ですので、こちらではまだ使うことが出来ません』


 最近、面倒なので給料をネット銀行に入れっぱなしだ。前はこまめに定期預金とかしてたんだが、ちなみに両親の遺産等で貯蓄額は1億ぐらいはあるが、ほとんど定期預金だからすぐには使えないのか。普通預金もある程度あるはずだから、ネット銀行に移しておくか、ネットにつながるならできるよな。


「それでパソコンを増やすと何が出来る?」

『はい、まず身体強化ですね。ご主人様と私は従属回路で繋がっていますので、それを利用すれば病気の予防や身体能力の増強が出来ます』


「へえー、すごいね」

 どうもこの世界は日本で言えば江戸時代初期ぐらいの感じだ。病気にならないのは地味にありがたい。


『マップ作成能力、これはご主人様が見た景色で頭の中に地図を作成できます。従者を増やせば従者の見た景色も地図に対応します』

 先ほど言ってた転移ポイントはここからとるらしい。


「さっきから言ってる従属回路って何?」

『ご主人様の能力の一つで、ご主人様に依存する相手をご主人様が認めれば、魔力回路の中に従属回路が出来て、相手を従者にすることができます。従者にすると脳内通信能力、私の計算能力が増えるとマップ機能や身体強化も共有できます。なお私もご主人様の従者です。従者となってもその者の性格・考え方など、その者に影響はありません』


『それからインストール能力、これは私の取得した知識やご主人様の転移能力を使って、転移前200年くらいまでの日本の霊界と接続し、必要な技能を持った霊を憑依させて、その能力を学習するものです。100倍以上の速度の学習が見込めます。霊は私が用意しますし、従者にも可能です。あと私が学習した信帝国語のインストールがそうですね』


「あのさ、なんで俺がいきなりそんな能力が使えるようになったんだ」

『ご主人様の体の中には魔力回路があります。それは空気中のある粒子を取り込んで、能力のエネルギーに変換するものです。日本にはその粒子が無かったのではと推測します。詳しいことは判りませんので、この国の知識を取り入れることを図ってください』


 俺にはチートな能力があるそうだ、うまくやればこの世界でのし上がることもできるんじゃないか。とにかくこの世界の知識とこの世界は格闘能力のあるやつが、尊敬されてるみたいだからインストールで武道を極めるか。

 二か月後に大陸に行くと言ってたな、それまでにこの世界で生きる方法を考えるか。


 次の日に俺は図書館に籠った。歴史・風俗そして不思議な能力についてを調べるためだ。

 自慢じゃないが俺は信帝国語の文字は読めない。だからナビさんが俺の眼を通じてカメラ機能で本を複写しているだけだ。1ページ1秒もかからないので必要な本の複写は今日だけで終わりそうだ。ナビさんはすでにパソコンをすべて起動しているみたいで、今日中には読み方をマスターできるみたいだ。


 夕方からは中庭で剣術を稽古する。ナビさんには明治維新にいた剣士をインストールしてもらった。

 剣術が何の抵抗もなく覚えられる。明日、カクタスに相手をしてもらうか。あいつは夕方に交代して実家に帰るから今はいない。


 夜が明けるといつもの女官が桶にお湯を張って持ってくる。顔を洗うのだが、まず人差し指に水を付けて、さらに塩を付けて歯を磨く、これで磨けているのだろうか。ちょっと不安が残る。それから顔を洗う。


 あれ、何かおかしい。何か抜けてるような・・・。そうだ、俺はひげを剃ってない。こちらに来て、もう1週間になるだろうから、ずいぶん伸びてるはずである。顎に触るがひげがない。そんなこと・・・。


 俺は桶を持って外に出る。太陽の光で俺の顔を水面に映す。そこには高校生くらいの俺の顔があった。

 なんじゃこりゃー!!である。


 振り向くと出口で女官が怪訝な顔をして見ている。

「ぬいさん、俺っていくつに見える?」

 俺担当の女官ぬいさんは二十歳ぐらいの丸顔の女性だ。決して美人ではないけど安心感を与えてくれる顔だ。


「十七か十八ぐらいでしょうか」

 やべ、俺って年下に見られてたのか。本当は倍の年ですけどね。異世界に来たことで若返るって設定はライトノベルでよく見たけど、俺はいつの間にか女神さまに会ってたのかな。


 俺が桶を返すとぬいさんがすぐに言った。

「お食事を用意しますので、部屋でお待ちください」

 ぬいさんはお辞儀をして去って行った。俺の事、変な奴だと思ってるだろうな。


 食事をしたらカクタスが来る時間だ。

 カクタスは十八歳で武道で成り上がろうとしていた。こいつに勝てればこの世界でも生きて行けるだろう。ということで大陸に行くまでの目標を彼に勝つことに決めた。


 今日は腕試しだ。もちろん俺のだ。

 一日半。剣術家をインストールしているが、それで勝てるほど剣術は甘くないだろう。

 俺はカクタスに連れられて兵士の練習場に来た。


「剣の稽古だったな。この中で好きなものを選んでくれ」

 俺は反りのある木刀を選んだ。

 カクタスは両刃の木剣である。


 そうこうしているうちに、俺達の周りには多くの人が集まってきた。

「夜勤の明けたやつらが暇つぶしに来てるだけだ。気にするな」

 見ると人間もいるし、犬や猫の獣人、鬼の角を生やした鬼人、ドワーフやエルフもいる。人種のるつぼのようだ。

 仲良く話をしているところを見ると人種による差別はなさそうである。


 3mくらいの間を空けて俺とカクタスは対峙した。

 練習が目的であるから俺から仕掛けることはしない、相手の動きが予想できないからだ。


「タアー!!」

 正眼に構えた俺にカクタスが、上段に木剣を振り上げて、そのまま振り下ろしてきた。

 俺は右足を引いて体を半身にすることで避ける。

 目標を失って、地面を叩いたカクタスの後頭部が目の前にある。

 俺はそれを軽く叩く。


 なんだこれは?。いやいや、今のはカクタスが手を抜いてたんだろ。

「い、今のは油断していた!。もう一度だ」


 今度は木剣を上下左右に振り回しながら踏み込んできた。俺は受け流しながら後ろに下がっていく。

 右から左に振った剣が流れた。彼の右手首を軽く打つと木剣を放してしまう。


 カクタスの踏み込みも剣の速度も尋常じゃない。しかしだ。言えばそれだけだ。変化がないというか芸がないというか。

 しかし、俺もカクタスをこれだけ冷静に観察できるとは驚いた。


「おい、見たか?あのカクタスが手も足も出ないぞ」

「俺はあのカクタスの打ち込みを躱せたことがない!」

 えーどういうことですか。俺にインストールされた剣士はすごい達人なのかな?

 これではカクタスに申し訳ない。インストールを外してみようか。


『空也殿』

 いきなり俺の頭の中に男の声で語り掛けてくる奴がいた。俺はナビさんで慣れていたので、周りに気付かれないように頭の返答をした。頭の中の人物は続けた。

『彼の剣は戦場の剣でござる。敵が甲冑を装備したことを前提とした剣でござる。鎧の上から打撃を与えることを目的としておる』

 俺にインストールされた明治維新の剣士らしい。


 要するに俺にカクタスを侮るなと言いたいらしい。そうか、敵も味方も甲冑を来て密集して戦うなら、そう言う戦い方もあるのかと感心した。


『待てよ、それなら俺が覚えているこの剣術は、甲冑相手では役に立たないのでは?』

『そんなことはござらぬよ。そこそこの刀で刃筋を立てれば、斬れぬ物などござらぬ』

 おお、なんか怪盗の仲間か、明治の剣客の剣の達人が言いそうなセリフ、カッコいい。


「どうも俺の目指す剣術と君達のそれとは違うらしい。ありがとう」

 俺はカクタスに悪手の手を差し出したが、相手は何のことか分かっていなかった。

 握手の意味を教え、握手をした。


「クーヤ、お前の目指す剣術とは何なのだ?」

 カクタスが興味深げに聞いてきた。

「君の剣は戦場の剣、つまり面で攻める剣だが、俺の目指す剣はあらゆる状況、つまり点で勝てる剣だ」

「興味深いな。確かに俺達は一撃の速さと重さを重要視して、相手が避けることをあまり考えないところがある」


「そうだな。戦場では密集してるから避ける場所がないもんな」

「でも、最近は戦争もないし、盗賊相手なら異世界人の戦い方の方が良いのでは」

「10年前の東北での反乱鎮圧で、活躍した人も刀を使ってたと言うから。これからは戦い方を見直した方が良い」

 カクタスと見物人たちは俺の戦いで今までの訓練に疑問を持ったようだ。


 そこにパカラパカラと気の抜けたような音を出しながら、人が乗せた木馬のようなものが歩いてきた。

「カクタス!、なんだあれ!」

「あれか、あれは馬型のゴーレムだ」


 俺は興奮した。自分で動いているのか。操縦は、速さは。仕組みは?次々と疑問が浮かんでくる。

 馬型ゴーレムは厩のような小屋に入った。

「見てもいいのか?」

「ダメだ、ダメだ。あれの調整はすげえ敏感なんだ。近付いただけで怒られる」

 浮かれていた俺は一気に萎んだ。


 落ち込んだ俺を見たカクタスは、仕方がないという顔をする。

「小屋の中に入らないならいいぞ」

「解った!」

 俺は魔法を利用した乗り物に興奮していた。


 小屋の中は暗く、あまり詳しくは解らなかった。

 しかし、俺はゴーレムと言うものにときめきを感じたのだ。

 俺はこのまま城にいると何もできないと思った。


「カクタス、俺は城を出たい。もっと自由になりたいんだ」

 もっとこの世界を研究したい。できればゴーレムも作りたい。

 俺はこの世界に来て初めて、この世界に住みたいと思った。

 この世界は俺の知的好奇心を刺激する。


 さっそく俺はカクタスに王城脱出を持ち掛けた。

「お前は天帝様からの預かりものらしいから、出れたとしてもいろいろ条件が付くだろうな。とりあえず聞いてみるよ」

 カクタスは見た目は野性的な男だが、結構細やかな心配りをしてくれる奴だ。任しておけばいいだろう。


 その日の夜、俺はベッドの上でナビさんと語り合った。

『ご主人様はこの世界で生きていくとおっしゃるのですね』

『そうだ、日本に帰れたとしても待っているのは地獄だ。この世界に居れば俺はかなりチートなのだろう?』


『そうですね。この国の文献を確認する限り、ご主人様の持つ異能はうまく使えば、どのような頂点にも立てると思います』

『いや、俺は無理やり使われるのが嫌なだけで、人の頂点には立とうとは思わない』


 俺は大島さんや課長にこき使われてきて、恋人や友人を失い、残ったのは嵌められて犯罪者にされた自分だけだった。もうそんなことは嫌だ。


『まずはどのように動かれるのですか』

『俺は城を出て、この世界を見たい。それから従者が必要なら見つけたい。それにインストールは良い、ここでは実力者のカクタスにも勝てた。柔道や空手も覚えよう、損はないはずだ。それからゴーレムだ。ゴーレムに関する知識を寝てる間にインストールしてくれ』


 俺はこの世界の俺の未来のために動き出した。

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

プロローグは恭平の物語では端折った部分です。退屈にならないように掛けたでしょうか?

次回より本編に入りますが、内容はかなり変わる予定です。

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