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異世界最強の転移者と15人の美少女剣姫  作者: 西村将太郎
第1章 天都へ
15/30

1-12 黒猫の少女

ご愛読、ありがとうございます。

天都への旅二日目です。

 王都を出発したトーヤ達、一日目は順調にハマナコ畔まで足を進めた。さあ、今日はどこまで行けることやら。


 〇ハマナコ畔 転移59日目

 朝、俺とヒイは日の出前に起きる。寝坊はしない、なぜならナビさんに起こしてもらうのだあ。て、あまりカッコ良くないね。

 洗面所で顔を洗って、一日の始まりだ。


「ハイジ行くよ!」

 ハイジが大きくなって散歩を始める。二人で結構走ってるけどね。


 俺はおかゆを作ろうと思ったけど、面倒になってきておじやでいいかと思った。

 お米から水を多くして炊飯するのがおかゆ、炊いたご飯に水を足して炊いてふやかしたのがおじや、水の代わりにだしを使うと雑炊になる。昔の彼女に鍋の締めで解説された。


 土鍋に水を張り、お湯が沸かす、沸くまでの間に洗濯物を取り込む。

 皆を起こす。

 鍋が湧いてきたのでご飯を投入。


 ヒイが帰ってきてハイジの足を拭いて、水とドッグフードを与える。

 板間でハイジが食べ出すと手を洗いに行く。外から帰ったら手を洗うと躾けたのをちゃんと守っている。

 ちゃぶ台の脚を出して中央に置き、茶碗とレンゲを並べる。俺が中心に鍋を置くと準備完了


 全員がちゃぶ台に揃ったら、お玉でおじやを配る。ヒイが小皿に盛った、梅干しとおかかを並べる。

「いただきます」

「熱いので気を付けてください」


「ワシの食事はいつも一人であった。たくさんの人と食べる食事がこんなに楽しくおいしいものだと初めて知った」

 リョウカ様がしみじみと言う。王族ってそんなものなのか。まあ、俺もこちらの世界に来るまではいつも一人だったな。


 この世界では家族を作って楽しく生きていくんだ。俺はそう思った。


 7時半、出発

 何事もなくアツタに着く。

 この先イビ川、ナガラ川、キソ川と言う三つの大きな川があり、まだ橋は掛かっていない。

 と言うことで船でクワナまで行くことになる。


 ボートを船着き場に出し、横付けした車から乗り移る。車を収納にに入れる。

 周りに人はいないが王女だからね。

 ボートは十人乗りで5人と1匹では余裕だ。

 ほとんど波の無い海を進んでいく。ゆっくり走っても昼前にはクワナに着くだろう。


 走り始めた時にははしゃいでいたヒイとハイジも飽きたらしくて、今は静かだ。

「ちょっと速度を上げます」

 速度を上げた時の安定性も見ときたい。狭い池で走らしただけでは調べられなかったからな。


 スロットルを開けると魔力の吸引量が増える。

 選手がグッと持ち上がりボートが狂ったように加速始める。

 時速5ノットから30ノットに加速した。これ以上は必要ないのでスロットルをそのままで走った。ピッチングが激しい、波が荒れているときは無理だな。


 今度は15ノットで巡行してみる。かなり落ち着いている。これからはこの速度を巡航速度にしよう。

 ふと後ろを見ると、座席にしがみつくリョウカ様とハンナさん、ひっくり返っているカクタスとヒイ、ヒイをかばうハイジ、みんなで俺を睨んでる。ごめんなさい。調子に乗りました。


 クワナに到着したが昼にはまだ時間があるので、車で走り出す準備。

「知っておるかクーヤ、この辺ではハマグリがたくさん獲れて、海岸沿いの松林の末で焼いた焼ハマグリが有名と聞くぞ」

「そうですか、それはおいしそうですね。では出発です」


 俺の貰ってる金に余裕はないの。名物なんてどうせお高いんでしょう。

「ハンナ、いくら父上が旅行代金を着服して、熊を買ったからと言ってあんまりではないか」

 あ、やっぱり着服してたんだ。と言うことはもともとの旅行代金は金貨150枚ってことね。


「姫様、クーヤ殿も少ない予算でやりくりされています。我慢しましょう」

「うう、父上のあほぉ!ウウウ」

 リョウカ様のしのび泣の声(多分ウソ泣き)が車内に響く中、車は難所の鈴鹿峠に差し掛かった。


 ふもとで昼食を取る。魔力コンロを出して生姜焼きを作って食わせてやった。

 リョウカ様はとたんにニコニコ顔だ。なんて現金な人だ。

 昼食後、峠を登り始める。狭いし、急坂が続く。


 一応馬車での通行は考えてあるが、ところどころに待機場所が作られるくらいには道が狭い。

「こんなところを王様が通るのかよ」

「ああ、通るときには片側通行にする」

 龍人族が直接支配する箱根と違って、ここいらは原住民が住んでいるから、金がかかってないのだろう。


 向こうの尾根に幌馬車が見える。

「こっちに馬車が来る。待機場所へ。窓は閉めて下さい」

 カクタスが指示する。俺は指示通りに道を広げて馬車が対向出来る場所に車を寄せる。

 窓を閉めるのはリョウカ様を見せないためだ。一般人は王族を直接見てはいけない。


 しばらく経って幌馬車がやってくる。おお、本物の馬だ、御者は普通の商人に見える。

 すれ違う際に悪臭がした。糞尿の匂いだ。

「なんだあれは?」

「多分、奴隷商人だ。あいつら奴隷にトイレにも行かせないんだ」


「なんでだ」

「逃げられる隙を作らないためだ」

 もちろん馬車の中に道路に垂れ流すトイレはある。

 しかし両手両足を縛られてるから、うまくできないみたいだ。

 カクタスの言葉に日本人の俺は憤りを感じるが、世界が違うのだと言い聞かせるしかない。


 もやもやした気持ちのまま車を走らせていたがついに頂上に着いた。

 しかし、木々に邪魔されて頂上の展望は見れなかった。

 後ろが静かだと思ったら全員寝ていた。まあ、見るものもないし仕方ない。


「おい!止まれ!!」

 頂上からだいぶ降りたところでカクタスが叫んだ。俺は慌てて車を止める。

「どうした。」

「あそこの草叢に足が見えた」


「あし??」

 カクタスが指差すが何も見えないただの草叢だ。だがカクタスがこう言う以上何かあるに違いない。

 カクタスはドアを開けて外に出た。


「みんな起きて」

 警戒のためにみんなを起こす。

「なんじゃ」

「・・・」

「なになに」


 カクタスが戻って来た。

「女の子が倒れてる。多分奴隷だ」

「さっきの馬車か?」


「多分病気で捨てられたんだ」

 カクタスは心配そうに言うが、流行病なら車に連れてくるわけにはいかない。

 流石にここら辺に隙の無いカクタスであった。


「どうしましょう?」

 ここで一番偉い人はリョウカ様だ。

「どうしましょうと言われてもだな。そうじゃ峠を下りて、医者を連れて来るのはどうじゃ」


 それは時間がかかりすぎる。どうする?

『ご主人様、あなたとヒルダはウイルスなどの感染は起きません。どうか助けてやってください』

 ナビさんが俺達を守ってくれるみたいだ。


「間に合わない可能性があります。俺が診ます。あなた方は先に言ってください」

「大丈夫か?俺と従者のヒイはこの世界の病気には罹らないそうです。だから大丈夫です」


 俺は外にいたカクタスに言った。

「車を運転してクサツで待っていてくれ。昼ぐらいには行けると思う」

 カクタスに車の運転を教えてあったのが功を奏したな。


 振り向くとヒイとハイジが俺のすぐ後ろにいた。

「ヒイ、リョウカ様達と先に行ってくれ。何かあった時に従者通信するから」

「僕も一緒じゃ、ダメ?」

「聞き分けてくれ」

 ヒイの顔は不安でいっぱいだった。


 従者にしてから別の場所で寝たことは無かったな。

 しかし今回は譲れない。

 明日の朝、連絡がつかないと旅程に大きな遅延が発生するかもしれん。


「じゃあ、ハイジと一緒に寝て」

 従魔と彼女は一体感でもあるのか・・わからんが、どうせホテルじゃあハイジは隔離されるだろうから引き受けよう。

「判ったよ。リョウカ様達を守ってあげて」

「うん」


 ヒイ達を見送って俺は小児科医をインストールする。

 少女のいる草叢に行く。道から少し離れた草むらに片足を石の上に乗せた格好で横たわっている。

 少女は猫耳だよな、の黒髪で短めのボブにしている。着ている服は貫頭衣と言う薄手の安物のワンピースだ。体はヒイより一回り大きいがローティーンかな。

 惨たらしいのは両手両足が縛られていることだ。動けるようには肩幅ぐらいの余裕を持たせている。

 動けるが走ることは難しいだろう。


 熱が非常に高い、時々咳き込む、のども腫れてる。まあ、ここではこれぐらいしか解らんか。

 インフルエンザとして対応するが、タミフルなんかの薬は医薬品なのでネットでは買えない。市販薬ぐらいしか無理だ。


 とりあえず、家を建てて、安静に寝かさないと。

 大急ぎで街道から見えない位置に家を建てる。奴隷商人が戻らないとも限らないからな。

 俺達の寝室に布団を敷いたが、寝かせる前に体を清潔にしなくちゃ。


 大急ぎで手足を繋ぐロープを取り、服を脱がして、下着は付けてないのか。後で買ってやるか。

 体を拭いて、ヒイよりはかなり発育は良いな。

 何か服はと・・ヒイの浴衣を借りるか。・・着せて、寝かせる。

 熱でぼんやりしてるのか、目を開けずにされるがままだ。


 後は・・。

『部屋を暖かくして加湿してください』

 ナビさんが見かねて言ってくれる。


 俺は対流式のストーブと石油、金属製の洗面器を買った。

 彼女の額に手を当てるとさっきより熱い。俺は湿らせたタオルを額に乗せるがすぐに温まる。


『解熱剤を投与してください。早急に体温を下げないと脳、内臓にダメージがあります』

 ナビさんが言う。

 俺は解熱剤を買って飲まそうとするが受け付けない。

 これはあれか、マウス to マウスの出番か?しかし初対面のローティーンの少女の唇を奪うのは犯罪だよな。


『緊急性から座薬を推奨します』

 ざやくだと。無理無理!、絶対に無理っす!。

『私が購入いたしました。早急に処理願います』

 俺の前に座薬の入った箱と何やらクリームのようなものが・・・。


 俺は葛藤していたが遅れて、彼女に何かあった時に申し訳ないと覚悟を決めた。

 布団を剥いで横向きにして浴衣の裾を腰まで捲る。

 まだ成熟していない可愛いお尻が現れる。ごめんよぉ。


『ベビーオイルのキャップを開けて、お尻を広げて出してください』

 何をとか、分かり切ってるから聞かない。


『オイルを塗って入りやすくしてください』

 人差し指にオイルをつけて少し出し入れする。わー、すげえ背徳感。


『箱から座薬を出して、尖った方から素早く入れてください』

 俺は片手でお尻を広げて、もう一方の手で座薬を入れる。

『第一関節まで押し込んでください』

 俺はナビさんの言うとおりにした。


『薬が漏れないよう両手でお尻を塞いでください』

 もう言われるがままだよ。ヒイを向こうに行かせて良かった。

 俺はもう罪悪感に押しつぶされそうです。

 許可を得て、彼女を元の状態に戻した。


『胃腸が弱っているかもしれませんので、おじやでも用意してください』

 はいはい。やりますよ。


 そうだハイジを見てやらないと。

 もうあれから2時間以上経ってる。

 玄関のマットで寝ているハイジを見る。ハイジは起き出して戸を前足でがりがりする。


 俺は戸を少し開けてやると出て行った。

「遠くへ行くなよぉ!早く帰ってくるんだぞぉ」

 ハイジは賢い、びっくりするくらいだ。

 俺の言うことも聞いてくれるだろう。


 少女の元に戻ると少女は目を開けて俺を見た

面白かったですか?何かで評価して頂けると参考になります。

次回は猫耳少女の事情が分かります。

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