プロローグ1 異世界転移
ご愛読、ありがとうございます。
異世界転移したので現代知識で文明開化~15人の剣姫とイチャラブ世界征服 を大幅に書き直します。
金曜日の夕方、俺は今日の仕事を終え、机を片付け始めた。
俺は電機会社でパワー系の背kk理技師をしている。
周りには同じような机が並び、6っつくらいの机が合わさって島のようになり、その前に係長の机があり、その並びが20くらいあり、窓際の中央には課長の机がある。この時間はだいたい実験室にはいないので、みんなが座っている。
窓から見える空はかなり暗くなっていた。
定時のベルまであと少しだ。その時、仕事用の携帯電話の呼び出し音が鳴った。
発信者を見ると取引先の担当の大島さんだった。嫌な予感がする。
携帯の通話ボタンを押すと大島さんの声が聞こえてきた。
『浅野君?』
「はい、お世話になっております。ご用件は何でしょうか」
『新設計の回路があるだろ』
「はい」
マイナーチェンジに合わせて前の回路より20%ほど効率の良い回路を開発したのだ。
『あれの海外向けのレポートが欲しいんだけど』
「国内向けの仕様だったはずですけど」
『いや、他のチームからの問い合わせが来てね。そのデータが欲しいらしいんだよ』
「仕様変更ということでよろしいでしょうか?」
『何言ってんだ!俺の方は仕様を変えてないぞ』
「でも入力が変わりますから、設計を変更しないといけません」
仕様変更になると変更費用は取引先が払うことになるので。大島さんは認めてくれない。
『以前の機種の海外向けの部分を使えばいいだろうが!!』
「でも、それじゃあ性能を保証できませんよ」
俺が首肯しないので声を荒げてきた。この人はいつもそうだ。我々をただ働きさせてそれを手柄だと思ってる。今回の海外向けの機種は違う会社の担当だ。そこにタダでデータを渡して威張りたいのだろう。
『そこはうまくやってくれ』
「ちょっと待ってください。私では判断できません。課長と代わりますね」
『ちょっと待て、おい』
タダ働きでライバル会社に塩を送る真似はしたくない。課長に断らせよう。
俺は電話を保留にして、帰る用意をしている課長に電話を渡して内容を説明する。
「また大島さんか。あの人にも困ったもんだ。まだ昭和のつもりで居るんだから」
課長は電話を取る。
「大島さん、困りますよ。それってうちの仕事じゃないですよね。・・・・え、しかしですねえ」
うん、なんか、押されてないか?。
「ですからよその仕事ですよね。・・・あなたにそんなことが出来るんですか?・・・仕方ないですねえ。それで納期は?・・・それは無茶ですよ・・・分りました」
なんかヤバい雰囲気になってきた。通話を切った携帯を俺に渡しながら課長は言った。
「すまん、データを取ってやってくれ。納期は月曜日の朝一でいいそうだ」
「はあ、それって土日出勤しろってことですか?」
「データが良ければ、月曜の会議で海外向けもうちの担当にするよう要請するそうだ」
「それって結局無理でしたってことになるんじゃないですか?だいたい俺の開発した回路をライバルに盗られますよ」
「まだ特許申請降りてないのか?しかし、海外向けの方が生産数が多いからな。まあ、我慢してくれ」
そう言って課長は帰って行った。
俺の名は浅野空也、34歳、独身だ。比較的小さな会社で電子回路の設計をしている。俺の不幸は4年前に取引先の大メーカーの担当者が大島になったことだ。前任者がやめたので俺が担当になったのだが、奴の横暴のせいで婚約間近まで来ていた彼女にも振られた。まあ、デートのドタキャンが重なれば振られるよね。
しばらく経って、俺は本社に呼び出されていた。本社は横浜のまあまあ大きなビルの中にあった。
結局ライバル社が俺の回路を改良し、特許申請したことが明らかになったのだ。
結果、俺の特許は価値のないものになり、研究していた時間も無駄になったのだ。
「浅野君、君がライバル社に新回路のデータを渡したのか?」
居並ぶ役員達に俺一人で責められている。
「いえ、取引先の大島さんの要望で、課長の命令でした」
「大島さんも課長もそんな話は知らんと言っているぞ」
そんな馬鹿な。あ、嵌められたのか。頭の中の最悪のシナリオが浮かぶ。
「データ送信の記録があるはずです」
日曜にデータを送っているからそのログがあるはずだ。
「そんなものは無かったよ」
「ログを調べてもらえば・・・」
「だまれ!、追って処分を言い渡す。それまで自宅待機だ」
月火と代休を取らされたからその間に細工されたのか?。社用パソコンは社外持ち出し禁止だからな。
俺は項垂れて、本社のビルを出た。
夕日で空の雲が赤く染まっていた。夕日自体はビルの陰になって見えないな。スマホが大きな音を出していたが確認する気になれなかった。
俺はいったい何をしていたんだろうか?。このままだと首になるのか、それとも工場に回されて派遣社員と一緒に働くのか・・・。
同業に再就職は無理だろうな。俺は産業スパイになってるから。
警察が介入すれば金銭の受け渡しが無いことが解るか。でも警察沙汰にはしないだろうな。俺を切り捨てた方が楽だろうからな。いや俺が名誉棄損で訴えれば・・・。
そんなことが頭に渦巻いていた時、ドンと俺に何かがぶつかった。
「キャッ!」
見ると女子高生が目の前に倒れていた。同じ制服の女子高生二人がが倒れた女子高生を立たせようとしている。
「すみません。大丈夫ですか?ちょっと、ぼーっとしていて」
俺はとりあえず頭を下げた。
「いえ、私達も話に夢中で、前を見ていませんでした。ごめんなさい!」
元気よく立ち上がった女子高生が勢いよくお辞儀をする。ポニーテールが俺をかすめていく。
良かった、面倒臭い奴じゃなくて。
「ケガとかしてない。痛くない?」
「あ、大丈夫です。私、結構お尻が大きいので」
俺の問いにニコッと笑って返してくる。よく見ると結構かわいい、あとの二人も美人と言って良い。
憂鬱な気分も少し晴れた。別れを告げようと手を挙げた瞬間だった。
空が真っ白な光に包まれた。何か凶悪なものを感じる。
女子高生の悲鳴が聞こえる。
「なんだ?!!」
俺の体に何かが駆け巡った。
『危険です。避難します!』
俺の頭の中で誰かが言った。それきり俺は意識を飛ばした。
******
俺は目を覚ました。体を起こして周囲を見渡すと八畳ぐらいの部屋に俺が寝ているベッドが一つ。
なんだこれ、病院にしてはベッドは木製だし、暗いし、窓には幾何学模様のような木枠があった。しかも窓も扉も赤い木でかたどってあった。そう、まるで古代中国の建物のようだ。
一体、ここはどこなんだ?
「だれか、だれかいませんか!?」
すぐに扉が開いて女性が・・・まるで奈良時代の女官が着るような、なんて言ったっけ裳だっけ。おかしい、現代人が着る服じゃない。
「”#$%&’=~/*-+」
女官のような女性が喋った言葉が解らない。仕事柄、英語と中国語はたしなんでいるが、まったく違う言葉だ。
「すいません・・・、ダメか。エクスキューズミー・・・、ダメだ、トイプチー・・・、これもだめか、一体何語なんだ?」
俺はいろいろ言葉を変えてみるが通じる様子がない。
「”#$|%&*’=~/*-+」
女性の言葉は相変わらず全く分からない。
女性はらちが明かないと思ったのか、部屋を出て行った。
俺はベッドから降りると扉から外に出ようと思った。幸い靴も上着も近くに置いてあった。しかし、スマホとノートパソコンが無くなっている。ノーパソは会社の備品だから無くなるとまずい。
扉を開けると屈強な皮鎧を着た槍を持った兵士が立っていた。
「%&*’=~/*-+”#$|」
兵士はそう言うと中へ押し戻そうとした。
え、こいつ頭に角が生えてる。角と言っても鬼じゃなくてドラゴンのようなツノダ。顔は白人のようだ。訳が分からんが言葉が通じないとらちがあかん。
俺はとっさに股間に手を持っていき小便の格好をする。さすがに男同士解って貰えたようだ。
「~/*-+”#$|%&*’=」
兵士は俺の腕を取って廊下を歩き始めた。
俺はトイレをすると、またあの部屋に戻された。俺は閉じ込められてるらしい。
トイレに行くまでは、ここがどこなのか分かるものは無かった。
時代がかった格好をした男女、時代がかった部屋。よく見るとエアコンの吹き出し口もない。
俺はもしかして古代中国にタイムスリップしたのか?
次の日からは女官と兵隊が部屋の者や持ってきた物の名前を指さして俺に覚えさせようとしてきた。
そのまま二日ほど過ぎた。相変わらずここがどこかは判っていない.
彼らの言葉は少しは分かってきた。
そんな時に頭の中でまた声がした。
『ご主人様、信帝国語を理解しました。インストールしますか?』
「君は誰だ。インストールってなんだ」
『私はご主人様のノートパソコンとスマホから作られた疑似人格AIです。インストールとは脳に直接知識を書くことです』
「インストールをすると、信帝国語を話すことが出来るということか。待てよスマホがあるなら電話して・・・」
『電波が確認できませんので通話などは不可能です。それと信帝国語で話すことができます。なお、脳の未使用部分を使うので、副作用等は一切ございません』
パソコンに搭載されていた音声入出力式のAIらしいがこんな高等な分析とかできたのか?。
「インストールという機能は君の能力なのか?」
『いえ、ご主人様の能力です。私はご主人様の異能を管理することができます』
信じられんことだが試してみる価値はありそうだ。
「ではインストールしてくれ」
『はい分かりました』
『終了しました。現段階では全体の40%くらいと思われますが、日常会話には不便はないと思います』
数秒で終わってしまった。これで相手の言葉が解るのだろうか。
俺は扉を開けた。兵士が振り向き言った。
「なんだ、また便所か?」
おお、言ってることが解るぞ。こいつの名は確か・・・。
「カクタス、違うぞ。俺はここがどこか知りたい」
カクタスという兵士は大げさにのけ反った。
「おまえ、いつの間に信帝国語が喋れるようになったのだ?」
「ついさっきだ。ここは信帝国なのか?」
「まあそうだが、正確には青龍国だ。龍王様の居城だ。お前はこの城に突然現れた」
現れたってなんだ、それに固有名詞に覚えがない。どういうことだ。俺はどこに連れてこられたんだ。
異世界召喚なのか?ってライトノベルのようなことを考える。
「日本には帰れないのか?」
「日本という場所を知らない。初めて聞いた。大陸にあるのか?」
「いや、日本は島国だ」
こいつは日本を知らない。顔立ちは白人のようだが頭に角がある。そういや女官は東洋人の様だった。
もしかしてここは異世界なのか。カクタスの頭の角を見た時から、もしかしてとは思っていたが。
ライトノベルで流行った異世界転生、いや生まれ変わってないから異世界転移したということか。
「では龍王様が俺をここへ呼び寄せたのか?」
「ああ、違うと思うぞ。お前は勝手に来たんだ。いや、なんか天帝様から連絡があったらしい」
天帝様?また新しい固有名詞が・・・。そいつが俺を呼び寄せたのか?。
「まあ、その辺は龍王様に聞いてくれ。お前が言葉を話せるようになったら、謁見してもらえるはずだ」
カクタス達が俺を閉じ込めていたのは、言葉がある程度理解できるようになったら謁見するためらしい。
それから数時間後、俺は龍王とやらに謁見することになった。
謁見室は中華風の大きな部屋に洋風の謁見室を作ったようなミスマッチな空間だった。
1mほど高い壇の上に玉座が置かれ、あれが多分龍王かが玉座に鎮座している。
壇の下左右には高官らしい人間がいた。みんな中華風のいでたちにドラゴンの角を生やしている。
俺はカクタスに連れられて、玉座の前で跪いてお辞儀をした。
「そなたが異世界から来た男か?」
「はい、浅野空也と申します」
「おまえは二か月後にわしの娘と一緒に天都に行ってもらう。以上じゃ」
立ち上げるとすぐに壇を下りて脇の扉から出て行った。
え、終わり。そりゃないでしょ。
「あの・・・」
俺が龍王に呼びかけようとすると、カクタスが肩に手を掛け、首を振る。
「詳しいことはカクタスに伝えておく、あとで聞くがいい」
高官がそう言うと同じ扉から出て行った。
呆然としている俺にカクタスが肩を叩いた。
「俺達も部屋に戻ろう」
「あ、ああ」
気の抜けた俺はカクタスと部屋に戻り始めた。
「眺めの良い場所は無いか?」
俺はカクタスに聞いてみた。何もわからなかったので、少しでも情報が欲しい。
「ああ、上階の望楼に行ってみよう」
俺達は狭いらせん階段を登って、360度を見渡せるこの城で一番高い望楼に来た。
東の方は暗くなりかけていた。
東は近くには城下町があり、遠くに山が見える。
北にはもっと高い山が見える。
南は海か湖かが見える。
「あれは海か?」
「そうだ。俺達はエドマエと呼ぶ海だ」
カクタスの答えに何か聞いたことがあるような気がした。
それから俺は西を向いた。
あれは・・・・。見慣れた形の山が見える。
中腹から山頂に積もる雪も懐かしい、富士山そのものだった。
「あ、あれは富士山じゃないか!?」
俺は富士山を指さし、カクタスの胸を叩いた。
「おまえ、フジノヤマを知っているのか?」
逆にカクタスに驚かれた。どういうことだ。ここは日本なのか?。
西に富士山が見えると言うことはここは東京あたりか?。
「ここは東京か?」
「トウキョウ、違う。ここはエドだ」
江戸って明治以前の東京の名前だよな。なんで日本語の名前が???。
その時東の空が明るく輝いた。
「そんなことより、見ろ月の出だ」
いつの間にか東の空に満月が出ていた。
なんだ、月の模様が餅を搗くウサギだ。
頭がおかしくなりそうだ。ここは地球の日本、東京だ。
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更新は不規則になると思います。
次回はクーヤがこの世界に生きるために行動を開始します。