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災難続きなのでウサギの足をもらいました

放課後エリックを待っていると宗教学科の生徒に絡まれ、幸運のアイテムをくれと言ってみると案外すんなりともらえるのだった。

ついに部活と呼べるのかも怪しいフリーダム部に入部することになる……

やっと放課後だ。

早くエリックのところに行くべきなのだが昼食時に待ち合わせに遅れるかもしれないとは聞いているから急いでも仕方ないがやることもない。だから私は待ちぼうけさ

待ち合わせ場所は中庭のベンチ、宗教学科religionのR組の生徒が世話する中庭だ。よく見ると牧師らしい格好をした人たちが徘徊している。


まだかなエリック……


「うわ、悪魔みたいに赤い眼、不吉」


すごく嫌な顔をしている長身のっぽが前に立っていた。その眼鏡をかけた男は男は黒い法衣を身にまとい首には宗教のシンボルである慈愛の手を表すマークがある。

うん、どこからどう見ても宗教学科だ。

間違いない、間違いないがこの赤い眼を悪く言われたのは初めてだな、それにしてもこいつはなぜ不吉と言いつつも私を見下ろしているんだ?やめろ、私を見るな、なんなんだ貴様は


「ここは神の庭と呼称されている中庭です。貴方のような悪魔の目を持つ者の来るところではありません」

「断る、私はただ待ち合わせをしているだけだ。神は随分と差別主義者なのだな」

「は?貴方化学学科でしょう?軽々しく主を口にしないでください」

「あ?」

「即刻出て行きなさい」

「いや、だから待ち合わせ」

「別に神の庭でなくてもいいでしょう?ほら、行ってください、立ち退かないのなら強制的に連れていくまでですが……」


なんなんだ全く!

最近どうも世の中が面白くない!

私が何かしたか?

非科学的なことだが厄除けに何かやったほうがいいのか?となれば教会に行かなくてはならないということになるが私は教会の雰囲気が苦手だからな、手っ取り早く済ませられないだろうか………

あ、目の前にちょうどいいのがいるではないか


「立ち退く代わりに厄除けの何かをくれ」

「厄除け?……厄除けは持ち合わせていませんがウサギの足のストラップならあります」

「あぁ構わない、気休めになればいい」

「では、はい」


ポケットから都合よく出てきたな……

なぜ持ち歩いていたかは話が長くなりそうだから聞かないでおこう。

おっとあれはエリックだ。


「早速幸運が舞い込んだ。ありがたく頂戴しよう、タダというわけにはいかないな、ほら、寄付でもなんでも使え」


金貨袋を投げて渡したのは良かったがあれいくら入っていたかな……

それぐらいは把握しておくべきだった、ちょっと反省だ。

そもそも私は金貨を持ち歩くのは重いから嫌いなんだ。

将来紙のお金が生まれたりしないだろうか


「トロア君お待たせ!さぁいこ!」

「うん、行こうか」


後ろから変な声が聞こえたが気にせずに行こう。




◇ ◇ ◇


例の部活は旧図書室を拠点としているらしい。

うんうん、いいじゃないか。

放課後はひたすら本を好きなだけ読めるなんて私にとっては天国でユートピアだ。


「君たちが入部希望の子だね、私はS組3年生の部長だ。よろしく」


部屋に入ると部長しかいないだと?

エリックの話によればもう2人いるという話だったが……


「あと2人、副部長はボランティアに出かけてて、宗教学科2年はミサがあるから今日は来ないんじゃないかな、あと1人君と同じクラスの子から入部届を預かっているから私と君たちをいれて6人の小規模な部活だけど、よろしくね。フリーダム部の通り、活動中はなんでもしてOKだから好きに過ごしていいよ」

「では早速好きにしよう」


もうこの部屋に入った時から目星は付けておいたんだ。本のタイトルは「時間の流れ」よくあるタイトルだがそれがいい。

エリックも面白そうな本を見つけたようだな、あとで読み終わったら貸してもらおう。

ウサギの足をもらったし、しばらくは何も悪いことは起きないはず!






自宅謹慎処分となった男の話

自分に物申した相手の顔が忘れられずに毎晩嫌でも夢で見た。女のような華奢な体に綺麗な顔立ち。

男として生まれたのが恥ずかしい体だった。

殴れば簡単に飛ぶのも当たり前だったがあの時の自分は異常で、化学学科が軍隊学科に口を出すなど、許されなかったからこその鉄槌、力こそが正義だ。

そう、思ってはいた。


男はため息をつく

あの眼が忘れられない。

魔眼のような赤い眼が。

あの業火の色の瞳が、同じクラスでも恐れられ、お家柄、幼い頃から腫れ物扱いだった男はあの強い眼を見たことがなかった。

怯えた眼や取り繕うための眼、作られた感情を映し出す眼、そんな目ばかり見てきたから隠せない負の感情が読み取れるようになってしまった。

この学校に来れば少しはいい方向に転がると予想していたが、全ての権限を放棄して自分に学級委員長の座を譲った将来の戦友たちの諦めたような眼や妬み、嫉妬が追加されただけだった。


なのにあの目は……


「あいつは、化学学科………つまり将来は医者か、学者かに決まっている……」


よし、あいつに軍医になる道を進めよう!

ずっと俺のそばに居るように仕向けてやろう。

そのためならいくらでも権力を使って、必ず、謹慎明けに接触し、説得してやろう



俺には、あいつが必要だ……





◇ ◇ ◇


実に有意義な時間だった。

卒業するまでに全ての本を読んでやりたいところだが、残念ながらほんの一部は魔法の力がかかっていたりするから気をつけて開くようにと言われてしまった。

魔法学科の秘密主義め、本を開いた者に魔法をかけるなんて……

少しワクワクしてしまうではないか……

もし魔法がかかってしまったら魔術学科の先生に状況を伝えて解術してもらうか、一定時間で自然に解けるから放置が一般的らしい、きっと命に関わる魔法ではないのだろう。


「部長もいい人で良かったね」

「あぁ、っと、エリックは部長の名は聞いたか?」

「名前?僕も知らないなぁ、名乗ってなかったし……案外ブチョーって名前なのかもね!」

「いや……流石にそれはないだろう……」

「それもそっかぁ……」


エリックののんびり屋さんめ

でもそういうところが好きだぞ。


「じゃあまた明日ね」

「あぁ、またな」


さて、帰ったらエリックが読んでいた本を読んでやろう。いつも通り交換して読むはずがなぜかエリックがすごく拒んだから他の本に隠して借りてきてやった。

どんな内容なのだろうか

あのエリックが拒んだ本だ。

きっとちょっと恥ずかしい本だろうな。



◇ ◇ ◇



とか思って読み進めているわけだが……

これはちょっと私でも恥ずかしい

決して悪い本ではない、ただの恋愛小説だ。

ただの恋愛小説なのだが、途中で男女が裸になって抱き合う章が出てくる。

きっとエリックはこれが恥ずかしかったのだ。

うん、エリックもちゃんと男の子なんだな……

ところでこれは何をしているのだろうか

男が乳房を揉んだり、女が喘いだり

男のセリフからして気持ちいい事だというのはわかるが……


世の中知らない事だらけだな、エリックは知っているのだろうか……

少し置いて行かれた気持ちになるな……




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