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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第九章:Burning Heart
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(8)

 今晩の宿は兵庫県内の地元の「正義の味方」チームの拠点。

 とは言っても「正義の味方」は定期的に拠点を変えており、ここの拠点も近々引き払うようで、段ボール箱や丈夫そうな木箱に詰めてる途中の荷物が有る。

 ボクは外で「工房」から頼まれたチェックを行なっていた。

 目を暗視モードに切り替えても一応は弾倉(マガジン)の見分けは付く。

『次、通常スラッグ弾に切り替えて下さい』

 無線通話での指示に従い今の弾倉(マガジン)を外して指定された弾倉に切り替え。

 それを一〇秒に1回ぐらいのペースで何度も行ない、周囲のドローンから間違いなくやれてるかを確認。

 中では、沙也加さんのお兄さんが、沙也加さんと、沙也加さんが連れて来た女の子の練習相手。……と言っても獣人化もしてないし「火事場の馬鹿力」も出してない。

『ところで、飯はどうするの?』

 確認が一段落してから無線通話。

「ベジタリアン用の有ります?」

『ベジタリアンって言っても、完全にNGな食材はどれ?』

「健康上の問題で肉食ってないだけなんで、肉の量が少ないなら、単に野菜中心のでも何とか……でも、出汁なんかの味のベースが肉や魚なのは、ちょっと……」

『全く駄目なの?』

「半年以上、肉や魚をほとんど食べてないんで、体が受け付けなくなってて……」

 何が「常人より優れた能力」で、何が「常人に比べてハンデになる」かは、その「能力」や「ハンデ」そのものじゃなくて、環境や状況により変る。

 そして、今や、あんな事になってる日本の旧首都圏で生まれ育ったボクにとっては、世界そのものが、案外、あっさりと変ってしまうモノにしか思えない。

 もし、全世界規模の核戦争なんて起きたら……「高速治癒能力と引き換えに、癌になり易く、癌になったら常人の何倍ものスピードで進行する」体質のボク達は真っ先に滅ぶ。

 ボクと同じく古代天孫族(ヴィディヤーダラ)を再現にした「人間兵器」でも、変身能力を持たない日の支族(スーリヤ・ヴァンシャ)がベースの「強化兵士」の「第2世代」は、「多少、能力を制限してでも『放射能や発癌物質への耐性が常人以下』という欠点を無くした方が運用の幅が広がる」という理由で、高速治癒能力などの一部の能力については、先天的にリミッターがかけられている。

 特定の系統の特異能力者を一掃する為なら、他の人類も滅んでかまわない、とか、たった1人の超チート級の特異能力者を殺す為なら、何百万の無関係な人間を巻き込んでも知った事か、なんて考える@#$%野郎が、どこかの国で権力を握る事が無い事を祈るばかりだ。

「ごめん、ベジタリアン向けの食事、これぐらいしか無かった」

 屋内に戻ると、ここの地元の「正義の味方」のメンバーから出されたのは、ベジタリアン向けチリビーンズの缶詰と、湯葉か麩で作った台湾精進料理風の鶏肉もどき料理のレトルト・パック。あとは、豆乳ヨーグルト。

「えっと……」

 まぁ、「ウォッチメン」のロールシャッハよりはマシな食事だ。

 一応、お礼を言って食べる。

 貸倉庫に偽装した拠点内には、ボクたち以外にも2〜3チームが泊まっている。

 ボクら「正義の味方」の組織(組織と呼べるなら)には中枢や司令塔が無いだけあって、日本で言う「同じ釜の飯を食う」みたいな感じじゃなくて、各自が、勝手に食事や休憩や明日以降の準備をやってる。

 一方、ボク達が、これから乗り込む予定の「大阪」は……強力な精神操作能力者によるピラミッド型の統治を理想としているテロ組織により支配されていて……警察や軍関係では政治将校を兼ねた精神操作能力者が配属されてるらしい。

 小中高校なんかでも、校長や学年主任は、教員免許持ちじゃなくて、精神操作能力者だそうだ。

 ある意味で、ボクらと「大阪」の喧嘩は……違うシステム同士の戦いでも有る。

「にゃんこ、それ、美味しいの?」

 練習を終えた沙也加さんが、ボクの向いに座って、そう言った。

「ま……まあ……」

 チリビーンズ(ただしベジタリアン向け)のソースを指先に付けて舐めた沙也加さんの表情は……。

「ふ〜ん……」

 かなり、ビミョ〜な感じみたいだった。

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