(3)
「えっ……えっと……。あの人と、あの人……多分『魔法使い』系……」
沙也加さんの連れの女の子が、そう言った。
だが……ボクの方は……。
明らかに、何かの近接戦闘術の訓練をしてる奴が3名。
それも、筋肉の付き方からしてパワー重視の鍛え方をしてるっぽい男、スピードや瞬発力を重視した鍛え方をしてるっぽい男、夏の暑い盛りに……明らかにナイフや銃を隠せそうな上着を着てる女。
マズい。
こいつら……ボクら「正義の味方」のチーム構成をまねてる。
例えば、銃器の扱いや近接戦闘が巧いのと、魔法使い系を組ませる。
同じく超常系の異能力者同士なら、得意技や力の源がかぶってない者同士を組ませる。
ボクと沙也加さんのお兄さんなら……同じ系統の変身能力者だけど、ボクは銃火器を扱う訓練も受けてて、沙也加さんのお兄さんは純粋な技量ではボクより一歩劣るけど、接近戦向きの特殊な固有能力あり。
「お嬢ちゃん、我流か? それとも、余程、酷い師匠に付いたのか?」
「えっ?」
冴えない顔の小柄な五〇ぐらいのおじさんが……沙也加さんの連れの女の子に、そう言った。
「次からは注意しな。その手を術を使うと、相手に気付かれる。そして……先に使った方が喧嘩を売った事になる」
「何の魔法使ったんだ?」
沙也加さんのお兄さんは……ゲンナリした感じで、そう訊いた。
「え……えっと……普通の……」
「普通の……何?」
「相手が『魔法使い』系かを調べる探査魔法……」
「それって、ひょっとして、『魔法使い』系だったら、どの程度の力や腕前かも判るヤツ?」
「う……うん……」
「あのさ……知らない奴に、自分の力量や腕前を探られるような魔法使われたら、どう思う?」
「そりゃあ……あっ……」
「あら? 久しぶりね。そこの子は、仕事で九州の久留米に行った時に見た事が有る」
続いた声の主は……。
「あ……」
沙也加さんが……固まってる。
多分だけど……当人が現われて、ようやく予想以上の化物だと気付いたらしい。
「さ……沙也加ちゃん……?」
「何で、私の同類が、わざわざ、私の近くに現われて、私を挑発するような真似をしたか知らないけど……」
隙だらけに見える。
単なる二〇代の普通の女の人に見える。
威圧感も……それほどじゃない。
身のこなし、体の細かな動き、視線の動き、その他モロモロからして……武術その他の戦闘技術を身に付けてるようには見えない……。
でも……。
「1つ忠告しといてあげる。あの子だったら、こんな真似はしない。無茶苦茶な事はやるけど、危険に晒すのは常に自分自身。でも、貴方は、お友達を危険に晒してる」
「……あの子……?」
「姿を見せてないだけで、すぐ近くに居る。貴方達を無事に帰さないと、宣戦布告と見做すつもりみたいね」




