(3)
博物館を出たのは昼の3時ごろ。
遅めの昼食。
「折角、長崎まで来たんだからさ……」
クソ女の彼女は、そう言い出したんだけど……。
「中華街のランチ・タイムは終ってるぞ」
「じゃあ、ディナー・タイムで」
「ふざけんな。あたしは、明日、仕事が有るんだ。せめて、夜の7時までには家に帰らせてくれ」
「じゃあ、長崎ちゃんぽんが美味しい店に……」
「ああ、それで良いのか? それなら、長崎県民推薦の店を知ってるぞ」
そして、車に乗ると……。
「ん?」
「もう着いたの?」
「あっちこっちに支店が山程有る店だ」
「どうしたの?」
クソ女1人だけ……「オチは予想出来た」って表情。
「車から出れば判る」
「ど……どうゆ〜事? えっ?」
「な……何か……見覚えが有るような……」
そこに有ったのは……赤いとんがり屋根や……久留米近辺でも見た事が有る看板。
「リンガーハット……?」
「長崎県の出身者に『美味いちゃんぽん屋は?』って訊くと、大概、ここを教えてくれるな」
「ほぼ、日本全国に有る店じゃないッ⁉」
「人気が有るって証拠だ」
「もっと高級店かと……」
「ちゃんぽんの起源を知ってるか? 明治時代に貧乏な留学生の為に作られた料理だ。クソ高価いちゃんぽんなんて、ちゃんぽんとして邪道だ」
クソ女1人だけ、やれやれって表情。
「一本、取られたな……」




