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「おい、まだ買う気か……?」
ミュージアム・ショップで恐竜のヌイグルミを選んでると……クソ女の親類が、そう言った。
呆れたと言うよりも、疲れたような声。
「私達は昨日買ったしなぁ……」
「え〜ッ⁉」
「その通りだ……出るぞ」
「でも、昨日居なかったのが1人居るだろ」
「そうか、そうだな。お前だけ、さっさと買った」
「ところで、姉さん、十月から課長だそうだな」
「はぁ? いきなり何の話だ」
「昇進おめでとう」
「だから、何の話だ?」
「違うのか?」
「たしかに、そうだけど……」
「昇進祝いのプレゼント寄越せ」
「待て」
「不審な点でも有るのか?」
「何で、あたしが昇進するのに、お前に昇進祝いのプレゼントする必要が有る?」
「見解の相違だ。昇進祝い寄越せ」
「普通、逆だろうがッ⁉」
「わかった、じゃあ、何がいい?」
「嫌な予感しかしね〜から、要らん。あと、『買ってくれ』と言いたいんなら、もっと判り易い言い方しろ」
「買ってくれるのか?」
「……」
約十分後、あたし達は1人につき4つのヌイグルミを手に入れた。




