(6)
「今日も駄目か……」
1日1日、距離は延びてるけど、まだ、高良山の山頂の神社には辿り着けない。
「あたし……才能無いのかな?」
ここ数日は、組み技や投げ技の練習もやってる。
けど、全く巧くいかない。何が悪いのかも判らない。
打撃技も棒術も、練習の後に、撮影した動画を見せられ……毎日のように、ここが悪いと指摘される。
もちろん、まだ、師匠にもクソ女にも一発も当てられず……逆に、師匠やクソ女の攻撃は、全く防げない。
寸止めしてくれてるけど……本当に当てられてたら、全治何ヶ月か知れたモノじゃない状態だろう。
親は十年ぐらい前の富士山の噴火の時に死んでて……顔も良く覚えてないけど、実戦やホントの当てるだったら「親が見ても誰か判らない顔」にされてたのは確実だ。
7月も終らない内に夏休みの宿題だけは終ったけど……こっちの練習は全く先が見えない。
「おい……」
その時、背後から声。
「あ……」
「ウチの妹から、ここでランニングやってるって聞いたんでな」
声の主は、あのクソ女。
何故か、片手には……その辺りで拾ったらしい枯れ枝。
かなり長くて……あれ……この長さって……?
「ちょっと、着いて来い」
そう言って、腰のポーチからミネラル・ウォーターのペットボトルを取り出して、あたしに投げてよこす。
「な……何?」
そして、あたしとクソ女は、高良山神社を目指して道を登っていった。




