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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第五章:Premonition
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(5)

 翌日の研修は何事もなく終った……筈だった。

 けど、博多駅のホームに入ろうとした途端に携帯電話(ブンコPhone)に着信音。

 それも、通常の音声通話でもMeave(メッセンジャーアプリ)でもない。

 ユーザ側で中継サーバを立てる事が可能なセキュア・タイプのメッセンジャーだ。通話記録などは、運営会社じゃなくてユーザ側のサーバに保存されるので、犯罪組織から民間企業、「正義の味方」に場合によっては軍事・警察関係の公的機関でも使ってる国が有るらしい。

『博多遊軍チームのガルーダと落ち合う事は可能か?』

 以下、書かれてた時刻と場所は……。

 時刻は……間に合う。

 場所は……ボクは、博多駅の駅ビル内の書店に向かう。

 洋書コーナー。

 人文書。

 そこに居たのは……。

「君だったか……『お上人さん』が寄越した応援ってのは?」

「えっ?」

 お洒落でわざと乱れ気味にしてるらしい髪。

 ピンク色のシャツに白っぽいスラックス。

 青く染められた革靴は……ビジネス・シューズじゃなくてウォーキング向き。

 そして、襟元には……留め具が鷲か鷹らしき鳥の形になってるループタイ。

「あっ……。この前……」

 たしか……(らん)さんの家に来てた女の人。

「君が昨日の朝、博多駅で助けた病人が消えたそうだ」

「消えたって?」

「コネ入社らしいが……勤め先が『大阪』のフロント企業。親は『大阪』を含めたテロ組織と繋りが有る大物地方議員。念の為、博多のあるチームの後方支援要員が監視をしていたが……ついさっき、病院に県警のパトカーが来ていた。パトカーに乗っていた担当らしき警察官は……行方不明捜索関係を担当している部署の人間だった」

「何が……起きてんですか?」

「判らん。しかし、博多のチームの『魔法使い』系のメンバーが、対象に『式』を取り憑かせていた」

 「式」は早い話が「使い魔」の事。実は、流派によって、陰陽道系なら「式神」や「式」、密教系なら「護法」「護法童子」、西欧系なら「使い魔(ファミリア)」「守護天使」と呼び方は違うが……日本で一九九〇年代に起きた「陰陽師」ブームのせいで一番メジャーな呼び方になった「式」を使う場合が多い。

「でも、それなら、魔法使い系の人が、すぐに見付けられる筈で……あと、何で、わざわざ、式を取り憑かせるような事を……」

 式を取り憑かせるなら……どんな手を使ったのかはともかく、入院先の病院に入る必要が有る。結構、危い橋を渡る事になるが……。

「まず、行方不明になったのは病人だ。私は……人間の生命力そのものを見る事が出来る。そして、君は、どうやら、体臭から相手の体調などを推測出来るそうだな」

「は……はい……」

「式を取り憑かせた理由だが……念の為、対象の勤め先を調べていたら……建物内から、微弱だが妙な魔法系の気配がしたらしい」

「えっ?」

「そして……同じ気配が、対象が持っていた鞄からも検出された」

「い……一体、何なんですか?」

「不明だが……私は『魔法使い』系じゃないが、一般的な魔法には、ほぼ完全な耐性を持ってる」

 い……いや……なら、この人が関わってる理由が判るけど……どう言う事だ?

 「生命力そのものを見る」なんて魔法系らしき能力。でも、本人は「魔法使い」系じゃないと言ってる。そして、「一般的な魔法に対するほぼ完全な耐性」……。

 待て……似たようなモノや……似たような人を……。

「あ……あの……まさか……その……あなたの能力って……?」

「そうだ。『魔法』と似て非なる『神の力』だ。能力は太陽に関するモノの中でも『生命力』と『浄化』に特化している。ただ……少しばかり弱点が有るけどな」

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