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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第四章:Rebel Girl
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(4)

「やっぱり……あたし、才能ないのかなあ……色々と手際悪かったし」

「仕方ないですよ……こんな事やるの、今回が初めてなんだから……」

 ストーカーおじいさんと、その護衛はふん縛って、その場に転がした後、匿名で警察に通報。一応、こっそり撮影してた動画も沿えてる。もちろん、ボク達の顔は映ってない事は確信した上で。

 その時、沙也加さんの携帯電話(ブンコPhone)に通知音。

「あれ? 母さんからだ」

「どっちの?」

松隈(まつぐま)の方」

 沙也加さんは、小学校に入る前にヤクザに誘拐された事が有り、その後、何年間も母親と引き離されて育てられた。

 いわゆる「独立系」の「正義の味方」……要は他の大半の「正義の味方」が加入してるネットワークに所属してない……だったお父さんが、あるヤクザに殺された時に捕まってしまったのだ。

 沙也加さんのあの「鬼」の能力と同じ……しかも、大人な分、更に強力な人をどうやって殺すんだ? と云う疑問は浮ぶが……相手が「獣化能力者の中では日本最強、東アジアでもトップ3の1人」と言われる「久留米の銀色の狼」こと久米銀河だったのだ。

 久米は、ただでさえバカ強い上に「獣化形態時に体毛の防御特性を自由に変える」という能力が有った。例えば、相手が刃物を持ってる場合は斬撃や刺突を防ぐのに適したものに、銃を持っている場合に至っては単に弾を防ぐだけでなく「当った弾を跳弾させる」「当った弾の跳弾を防ぐ」の切り替えさえ可能で、仲間の盾になる時は跳弾を防ぐものに、短距離から軽機関銃の掃射を受けた場合は、わざと跳弾させて、相手の弾で相手に大ダメージを与えた事すら有るらしい。

 そして、沙也加さんのお父さんを倒した時には……どうやら「電撃を防ぐ」ように毛皮の防御特性を変える事に成功していたらしい。

 要は、単なるチート能力頼みじゃなくて、その能力を活かせるだけの戦闘センスや経験の持ち主だった訳だ。

 更に、それに加えて高速治癒能力に、かなり強力な魔法耐性まで持っている。

 マンガやラノベの主人公だったら「強過ぎる理由があまりにシンプルなんで逆に話を面白く出来ない」ようなタイプだ。……ただし、やってる事は悪役だけど。

 久米を刑務所送りにした時は、久留米市内の「正義の味方」が、ほぼ総動員で、強化装甲服(パワードスーツ)「護国軍鬼」による「相手の防御能力を無効化して内臓に直接振動を送り込む」打撃技「細波(さざなみ)」と背後から久米が予想してなかった弓矢による不意打ち攻撃の合せ技で、ようやく鎮圧出来きて、ブチ込まれた先は異能力犯罪への対応経験が十分に有る「魔法使い」系の看守が百人以上居る「Neo Tokyo 台東区(Site04)」の「御徒町刑務所」。まだ、それでも安心出来ないけど、久米が脱走に成功したとしても、かなり手間取るだろう上に、他の刑務所に比べて殉職者は少なくて済むだろう。

 だが、その久米にも人の心は有ったようで、「電撃を操る鬼」の能力を一般人に移植しようと云う組織上層部の計画の実験材料に子供を使うのは気が咎めたようで、沙也加さんは、父親と戦った時にうっかり死なせた事にして、自分で、育てていた。

 ところが、その久米でさえ、唯一逆らえない相手が居た。

 組織の上層部じゃない。

 タランティーノの映画の迷セリフよろしく「ウチのアニキを@#$%出来るのは、アニキのカミさんだけだ」ってヤツだ。

 ところが、久米の奥さんが、とうとう久米に愛想を尽かして離婚する事になった時、その奥さんが久米の家で発見したのが久米が育ててた1人の女の子。

 久米の愛人の子供だろうと思って、自分の娘として育てながら、生物学上の母親を探し続けたが……何年経っても見付からない。

 そりゃ、そうだ。そもそも久米の愛人の子供じゃないんだから……そっち方向から調べても、何も判る訳がない。

 ようやく、本当の母親が見付かったのは去年。

 と言う訳で、沙也加さんには2人の「母さん」が居る。生物学上の母親である「松隈の母さん」と育ての親である「今村の母さん」の。

『今、どこ居るの?』

 2人の「母さん」の片方である「松隈の母さん」から来たメッセージには、そう表示されている。

『今村の母さんの家』

『今村さんは来てないって言ってるよ』

「マズいね……えっと……あ〜バッテリー切れだ」

 ヤケクソ気味に携帯電話(ブンコPhone)の電源をOFF。

「よし、ほとぼりが冷めるまで、(らん)おねえちゃんに匿まってもらおう」

「あ……あの……」

「大丈夫、(らん)おねえちゃんだって、今日みたいな事を散々やってんだから……」

 沙也加さんのお姉さん分である高木瀾さんは……たしかに、さっきみたいな真似を、しょっちゅうやってはいる……。

 けど……。

 何せ瀾さんは「正義の味方」コミュニティの中で育った上に、小学生の頃から色々と問題が有る父親によって「正義の味方」活動にこっそり連れ出されてたせいで……さっきまで起きてたアレよりも、遥かに……。

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