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孤独が心閉じ込めても……
秋分の日、あたしは、高良山の麓に立っていた。
柔軟体操は十分にやった。
深呼吸。
そして、登り道を走り……。
やがて、頂上までの半分は超えた。
自分でも、山頂の神社まで行ける余力が有るのは判る。
「おい、ちょっと左から通るぞ。避けてもらえるか?」
そこに聞き覚えの有る声。
「ねえ、今日は1往復でいいよね?」
「2往復行けるだろ」
そう言いながら……クソ女とその彼女は走り去っていった……。
「さ……先は長い……かな?」
山道の木々の間から見える空にはうろこ雲が有った。