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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第一四章:悲しみに振り向けば明日が見えないよ
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(5)

「じゃあ、1、2の3で邪気を押えてた結界を解く」

「わかりました」

 あたしは、強化装甲服(パワードスーツ)の魔法使いに、そう答えた。

「1、2の3」

 その瞬間……炎のように見えていた壁が消え……優那ちゃんが放っていた邪気が……。

 その邪気を取り込む。

 次の瞬間……吐き気がする。

 苦しい。

 嫌なモノが……次々と見える。

 地獄?

 魔界?

 何かの……幻覚?

 化物……亡霊……どろどろとした汚ない……。

「えっ?」

 ふと……手を見る。

 片方の手は……鱗に覆われて爪が伸びた……もう片方の手は骨になり……3本目の手は……えっ? 3本目……?

 やめ……いや……冗談じゃ……。

 次の瞬間……。

「やっぱり……お前は……敵だな……」

「優那ちゃん? 違うよ……あたしは……」

「なら、その姿は何だ?」

「違う……これは……幻覚……」

 その瞬間……あたしの中の何かが邪気を吹き飛ばす。

 洪水……。

 あたしには、それが、そう見えた。

 とんでもない洪水が……周囲に居る魔物や亡霊を押し流した……。

 その洪水の中心には……。

 8本の腕。

 その腕の1つ1つには色んな武器が握られている。

 その顔は……変だ……。

 整っている……そんな言い方しか出来ない。整っているけど……綺麗でも可愛くもない……。ただ、冷たい……顔。

 あらゆる人間を見下してるかのような……ただ、ただ、冷酷そうな……氷のような……。

「あ……あんたなんか……呼んでないッ‼」

 あたしは、その「戦いの女神」に向かって叫んだ。

「何を言っている? お前は私だ。お前が死ねば、私も消える。だが、お前は自らの命を危険に晒す愚かな真似をした。だから、私は、その危険を取り除こうとしただけだ」

「違う。あたしは……優那ちゃんを助けたいだけだよ‼ 殺す事しか出来ない、あんたなんて呼んでないッ‼」

「ならば、お前も、また殺すしか出来ない者では無いのか? 何故なら……」

「違うッ‼」

「どう否定しようと、お前は私だから……」

 次の瞬間……。

「何?」

「乗り越えろ、自分(こいつ)を」

「そいつはお前かも知れねえが、同時に、お前の一部に過ぎねえ」

 突然、現われたのは……。

 1つは……戦いの女神。でも、あたしの中に居た「戦いの女神」とは、違う温かい……太陽の光のような女神。

 もう1つは……炎に包まれた……青い肌の……3つの目が有る顔に怒りの表情を浮かべた神。

「やめて……何故……あたしを……()()、何でッ?」

 突然、現われた2体の神に攻撃される「戦いの女神」の悲鳴……その声は……その口調は……。

 ()()()だ。()()()()、「()()()」は「()()()」だ。

 これが正解かは判らない……でも……。

「うわあああッ‼」

 あたしは……その「戦いの女神」に向けて、思いっ切り、「気」を放った……()()()()()()()()()

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