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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第一四章:悲しみに振り向けば明日が見えないよ
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(3)

「え……何で……そんな話が? 七福神って……その、名前の通り福の神でしょ?」

「違う」

「へっ?」

「七福神の内、吉祥天は確かに福をもたらしてくれるが、同時に、災いをもたらす女神・黒闇(こくに)天と常に共に行動している、って伝説が有る。恵比寿は異形の姿として生まれたせいで親神に捨てられた不吉な神の成れの果て、大黒は日本神話で死の世界に追い遣られた神・オオクニヌシとインド神話の破壊神・マハーカーラが同一視された姿だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()。それこそが、魔法使い・呪術師・心霊術者……何て呼んでもいいが、私達の同業者が、まず心得ないといけない事だ」

「あ……あの……何か、師匠の言ってる事って……その……」

「ああ、とんでもない大博打だ。勝算は、ほぼ無い。お前に、こんな真似を強要するのもどうかと思う。でも……お前の友達を助ける手は……」

「あの……あたしが出来なかったら?」

「お前が私を殺しても、私には文句を言う資格なんてない……そんな事態が起きる」

 つまり……優那ちゃんは死ぬ……。多分……それも……。

「え……えっと……どうすれば……?」

「お前の中に有る『戦いの女神』の力、それには、多分だが『慈愛の女神』としての側面も有る。命懸けで、友達を助けろ」

「命懸け?」

「単なる言葉の上だけでの『命懸け』じゃない。無意識レベルの防衛反応さえ無理矢理にでも押さえ付けなきゃいけないレベルの『命懸け』だ」

「もし……その……失敗したら?」

「お前が少しでも自分の身を守ろうと思ったら……お前の中の力の『戦いの女神』の側面が表に出る。そうすれば、お前の友達は、お前を敵と見做し攻撃しようとする。後は悪循環だ。どっちかが死ぬ」

 師匠は溜息をついた。

「私は師匠失格かも知れん……今、私がお前に言ってるのは、早い話が、こう言う事だ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「重大な決断には重大な結果が伴ない、大いなる力には大いなる責任が伴なう。自分に荷が重いと考えるのなら、ここを去れ。そして、私を怨め。その結果、私が破滅しても、それは私の自業自得だ」

 その声の主は……。

他人(ひと)の事を言えた義理じゃないが、お前は、まだ子供だ。誰かの命がかかった決断をさせるのは……考えモノだ。私がやる」

 その「護国軍鬼」もヘルメットを取っていた。

「瀾お姉ちゃん、何、言ってんだよッ?『やる』って、ど〜ゆ〜意味の『やる』だよッ⁉」

 沙也加ちゃんが、そう叫んだ。

「あのな……この稼業を始めて一年半で、私がどれだけの奴らを殺してきたと思う? どれだけの奴らを死ぬより酷い目に遭わせてきたと思う? 今日1日で、私を大事な誰かの仇と怨む資格の有る奴らを千人以上は大量生産してても、おかしくは無い。……ノーベル賞に大量殺人部門が有ったなら、私こそ最年少受賞者の有力候補だ。いつの日か……それまでの人生を後悔しながら無様に死ぬまで泣き喚き続ける事になるのは……覚悟の上だ。私が地獄に堕ちる事になるなら……お前らが突き落せ。悪党が思い付ける地獄や悪人が抱ける悪意こそ(たか)が知れてる。私が地獄に堕ちるのが当然だった場合こそ、屑野郎やマヌケ野郎が考えたヌルい地獄は御免だ。お前らの友達を殺した後に、お前らに何をされようと文句は無い。今から、ちゃんと考えておけ……私にふさわしい生き地獄をな……」

 そう言って、クソ女は……再びヘルメットを被り……。

 ガシャン……。

 護国軍鬼の両腕の隠し(ブレード)が展開され……。

「お……おい、待て……何する気だ?」

 クソ女の親類の慌てたような声。

「ふざけんなッ‼ 何、言ってやがるッ‼」

 その怒りの声と共に、沙也加ちゃんのお兄さんと彼氏が護国軍鬼に飛びかかり……。

 ドオンっ‼

 次の瞬間、沙也加ちゃんの彼氏は、あっさりとコンクリに叩き付けられ……そして、お兄さんの方は……。

「うが……」

「口の中に例の毛皮は無かったよな?」

 沙也加ちゃんのお兄さんと彼氏は「獣人系」の変身能力者だけど……変身時は、普通の「獣人系」より、より獣っぽい顔に変っている。

 つまり……。口の大きさも普通の「獣人系」より大きくなり……大声を出したりした場合は更に……。

 沙也加ちゃんのお兄さんの口の中には、拳銃の銃口が入っていた。

「判ってるよな? この角度で撃てば、銃弾が脳幹に到達する。おい、電撃は勘弁してくれ」

 そう言って、護国軍鬼は、沙也加ちゃんの方に顔を向けて、倒れてる沙也加ちゃんの彼氏を片足で踏み付ける。

「お前が傷付けたくない奴までエラい目に遭う事になるぞ」

「こ……この……」

 余りの事態に、沙也加ちゃんも何を言っていいか判んないようだ……。

 でも……何を言えばいいかは判んなくても、何をすればいいかなら……。

「師匠……やり方を教えて下さい」

「いいのか? かなり危険だぞ」

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