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魔導兇犬録:HOLDING OUT FOR A HERO  作者: HasumiChouji
第一三章:胸に眠るヒーロー揺り起せ
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(6)

「おい、てめえら、何する気や? この『シン日本首都』と戦争する気か? 喧嘩売る気か? ただじゃ済まさんで‼」

 屋上まで到着すると、そこには……無数の死体。

 全部、首と胴体が長いお別れをした後。

 そして……どうやら「大阪」の首脳陣の中で、1人だけ生かされ……縛られて転がされてる短髪・金髪の男……。

 富士の噴火の前まではお笑い芸人として有名だった……自称「シン日本首都知事」兼「シン総理大臣」。

「あれ……本物?」

「あいつの本物って、そもそも誰の事だ? 本物は富士の噴火が起きた時に、たまたま東京のTVに出演してて、死んだか行方不明。それ以降に大阪の名目上のトップをやってる奴は……大阪政府が作った偽物だって噂も有るぞ」

「その通りだな……」

 そう言いながら、大阪知事かも知れない「誰か」を見下ろしているのは……巨大な金色の熊。

 頭には、妙に格好いいデザインのパナマ帽。ただし、それ以外は何も身に付けていない。

 下手したら……世界一危険なパディントンだ。

 グシャっ……。

 熊人間は、大阪の知事かも知れない誰かの首を、とっても、とっても、とぉ〜っても雑に……。

 踏み付け……。

 首は、あっさり圧し折れ……。

 顔に浮かんでるのは……人が死んだのに、こんな事を言うのは何だけど……とっても変な表情。

「まったく、戦争はとっくに始まって、自分らが負けてやがるのに『戦争する気か? 喧嘩売る気か? ただじゃ済まさんで‼』……こいつ、コメディアンだった頃、余っ程のヘボだったのか? TV番組の観客は笑気ガスでも吸わされてたのか?」

「ご……ごめん……ゲロしていい?」

「あ……あたしも……」

 広島の魔法少女3人の内、2人が、そう言い出し、残る1人が「駄目だ、こりゃ」って感じで顔に手を当てる。

「ところで、あそこのペントハウスに居るのは、大阪の新しいオモチャか? 何か兵器として使えそうなので、俺達が……」

 ヤクザ(ギャングスタ)版パディントンが指差す先からは……とんでもない量の邪気。

「おい、お友達は……?」

「多分、あそこ」

 あたしは、クソ女の親類の質問に、そう答える。

「じゃ……あんたらに渡す訳には……えっ?」

 クソ女の親類が銃を構えて瞬間……その目の前にヤクザ(ギャングスタ)版パディントン。

「うわっ⁉」

 ヤクザ(ギャングスタ)版パディントンの爪による攻撃を銃で防ごうとしたようだけど……次の瞬間には、もう、銃は破壊されていて……。

 そして、ヤクザ(ギャングスタ)版パディントンは、部下達に韓国語で何かを指示。

 その次の瞬間……音楽が鳴り響く。

「え……この曲?」

「ボニー・タイラーの『Holding Out for a Hero』だ。ハリウッド映画じゃ、こう云う場面の定番だろ? まぁ、曲が終る前に終らせるが……。おい、強化装甲服(パワードスーツ)。まず、お前の腹を……」

 台詞が全部終る前に、クソ女の親類はヤクザ(ギャングスタ)版パディントンに蹴りを入れるが、あっさり躱され……。

「うわっ?」

 予告通り、腹に掌底打ちを食らい、吹っ飛ばされる。

「マズい……一撃で、その鎧の防御魔法の効力が無くなった……次は……」

 魔法使い系の人が、そう説明するけど……。

「あ……大丈夫……次を食らいたくても、しばらく動けない……」

 そう言いながら、クソ女の親類は、ガスマスクを外して……吐血。かろうじて意識は有るようだけど……本当に、しばらく動けなさそう。

「うおおおおッ‼」

 今度は、沙也加ちゃんのお兄さんの攻撃。

 手首の辺りの体毛が伸びて刃に変り……。

「お前と良く似た姿のあいつより能力の使い勝手は上らしいが……」

 あっさり避けられ……た……と……思った……ら……。

「その通りだ」

 刃は更に伸びて縄になり、パデイントンの首に巻き付く。

「ただし、ズル賢さも、経験も圧倒的に足りねえな」

 けど……。

「マジかよ……」

 縄と化した体毛は……パディントンの首を締め付けてるけど……でも……首の筋肉がパンプアップして……どうやら、気道にも頚動脈にも大したダメージは無さそう。

「うがあああッ⁉」

 パディントンは自分の首を絞めてる縄を掴むと沙也加ちゃんのお兄さんごと大回転。

「うわっ⁉」

 そのまま、ビルの屋上から放り出されかかるけど……。

 ドンッ‼

 轟音の後に残っていたのは……コンクリに入ったヒビと凹み。

 沙也加ちゃんの彼氏の姿が消え……。

「大丈夫ですか?」

「な……何とか……」

 屋上から落ちかけてた沙也加ちゃんのお兄さんの手を掴む。

「仲良く死ね……」

 感情が籠ってない声……。

 パディントンは、沙也加ちゃんのお兄さんと彼氏に近付き、爪を振り上げ……。

「あたしのにゃんこに何する気だぁ〜ッ‼」

「がああああ……⁉」

 沙也加ちゃんの怒りの声と共に、パディントンの体を電撃が包み……。

「や……やった?」

 魔法使い系の人が首を振る。

「『気』で無理矢理、体の防御力を上げてる……。しかも、中国の気功で言う『大周天』まで使えるようだ……」

「どう云う事?」

「あんだけ、無茶苦茶な真似をしてるが……周囲の『気』を取り込む事で、『気』の損耗を最小限に止めてる……。電撃が止んだら、すぐに近くに居る奴を攻撃出来る筈だ」

「そ……そんな……」

 沙也加ちゃんの彼氏は……沙也加ちゃんのお兄さんを引き上げ……そして、背中に背負っていた大型バタフライナイフを手に取り……。

 沙也加ちゃんと、沙也加ちゃんの彼氏の目が合い……。

 電撃が止む。

 同時に沙也加ちゃんの彼氏が大型バタフライナイフを展開して、パディントンに斬り付け……。

 どんっ……。

 血を出しながら膝をついたのは……沙也加ちゃんの彼氏の方だった。

 一瞬で、武器を奪われ、逆にその武器で袈裟懸けに斬られている。

「うがあああッ‼」

 沙也加ちゃんのお兄さんが叫ぶ……その叫びと共に……えっ?

 沙也加ちゃんのお兄さんのズボンが弾け飛び……そして、モフモフ尻尾が出現。

 沙也加ちゃんのお兄さんは、パディントンの腕の飛び付き……全身で肘関節を極めながら、更に尻尾で首を絞める。

「うがあああッ‼」

 パディントンは、沙也加ちゃんのお兄さんに腕と首を極められたまま……宙に飛び……そして……。

 ゴオンッ‼

 コンクリートにヒビが入る。

 沙也加ちゃんのお兄さんは……極めてた腕ごと、コンクリートに叩き付けられていた。

 沙也加ちゃんの彼氏が高速移動をやった時とは比較にならないほどの……大きなヒビ。

「俺の腕を一本奪う為に、3人が戦闘不能だ。計算が合わなくねえか? この先、どう頑張ろうと……お前らの方が赤字だ……ぐっ⁉」

「残念だったな……俺は、まだ休憩タイム前だ……」

 沙也加ちゃんのお兄さんが……パディントンに裸絞め&胴絞め。

 けど……。

 ゴオォっ……。

 パディントンの口から……異様にバカデカい呼吸音……。

 それと共に、パディントンの体に『気』が満ちていき……。

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