(5)
「ブルース・リーの死亡遊戯かよ? これから、1階登るごとに……」
「おばさん、古いよ」
「うるせえ」
「古いって言うより爺ィ臭い。六〇以上のお爺ちゃん映画マニアの好みだよ、それ」
「だから、うるせえって。大体、そう言うお前らが何で知ってる?」
「ウチの社長の趣味なんで観せられた。何か、ありがちな場面ばっかの映画だった」
「だから、その『ありがち』を最初にやった映画なの」
広島の魔法少女達と、クソ女の親類が、そう軽口。
次の階では……。
「あそこの監視カメラ、他の階のと機種とかが違ってません?」
沙也加ちゃんの彼氏が、階段の上の方を指差して、そう言った。
「他の階と設置位置も何か違ってないか?」
「ちょっと、あたし、さっきの階、見てくる……ん? やっぱり変、そっちのは天井に取り付けられてるけど、下の階のは壁に埋め込まれてる」
沙也加ちゃん兄妹も、そう会話を交す。
「ズーム。あの監視カメラの機種とか判るか?」
クソ女の親類が、どこかに無線通話。
『韓国製の内蔵バッテリーで動作するタイプみたいです。持ち運び可能で、無線通信でPCなんかに映像を送れるヤツです。フル充電の場合、動作時間は約4時間……カタログ・スペックはね。ただし、解像度は三〇年ぐらい前の携帯電話のカメラ並。確度は低いですが、そっちから遅られたズーム画像を分析した結果、急遽取り付けた可能性も、そこそこ程度には有ります』
ヘルメットの無線機から、そう答が返ってきた。
「階段のドアの向こうに人の気配。3〜4人。でも『魔法使い』系じゃない可能性大」
そう言ったのは、こっちの「魔法使い」系の人。
「やな予感しかしないな……おい、防御力が高いの2人で行くぞ」
「誰です?」
「あたしとお前に決ってるだろ」
「やっぱりか……」
クソ女の親類と、沙也加ちゃんのお兄さんは、そう会話を交す。
そして、2人だけで階段を登り……。
銃撃音。
何発もの銃弾がドアを突き破る。
「やっぱりかッ‼」
その叫びと共に、2人は、ドアに蹴りを入れ……そして、ドアが吹き飛ぶ。
「来ないで、俺に考えが……」
そう言って、沙也加ちゃんのお兄さんは、ドアが有った場所から突入。
銃撃音は続いてる。
そして、悲鳴……あれ?
悲鳴が複数。
そして、銃撃音が止まり……。
ドアの有った場所から銀色の狼男の手。「上って来い」ってハンドサインらしい動き。
そして、指示通りに上まで行くと……。
「な……何、起きたの?」
「見ての通りだ。自分が撃った銃弾が跳弾して死んだ」
そこには……小型の機関銃を持って、迷彩服を来た男達の死体が4つ。
全員、体の色んな箇所に銃弾を受けて、血を流している。
でも……沙也加ちゃんのお兄さんは、銃を持ってない。
な……何が起きたの?
『お前……久留米の銀の狼の子供か何かか?』
その時、どこからともなく声がする。いわゆる「外人訛り」の日本語。
「今の声で、年齢・性別の推定は可能か?」
クソ女の親類は無線連絡。
『中々やるな。お前らを殺すのは不可能じゃないが……それまでに可愛い子分が何人も殺されそうだ。上がって来い。屋上で俺が相手してやる』
『分析結果。……四〇代〜六〇代の男性の可能性が九〇%』
無線通話に返信。
「ギリギリだが……『熊おじさん』も該当するな」
「逃げたくなってきた……獣化能力者の中では……東アジア最強と言われる3人の内の1人が……屋上で待ってる訳か……」




