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第十一話 まずは情報を纏めよう

「大丈夫ですか!?」



雪奈に現在地を教えてバブルスフィアの外に出ると、彼女はすぐに走り寄ってきた。


「ああ、怪我はない」


心配する彼女を安心させるように微笑みかける。


「無茶しませんでしたか?襲われてる生徒を助けに飛び出すとか」

「してない」


飛び出す直前だったけど。


「本当ですか?囮にならないことを分かった上でドローンを飛ばして、止めを刺されそうになった生徒を何とか連れ出せないか、とか考えませんでしたか?」

「ソンナコトナイヨー?」


何でわかるの?見てたの?


「怪しいです!」

「アヤシクナイヨー」

「ツヴァイベスターよ、戯言はいい。

まずは成果を話すがいい」


雪奈に詰め寄られているところを、仁が助けてくれた。


「記憶も残ってるし、データも取れた」


D-Segを使い仮想電脳領域を確認すると、メモと撮影した動画が残っていることが確認できた。

ファイルは壊れておらず、再生もできる。


D-Segを使い、虚空にギア:ナイツの戦闘シーンを投影し再生する。


「おお!ドラマで見たような戦闘です!」


雪奈がキラキラと眼を輝かせる。


「ふむ、ギア:ナイツとやらもそれなりにやるようだな」


仁も非常にご機嫌だ。


「ツヴァイベスターよ、実際に見た感想はどうだ?」

「そうだな。一言で言うと……



雑だった」



障壁の破壊は力任せ。

相手が反撃できる状態で無理矢理必殺技(フィニッシュ)で仕留める。

雑としか言いようがない。


恐らく能力が非常に高かったため、技も工夫も必要なく深界獣を倒せていたのだろう。

人は成功体験を繰り返す傾向にある。問題が発生しなければ改善しないのは人の常だ。

俺にも覚えがある。


しかしそれでは自身より能力が高い敵や、搦め手を使う敵には対応できない。

事態は予想より深刻だ。


「何時もの通り、俺の仕事は意識改革ってことさ」





シェアハウスに帰り会議を始める。


炬燵の上に置いてあるのはディバイン・ギアと9枚のカード。そしてケーキとお菓子と飲み物。

参加者は俺、雪奈、仁、そして何故か部屋の中にいた花ちゃん。


ディバイン・ギアはギアに意識を向けると、すんなりと外れた。力づくが嫌なだけだったらしい。

シェアハウスの持ち主である聖教授は日本にいない。契約と打ち合わせのためロサンジェルス(L)聖剣(D)研究所(T)に行っている。移動を考えても、顔を合わせて話した方が早く終わるのだとか。

リモートではうまく伝わらない情報があるということか。それともネットワークに乗せられないような裏話でもするのか。

一応今回の依頼は報告してある。


「では第一回良二DGS化会議を始めます!」

「おぉー」


雪奈と花ちゃんがぱちぱちと手を叩く。


「その前にツヴァイベスターよ。

この生物(ナマモノ)はなんだ?」


仁が花ちゃんを指さす。


「花ちゃんです!」


雪奈がニコニコと花ちゃんの頭を撫でる。


「八咫桜の……花見の精霊?みたいなやつだ。

あれ?シュバルツって花見に来ていなかったのか?」


花見に来た生徒には思い出深い存在だろう。多分一度見たら忘れない。


「え?聞いてない……何で呼んでくれなかったんだ?」


仁が真顔でショックを受けている。


「……ごめん、秋に紅葉(モミジ)銀杏(イチョウ)が暴れるらしいから、その時は一緒に行こう」


話によると『願い』シリーズはまだまだあるらしい。

四季折々の謎生物が秘密裏に闊歩しているとか。

花見の場では依頼されなかったが、きっとまた何やら依頼が来るはずだ。

来ないなら来ないで、雪奈も一緒に見学に行くのもいいだろう。


「約束だぞ!忘れたら我がシマンデ・リヒターが盟友を呪うであろう!」


仁の眼帯がピカリと光り威嚇してくる。


「解ってる、解ってる」


D-Segにリマインダー設定してっと。


「それじゃあ気を取り直して、第一回良二DGS化会議を始めようか」




「とりあえず以下が議題だな」


アイズにサポートしてもらい、D-Segでディスプレイに課題を映し出す。


・解っている情報の確認

・依頼内容の確認

・直近の作業内容の確認


「情報を確認して、それを元に依頼内容を精査、最後に依頼を達成するための方針を決める。

これでいいか?」


「はい!」「ああ」「おぅ!」


雪奈と仁と花ちゃんが返事する。

花ちゃんは何を話しているか理解できているのだろうか?


「じゃあ一つ目だ」


ディスプレイを更新する。


深界(シンカイ)

・ディバイン・ギア

・ディバイン・ギア・ソルジャー


「今回のキーはこの三つだね。

一つ一つ見ていこうか」



まずは解っている情報についてまとめていく。



・深界

 ・別の世界。4~5年に一度こちらの世界に接近する

・『深界』属性

 ・深界世界の属性を全てひっくるめたもの

 ・1000種類以上あるが、こちらの世界の属性一つ分のサイズ

 ・属性の影響を受けると好戦的になる

深界獣(アウター)

 ・深界世界の生物がこちらに来た時の姿

 ・バブルスフィア内に現れる

  ・バブルスフィア内のDAから属性を一つ吸収し、その属性になる

 ・放っておくとバブルスフィアの外に出て危険

 ・倒せば爆発する

・深界バブルスフィア

 ・深界獣が現れると普通のバブルスフィアから変質する

  ・深界獣を倒せば元に戻る

 ・狙われた生徒が中に取り残される

 ・外からバブルスフィアに入るには同じ属性が必要

 ・『深界』属性持ち以外は外に出ると記憶が消える

  ・電子機器のデータも元に戻る

 ・外部との通信ができない




・ディバイン・ギア

 ・ディバイン・ギア・ソルジャーに変身するためのDA

 ・形状は複数存在してる

・特徴

 ・全『深界』属性対応

 ・ギアと呼ばれる本体と、ガジェットと呼ばれるアイテムで構成されている

  ・ギアにガジェットを使用することで変身できる

 ・意思を持っている

 ・他のDAを取り込むことができる

・製作者は不明




・ディバイン・ギア・ソルジャー

 ・ディバイン・ギアを使って変身した戦士

・ギア:アルス

 ・変身者は普通科一年の火野輪之介(ヒノリンノスケ)

 ・全ステータス6

 ・現在活動休止中

・ギア:ナイツ

 ・変身者は剣聖科一年の一文字昇人(イチモンジショウト)

 ・全ステータス9

 ・現在絶賛活動中

 ・カウント1からカウント9までギアを上げていくことで出力が上がる

  ・カウント9で必殺技が使える

  ・背中の円盤がメインのDA

・ギア:良二(仮)

 ・変身者は普通科一年の平賀良二(ヒラガリョウジ)

 ・全ステータス1

 ・現在議論中

・ギア:ホーク

 ・変身者は空閑鳳駆(クガホウク)

 ・8年前のディバイン・ギア・ソルジャー

 ・現在戦闘能力なし



こうやってまとめると情報が多いな。

とはいえ重要な情報数はそれほどでもないか。


・『深界』属性は複数の属性で構成されている

 ・深界獣はその特性を利用してバブルスフィアの中で実体を得る

 ・ディバイン・ギアはその特性を利用してDAを武器として取り込む

・ディバイン・ギアは意思を持っている

・ディバイン・ギアはガジェットと呼ばれるカードを使って違う形態に切り替わる


これくらいか?




俺はまとめたデータを雪奈、仁と共有しつつ、議論と検証を始めるのだった。




Confirmation x List - 了

次から3話、情報をまとめた上での考察が始まります。

興味ない人はスキップしても問題ありません。



お読み頂きありがとうございます。


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