聖獣召喚と女神の怒り
今回は聖獣召喚と女神の怒りの話です。
【召喚】
「マルローゼ様、お久し振りです」
「召喚されるのを心待ちにしていました」
私は港町を出て、二人の聖獣を召喚した。
一人は黒犬聖獣のノワールで少年の姿をしていて、もう一人は白猫聖獣のブランで少女の姿をしている。
二人は女神様より贈られた優秀な従者であり、頼りになる護衛であり、凄腕の暗殺者でもあります。
「私はこの大陸で新教団の設立を目指します。聖女教会の妨害があるかもしれませんので、二人とも覚悟して下さい」
「分かりました」
「お任せ下さい」
ノワールとブランに新教の設立を宣言したら、二人は快諾してくれた。
「それでは人里を目指して、直ちに出立します」
こうして布教の旅が始まった。
一方その頃の聖国。
『まだマルローゼを呼び戻していないのですか』
「それがマルローゼが乗船した大型客船は既に出航してしまっていたのです」
『言い訳なんか聞きたくありません。兎に角一刻も早く呼び戻しなさい』
「女神様、あんな平民出身のマルローゼなんか追放されて、当然です」
ルイアナがいきなり乱入して、マルローゼを平民出身だと侮辱した。
「ルイアナ、止めなさい」
大聖女が慌てて制止したが、既に手遅れだった。
『貴女はダイアナの孫娘のルイアナですね。どうやらダイアナの教育が間違っていたらしく、常識が無いみたいですね。今まではダイアナの愚かな行為を見逃していましたが、もう我慢の限界です。絶対に許しません。この国に授けていた祝福を全て解除します』
「そ、それだけはお許し下さい」
全ての祝福を解除されると聞いて、大聖女の顔が真っ青になり、必死で懇願した。
しかし無視されて、念話は打ち切られてしまった。
「・・・・・・女神様を完全に怒らせてしまった。祝福が全て解除されたら、災厄が起こる」
大聖女の顔が真っ青どころか真っ白になってしまった。
「流行り病が発生した」
「天候不順が続いている」
「農作物が全滅だ」
「結界が消滅した」
「魔獣が侵入している」
「逃げろ」
「死にたくない」
聖国内で数々の異変が起こり、死者や怪我人が続出した。
「各地で流行り病が発生しています」
「天候不順が続いた為に農作物が全滅しました」
「聖国を覆っていた結界が消滅した為に魔獣の群れが侵入して、町や村が襲われてしまい、多くの犠牲者が出ました」
「・・・・・・もう聖国は終わりよ」
異常事態の報告が次々と聖女教会総本部に伝えられて、大聖女は衝撃を受けて、倒れてしまった。
聖国の破滅の始まりだった。