ep93 勇者vs魔人形集団2
「!?どこに行く気!?」
問いただすユイ。
「どこも何も、私は社長の所に戻らなくてはならないのでね。ではゲアージさん。後は彼らが勝手にやってくれますから、宜しくお願いします」
「戻んのか?わかった」
「待ちなさい!!」
「あ、そうそう、勇者様。先ほどの質問、ひとつだけお答えしておきましょう。
なぜエヴァンス様が貴女を殺さなかったか?
それは近い将来、貴女が身をもって知ることになるでしょうね」
「...!?どういう意味!?」
「まずは目の前の心配をしたらどうです?」
「待って!!」
バサ~バサ~バサ~......
奇怪な化け物に乗ったマイルスは、夜の空へと消えていった。
忌まわしき十体の魔人形を残して。
「つーわけで、クソオンナ。確かにテメーはつえーが、魔人形はくたばらねえからな。なんせ元々くたばってっからよ!ギャッハッハ!」
「......貴方は戦わないのかしら?」
「あぁ?まあ落ち着けや。テメーが魔人形どもにやられそうになったら、おれが助けに入ってやっからよ?」
「そう、それは残念ね。そんな時はきっと来ないから」
「ああ?」
睨み合う両者。
ゲアージは憎たらしく数歩退がり、魔人形どもの影に隠れた。
ズラリと並んだ十体の者どもは、再びぬらりと動き始める。
ユイは剣を構える。
バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!バッ!
今度は、者どもは一斉に襲いかかった!
「ひっ!ひぃぃぃぃ!!」
キースが恐怖の悲鳴を上げる。
ユイは自ら敵集団正面に突っ込んだ!
ガキィィン!ズバッ!ズバッ!ガッ!ガキンッ!ズバッ!
それは、凄まじい攻防、というより...完全にユイの大立ち回り!
魔人形どもの攻撃は、勇者に一太刀も浴びせる事ができない!
ユイは疾風の如く次々と者どもを斬り伏せていく。
たが、魔人形は普通ではない。
急所を突かれようが斬られようが関係ない。
中には首元を搔っ斬られてなお戦い続ける者もいる。
戦いの最中、ユイは思考を巡らす。
ーーーキリがない!それこそゾンビなら光魔法や聖魔力で浄化もできるけど、こいつらは......
聖なる力で斬り伏せても関係ない!もっと強力な技を使わないと!
でも、さっき聖剣でホーリーインパクトを使ったせいで......こうなればーーー
ユイは姿勢を下げ、狙いを低く切り替える。
彼女は奴等の足を斬り落としにかかった!
ズバッ!ズバッ!ズバッ!ズバッ!
一瞬にしてユイは、地を這う竜巻きのように四方の者どもの足を斬り落とした!
「んん?」
ゲアージは情勢の変化に気づく。
足を奪われた四体の魔人形は、斃されはしないものの地べたに這いつくばって匍匐前進のような格好となり、もはや脅威を削がれた状態となる。
「......これならば!!」
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