ep81 光明
「あの~皆様~」
しっちゃかめっちゃかやっている三人の間に入るように羽根から声が響く。
「あっ、エルフォレス様!す、スイマセン!」とコーロ。
「エルフォレス様!し、失礼しました!」とユイ。
「......」とミッチー。
「お前も謝れよ!?」
コーロは上司の面前で無礼な後輩を注意するように言った。
「まあまあスヤザキ様。わたくしは全然構いませんよ?しかし、皆さんすっかり仲良くなられて羨ましい限りです。フフフ」
「どこがですか!?」
「ところでスヤザキ様。先程からずっと気になっている事があるのですが」
「?」
「今、導きの欠片は手元にありませんよね?どちらに?」
「えっ?エルフォレス様は導きの欠片がどこにあるかわかるんですか?」
「はい。正確にはわたくしという訳ではないのですが。おおよその位置はわかります。ただし、同時に複数を把握することはできません」
「そ、そうなんですか(......私ではない?てどういう意味なんだ?)」
ここで突然ミッチーが飛び上がり「コーロ様!」と叫ぶ。
「ミッチー?ど、どうしたんだ?」
「エルフォレス様は導きの欠片の位置がわかる。そして今、欠片は誰の手元にありますか?」
「今はアミーナの手に......あっ!!」
「コーロ!それってもしかして!?」
黙っていたユイも敏感に反応する。
「......これは不幸中の幸いってことだな!」
「エルフォレス様のお力で、アミーナを助け出せるわ!」
「......なるほど。そういうことですね。それならば、スヤザキ様。ユイ様。ミッチー様。わたくしの力で、猫娘さん救出のお手伝い、是非ともご協力させていただきます」
光明を見出した三人は、一転して一気に盛り上がり明るさを取り戻した。
「......それにしても、エルフォレス様の情報収集能力は本当に凄いですよね」
コーロは改めて感心した。
「いえいえ。今回の情報はさすがに有料コンテンツで手に入れたものですけれど。お役に立てて幸いです」
「は、はあ(......ゆ、有料?ダメだ、ツッコむのはやめておこう。きっと妖精業界の何かなんだ......)」
「さて、コーロ様。ユイ様。それでは具体的にどうしましょう?」
「コーロは何か作戦はある?」
「ああ。だが、それにはまず先に話を聞かなければならない奴がいる。その上で、そいつにも協力してもらえるように促す」
コンコン...
満を持したように、何者かが扉をノックする音が鳴る。
「......来たな、よし。エルフォレス様」
「何でしょう?」
「これから来客があります。このまま通信を繋げたまま、こっそり俺達のやり取りを聞いておいてもらえますか?」
「......ええ。かしこまりました」
「お願いします。じゃあユイ。ミッチー。客を迎えるぞ」
「わかったわ」
「はい」
ミッチーはベッドの端にフワっと移動して何の変哲もない本のようにスっと横たわった。
コーロはポケットにそっと羽根をしのばせてから入口に立つと、取っ手をゆっくり回し、ガチャっとドアを開けた。
「あっ!あの......」
「えっ?」
コーロは思いがけず面を喰らう。
そこに立っていたのが誰も予想していない人物だったからだ。
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