ep80 情報
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二人は宿屋に戻ると、すぐにコーロの部屋に集まった。
「......フロワース警部は信用できるのかな?」
「少なくともブラックファイナンス側の人間ではないように思えるけれど......ただ、残念ながら、あなたの推測通り警備局の多くの人間が買収されている可能性は高そうね」
「ゆえに警部は独自で動いている、ということなのか?そして、その捜査の過程でキース夫人を経て俺達に接触するに至った......」
タラタラタラタラタン
タラタラタラタラタン
突然、部屋に聞き覚えのある謎の音が響いた。
シリアス展開で存在感を失い小机の上にそっとしていたミッチーがバッと飛び上がる。
「コーロ様!ユイ様!これはエルフォレス様では!?」
コーロは慌てて懐から羽根を取り出す。
が、相変わらずどこをどうしていいのかわからずガチャガチャいじくり回すと、ピッという謎の音とともに通信が繋がる。
「...スヤザキ様?スヤザキ様?聞こえますか?」
「エルフォレス様!どうかしましたか?」
「どうもこんにちは。実はスヤザキ様、あれからまたさらにブラックキャットという者について調べたのですが、それでわかったことをお伝えしたくてご連絡差し上げたのです」
「何かわかったんですか?」
「はい。スヤザキ様の仰っていたブラックキャットという者、やはり偽造魔導師ブラックキャットで間違いないかと」
「!!」
「一年ほど前からキャロルの国に腰を据え、何やらよからぬ事業に手を染めているようです。
その事業の母体となる組織がブラックファイナンス。彼は短期間で急激に組織を大きくしています。
それは良い意味でも悪い意味でも彼の才覚による所が大きいのでしょうが、おそらく彼はその偽造魔法を巧妙に使い事業に活用しているのだと思います」
「じゃああの契約書は......」
「さらに厄介な事があります。
実は過去に一度、一部の貴族と警備局が協力して、ブラックファイナンスの本部に捜査に入ろうとしたことがあるらしいのですが、なんとその場所すらも掴めず終わったとのことです。
わたくしは、それはおそらく彼の偽造魔法によるのではないかと推測します」
「ということは、ブラックキャットの魔法によって、ブラックファイナンスの本部ごとどこかに隠しているということですか?」
「はい」
「だとすると、どうやってアミーナを取り返せば......」
「......?猫娘さんがどうかされたのですか?」
「その......実は、アミーナがブラックキャットに攫われてしまったんです。俺が、もっとちゃんとしていれば......」
コーロは拳をぎりぎりと握り悔しさを滲ませる。
「そうでしたか...。しかし、なぜ?」
「私のせいなんです」
ユイが言葉を挟む。
「勇者様?」
「私が勇者だということに奴が気づいてしまったようで、私にブラックファイナンスへ手出しをさせないために、アミーナを人質に取ったんです。だから、コーロのせいじゃない......私のせいなの!」
「違うぞユイ!あいつは俺の目の前でアミーナを攫ったんだ!それにサロンへ入ったのも俺が判断して決めた事だ!」
互いに己を責め合う二人。
自責を譲らない二人。
すると、しびれを切らしたミッチーが二人の間にビュンと飛んで入り、コーロとユイの額にバシっバシっと激突した。
「...とっ!ミ、ミッチー?」
「...!な、なに?」
ミッチーはヤカラ口調で怒鳴る。
「オメーら!自虐も大概にしやがれ!マジめんどくせーわ!なに?自分を責めて気持ち良くなっちゃってんの?ドMかボケぇ!ロウロクでもたらしてやろうかコラぁ!?」
「な、何だお前その口調は!?口悪過ぎだろ!」
「オメーらがメンドクセーからですよ!」
ミッチーはぷんぷん非難した。
「あ、あと俺はドMじゃないからな!」
「ちょっとコーロそれ何の話?」
「性癖の話です」
ミッチーが途端に冷静になって答えた。
「...なっ!!」
ユイは顔を真っ赤にした。
「おいミッチーやめろ!別の意味で話がややこしくなる!」
「......コーロもこんな時に何を言っているの?」
「ち、違うんだユイ!悪いのはミッチーで」
「......斬る!」
問答無用でユイは剣に手をかける。
「いやいやいや!ないないない!それはないですよユイさん!」
コーロは浮気がバレた夫のように慌てまくる。
事態は混迷を極める。
もはや何で揉めているのかもわからずに...。
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